本日はこちら「ラウンドガード」のレビューです。
いやね、これ、結構出来がいいんですよ。よくある安物インディーゲームと侮るべからず。ユーザビリティーというか、意外と細かいところまで作りこまれていて、血が通ってるなぁという良いイメージを受けました。
本作は「Peggle」を彷彿とさせるゲームシステムにローグライクな要素を落とし込んだゲームです。ピンボール風味なステージで自キャラを打ち出し、敵アイコンに当たれば攻撃力の分だけダメージを与え、同時に反撃を受け、それを繰り返し部屋中の全ての敵を倒せればステージクリア、次の部屋へ移動できます。
そこでローグライクの要素となるのがレベルアップと装備の更新です。
レベルが上がれば体力と攻撃力が上がりしぶとくなれますし、装備にもそれぞれユニークな特徴があり、ゲームスタンスを変えるほどの力があります。たとえば体力が半分を切ると常に攻撃力が二倍になったり、通常ピンのような扱いのゴールドポットに当たるたびにマナが微回復していったり。
また、本作にはスキルという能動的に使える能力も備わっていて、これがペグルとラウンドガードとの決定的な違いになっています。
本作はペグルと違い、打ったら次のターンまで見てるだけという状況がないんですよね。打ち出して跳ねている最中にキャラのマナが続く限り好きなだけこのスキルをぶっぱなすことができます。
そしてこのスキル、たとえば近接キャラなら「無謀な突撃」で今までの軌道を無視してその場で最寄りの敵に突撃したり、ならず者キャラなら「ダブルジャンプ」でやはり今までの軌道を無視してそこから好きなあらゆる角度にジャンプしたり、魔法使いキャラなら「ポケットフロッグ」でカエルを出しつつ真後ろに跳べたり。
何が言いたいかというと、ペグルのように射出後の軌道を見据えて狙いを研ぎ澄ますことも可能ですけど、もっとアバウトにぶっ飛ばして、これらのスキルの力で大暴れできるって言いたいのです。装備には面白いことにもともとの性能としてつけられたオプション以外にも、ゲームを何周かすることで手に入る「プロパティ」というボーナスで、さらにオプションが付いた状態で手に入ることもあります。
その中には非常に有用なプロパティも多いので、本当にしっちゃかめっちゃか暴れることも可能なんです。
で、ちゃんとわかってて作ってるんだなぁって感じる部分なんですが、このゲーム各オブジェクトが結構大きめで、キャラが間にはまって動けなくなるってよくあるんですよ。そういう時に一定回数バウンドしたオブジェクトは消える、でも精算時にはちゃんとカウントされてたり。あるいはステージクリアすると次の部屋へ続く穴が複数表れて、マップを見ながら自分で行き先を決められるんですが、穴のない部分はスプリングになっていていずれかの穴に入るまでバウンドし続けるんですよね。あんまりもたついていると「さあ行こう!」って出て各穴がありえないほどの吸引力を見せたり(笑)
そもそもがペグルほど物理的なリアクションに拘ってないんで結構飛ぶし、跳ねるし、そういった挙動を見せたときに意図しないリアクションに対してちゃんと対策をしてあるっていうんですかね。ダレる時もままありますけど、最終的にはちゃんと先へ進めて、どうにもならないからもう物理的にリセットっていう場面がなかったのがすごいな、と。たぶん実際にやってみないとわからないかもしれませんけど(汗)
世界観というか、ゲームの見た目的にも頭が緩く平和的なデザインなので、結構疲れてる時には癒されるんじゃないかなぁ。
もちろん、こういったスタンスのゲームとして諸刃の剣部分もあります。
非常に遊びやすく、あるアーティファクトをオンにすることでイージーモードでも遊べるのですが、ハイスコアやアーティファクトによる縛り条件の中で純粋にクリアを目指した場合、やはりそのゲームプレイはかなり運に頼ることになる、という点です。
ほとんどの実績はイージーモードのアーティファクトをオンにしても達成できるので問題ないのですが、たとえばスコア200万点だとか、ウィークリーチャレンジなどの達成を目指した場合、どれだけ良い装備やスキルを素早く揃えられるか、にかかってくるので普段はごりごり遊べるのに、こういう時だけステージ序盤ですぐ死ぬよく死ぬ、一秒前までぴんぴんしてたのに敵と敵の間で信じられないほどハマって心臓とまる……とか、理不尽なところまでちゃんとローグライクしてるんですよね。
ほんとこれがあるからローグライクゲームは気が抜けない……。
たいていのローグライクって一度クリアなり死亡したりすると、基礎ステータスのアップグレードみたいな感じで、次の周回が少しずつ楽になっていくみたいな感じじゃないですか。ローグライクがRPGとしての一面も持っている以上、死んだら終わりのローグライクにいかにして積み重ねるRPGの面白さを持ってくるか、みたいな葛藤の末のシステムだと思うんですが、本作ではそれが新たなプロパティや新たなアーティファクトの開放という形で表現されているんですよね。パッと見わかりづらいかもしれませんが、ペグルという遊び自体がすでに完成された面白さを持っているので、それで大正解なのかもしれませんね。
本作は割と誰にでも進められる優良作品なんですが、その取っ掛かりとなるのはやはりペグルで、これを知っているかどうかで手に取る取らないが変わってくると思います。ペグルまったく知らない人にこそやってほしいですけどね。絶対ハマるんで、そしたらペグル自体にも興味持ってもらえるじゃないですか。
同時に、ペグルを知っていてペグルの面白さをわかってる人なら、本作も間違いないと思いますよ。
(ペグルって、最初の一投目が一番楽しくないですか? 一番ヒット数多いのが一投目ですもんね。ピンが減ってくると残り数ボールでこれらを全て消さなきゃならないってプレッシャーの方が大きくなっていって、だんだん虚無感も増してくるんですよね……。そのハラハラ感が堪らんって人には本作はカジュアルすぎると思いますけどw)
↓攻略時期としてはかなり初期の頃、一つのゲームの中の終盤。装備やスキルの引きが良すぎて大暴れ出来ちゃいました。
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