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2022年05月06日

491.Mud Runner

MudRunner.png

 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「マッドランナー」のレビューです。

 ストアでもアプリでもタイトル画面のどこにも書いてないですけど、本作はどうも「Spin Tires(スピンタイヤズ)」というPCゲームシリーズの一作みたいです。

 調べてみると、もともとクラウドファンディングを経て開発されたのがスピンタイヤズで、様々な改善と追加コンテンツを施しスピンタイヤズ極ともいうべき作品が本作に当たるようです。で、その続編がSnow Runner。

 本作はなんというか、もうね、ぐっちゃぐちゃのめっためたの泥沼みたいな(みたいなというかまさにそういう)道を、クソ重いトラックが更にクソ重い原木を担いでえっちらおっちら製材所に向かう、泥濘走行特化のドライブシミュレータで、舗装路のありがたみを身にしみて感じられる稀有なゲームです。

 以前、自分の「コレ面白そう」アンテナがバグり始めてて、馴染みのない新しいジャンルにも挑戦したいなという話をしたと思うのですが、それと同時に最近車を運転してみたいなっていう欲求が湧いてきていて、それが見事にはまったのでした。

 左スティックを倒してキャラクターを動かす、キャラクター自身の足で歩く行為になんとなく最近飽きていて、たまにはRTを引いて乗り物を操りたいなってそんな単純な欲求。でも順位やタイムを気にして精神をすり減らすようなことはしたくなくて、純粋に移動や旅を楽しみたいなって。
 そんな今の自分にぴったりじゃないですか。
(本当にチャレンジする気があるなら、GwGの無料ゲーとか、ゲームパス入って無料のゲームやればいいんですよね。興味がないから買わなかった、で、放っといたら無料になったのでとりあえず落とした、ってゲームがコレクションに大量に詰まってるんですから)

 なんとなくどんなゲームかは察していたので思い切って購入するのにそれほど葛藤はありませんでした。
 強いて懸念を挙げるとすれば、たとえば悪路の一区画を走行するために細かなカスタマイズを必要とするのかどうか、大まかなトラックのタイプを選んでそこからタイヤをはじめエンジンやらギアやら細かくパーツを選んでカスタマイズできるようなタイプだと、運転免許すら持っていない私には敷居が高すぎるので心配してたのですが、少なくとも今作のトラックは全て性能が決まっていて、どのトラックを運転したいか選ぶだけなのは助かりましたね。
(たぶんライセンスとかの関係だと思うのですが、使えるそれぞれのトラックには目的に応じてアルファベットが振られていて、意味が分かるととても使いやすい良い名前だと思いました。たとえば偵察など小回りの利く車にはAを用いて、A-469という感じ。BはAとCの合いの子みたいなサポートタイプ。そして目的である材木運びに適しているのがCタイプ。それ以外のアルファベットはCの上位互換だったり、さらに性能が極端だったりといった特殊タイプというふうに住み分けられています)

 面白いですよ〜。いやまじで。めっちゃ楽しい! 言ってしまえばすっごい地味で、見渡す限り沼地や森や川で、聞こえる音はトラックのエンジン音だけ。必死になってアクセル踏み込んで、木材を指定の場所に届けるだけですよ。
 これ本当にトラックなの? 型式が古いとはいえリアルで自分が目にする、その辺の道路を走ってるトラックと、本当に同じものなの? って思ってしまうほど、速度出ないんですよ。
 いやもういっそのこと木材担いで足で運んだほうが早くない? って(笑)

 まぁ、実際にそうするとまず人の手で原木なんか担げませんし、一瞬で足が沼に取られて身動きすらできなくなると思いますが……。
 わざわざこんな不便なところで木を切って運ぶ必要はなくない? と思ってしまいますが、まぁね、舞台は春の雪解け水でぬかるんだロシア、シベリアの大地だそうで。

 あー、そう。そうなんですよ。今だからこそ、このゲームやると、なんか悲しくなってくるんですよね。
 本作の舞台はロシアです。ストーリーも何もありませんが、出てくるトラックはみんなかの地で作られた実物がモデルなんです。
 攻略サイトを覗くとそこには古くとも愛着のある登場車種の一つ一つに愛のある解説が載っていて、読んでいてすごく楽しいのですが、物凄いタイムリーな単語も頻出するんですよね。
 このトラックは何という名前でロシアのどこどこ工場で作られた。こっちのタイプはウクライナの何工場で作られた。こっちのはベラルーシのなんとか工場で作られた云々。

 あぁ、ついこないだまで、これらは一つの集合だったんだなって。内部事情についてはいろいろあるでしょうが、我々が、外の国の人に中国と韓国と日本と、大雑把にアジアと一括りで見られているように、ウクライナとベラルーシ、ロシアもまた一括りに見られていたんだなって。
 ウクライナの工場で作られたトラックが輸送されて、当然のようにロシアの道路を走っていたんだなって。

 そう思うと、なんか悲しくなってきますよね。

 こんなところでこんなこというのもすっごい……アレですけど、いいですか。
 誰が悪いかは自明の理です、ロシア人全てが悪人なわけないじゃないですか。
 嫌ロ感情から身近なロシア人の差別、区別、攻撃とか、思い違いも甚だしいですからね。

 さて、ゲームの話に戻りますか。
 本作は、目的やフォーカスしている部分について二つとないユニークな特徴を備えていますが、前述したようにトラックを選ぶくらいですぐに実際のドライブへと移れるので、案外ゲームへの没入は容易です。
 意外とね、チュートリアルもユニークで、楽しみながらこのゲームのノウハウを学べました。
 というのも、ゲーム起動時に出てくるチュートリアルは本当に簡素なものなんですが、これを一通り終わってさてシングルプレイヤーをやるかと考えると、ゲーム側の提案として「シングルへ行く前にチャレンジモードを遊んでみましょう」って誘導されるんですよね。
 このチャレンジモードが非常に面白かったです。

 こっちは本編のマップから一部を切り抜いて(なのかな?)そこだけを舞台にしたような小規模なマップで、出されるお題をこなしてみようという体のモードです。
 どこどこへたどり着けとかこれをしろあれをしろというミッションが9つくらい用意されているのですが、実はチャレンジモードとして成り立っていると同時に、これもまたチュートリアルの延長だという設計が非常に素晴らしかったです。
 このお題をこなすためにはこういうことをしなくちゃいけなくて、そのためにはこういう風に操作してください、というチュートリアルが用意されていて、用意されたお題をクリアしていくと、自然と本編でも通用するこのゲームのいろはがわかってくるのがとても気持ち良かったです。

 全輪駆動とかデフロックとか、どういう時に使うのか初めはピンときませんでしたが、しばらく走っていて、なんとなく見えてくるもんですね。
 私の場合は道が舗装されてたら全部切って後輪駆動、路面が土だったら全輪駆動、ってかそうしないとまともにまっすぐ走れません。
 それでもきつかったらデフロックも入れるって感じです。
 カジュアルモードで遊んでいるとデフロックもワンボタンなので全輪と違いが分かりづらいですが、ハードコアだとデフロックはマニュアルにしないと起動できないので、使い分けがわかってくるんですよね。

 そんなこんなで今楽しく遊んでおります。
 とんでもない泥道をエンジンに悲鳴をあげさせながら一歩、また一歩と進んで、スタックなんてしょっちゅうで、そんな時はウィンチを使って危機を乗り越えて、走ってきた道を振り返りながら「ああ、行きは良くても帰りこれどうすんの……轍の跡が川になってるよ……」と慄きつつ、ぬかるみまくった道のしかも坂道を、材木でパンパンの荷台を引いてやっとの思いで登り切った時の達成感とか。
 時間はいくらかかってもいい、どんな手を使ってもいいからタスクをこなせというこのシンプルな設計と相まって、積み重なったストレスがシュッと溶けていくこのカタルシスがたまりませんね。
 木材を担いだ状態で製材所に近づくと、ノリノリなBGMがだんだんと聞こえてくるんですよ。これが実に良いシステムで、このゲーム内に「人間」というのは自分が操るトラック内のシートに座る名もなき兄貴ただ一人なんですけど、このBGMが、孤独な旅の果てにようやくたどり着いた場所で、仄かに人の営みの息吹を感じさせてくれるというか、文明の匂いを感じさせてくれるんですよね。
 はっきりと、ここがゴールだと知らせてくれ、このBGMが聞こえてきた瞬間の、「やっとゴールだ!」という意識の切り替わりが、物凄い達成感をもたらしてくれると思っています(ここで横転して荷物をぶちまけた経験アリw)。

 こういうゲームなので1マップの攻略に数時間はかかり、結構疲れます。
 先に進んで難しいマップとかの攻略になると、楽しさよりも疲れや、うまくいかないもどかしさの方が勝ることもあるかと思って、実は2マップくらいクリアした時点、コンプまではまだまだ遠い状態でこの記事書いてみました。
 なんかね、「うぉー、ふざけんな! よりにもよってこんなところでスタックすんな、ムキー!」ってなる未来が見えたので。
 そんな記憶でゲーム体験を黒く塗りつぶしてしまう前にレビュー書いとこうかと(笑)
 まさにスピンタイヤ、慣れないうちは泥にはまってきゅるきゅるタイヤが空転するシーンがほとんどだと思います。

 ちなみにマルチプレイ実績はほんのいくつかあります。主なものは相手プレイヤーに対し、燃料を補給する、ダメージを修理する、材木の所有権を譲る、の三つです。
 前二つは相手の都合に拠らず自分から一方的に配ることが出来るので、比較的余裕ですが、現在の状況だと野良は、なんというか、今日初めてこのゲーム起動した、みたいな初心者と思しき人ばかりなので、所有権の実績は絶望的ですね。
 ほとんど、真面目にマップのクリアを目指す人がいないので、そもそもキオスクまで荷台を引いて来る人もいなかったです。でもって、所有権の譲渡はなかなか複雑な操作を要求されるので、わかっている人同士意思疎通がないとまぁ無理です。私は諦めました。
 時間帯と曜日にもより、いたとしてもほんの数組ですが、それでも野良でマルチに参加できるのは結構すごいですけどね。

↓一番最初のチャレンジステージの様子。あの赤い所にトレーラーを持ってこなきゃいけないんだけど、実は向きが逆になってて、バックで入れないと判定してくれないという中々な鬼畜。


↓こちらもチャレンジのひとつ。運転中はコクピット画面にする縛りプレイ。「運転中」なので、停まってる間は三人称に切り替えられるという小技(笑)


追記
この記事がここに掲載されるまでに、上記の諦めた実績意外コンプできてしまったので追記しときます。
 私が見た未来は別の世界線の未来でした(笑) このゲーム、慣れてくるほど、たとえばB-130で材木運ぶとか、E-7310でウォッチポイント偵察に行くとかが無謀なことだとわかり、やらなくなるので、あえてそういうプレイでもしなければ、淡々と目的に合わせて車両を乗り換え、安全第一でクリアまでするすると行けちゃうんですね。
 マップにはそれぞれ特徴的な地形やら条件やらが備わっていて、ちゃんと攻略を楽しませてくれますが、本作の醍醐味は泥濘地走行であって、木材運びはその動機付けに過ぎません。
 本作の魅力や醍醐味というのは最初のマップ「The Bog」に全て詰まっているので、意外と、後のマップを続けてもプレイ体験というのが大きく変わらないんですよね。
 そんなわけで、飽きるのは早い方かな、と思いました。
 ゲームに慣れてくるほど淡々と攻略できてしまうので、やっぱ最初にレビューしといて良かったなとは思いました。自分に蓄積されたプレイヤースキルを初期化できるなら、何度でも楽しめるゲームです(笑) ある意味それが、古参プレイヤーが新規プレイヤーに見る羨みとでもいうのか。
 本作は初見が一番楽しいゲームです。

 何気にね、不測の事態が起こってからが熱いんですよ。このゲーム。
 材木を運んでる最中にトラックが横転した、沼にはまった、燃料切れを起こした。そうなってからが、実はとても面白いんです。
 難易度カジュアルでは、そんな本作の醍醐味の多くをシステムによって省略できてしまうので、少しだけカジュアルで慣らしたら、あとは初見マップでもハードコアで遊んでほしいですね。

 そうね。アレよね。今のところXboxでは遊べないので、Death Strandingがやりたくなったらこのゲームを起動しよう!
この記事へのコメント
めいちゃんこんばんは!
こちらこそ、いつもいいねとコメントありがとうございます〜

挫折しちゃったんですか、勿体ないですね><
私が思うに、一番最初のマップ「The Bog」はゲーム全体を通してもマッドランナーの名に一番ふさわしい象徴的なマップであると同時に、かなり難易度の高いマップだと思いました。初期から選べるもう片方の「Island」を遊んでたら、もしかしたら印象は変わったかもしれませんね。

確かに、アイデアがいいですよね。
こんなに有名になる前は、いったい誰が、泥道をひいひい言いながら走るだけのゲームを、面白いと思ったのか(笑)

私もこんな悪路知りません(笑) たぶん、日本だったらこんなヤバい泥道は立ち入り禁止になると思うんですけど。
目の前にずっと伸びる道がいかにもな泥道なので、その脇の草や花の群生している草原っぽい場所を通ったら、そこもたちまち水が染み出して、いかにもな道よりもよっぽど走りづらくなったりもしました。
こんな場所もあるんですね。

トラックの免許すごいですね! 本作に出てくるような大型のやつですか? どんな用事で運転するんでしょう。
私は公道を走ることに抵抗というか、恐怖を感じるので、本作のトラックなみにのろのろ運転で、周りに誰もいなければ、乗ってみたいですね!
Posted by あるへ at 2022年05月07日 18:20
御無沙汰しております。いつも実績にいいねありがとうございます。
このゲーム遊んだことがあるのですが、途中で挫折しました。こんなゲームを作ろうというアイディアがすごいですよね。実はトラックの免許を持ってて年に1〜2回運転するのですが、幸いにこんな悪路に出会ったことはありません。
Posted by めい at 2022年05月07日 12:18
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