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2021年03月26日

443.Assassin's Creed Origins

アサシン クリード オリジンズ【CEROレーティング「Z」】 - XboxOne



 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「アサシンクリード:オリジンズ」のレビューです。

 変わった変わったとは聞いていたけど、まさかここまで変わるとは……。
 本当に思い切った大変換ですが、Xboxハードの進化やこれからのアサクリシリーズの姿を考えると、この変化は必然のような気もします。既にオデッセイもヴァルハラも発売しているので何を今更って感じですけどね(笑) 私の中のアサクリの歴史はまだオリジンズまでなんですっ。

 というのも、オリジンズは同じOneで出たユニティやシンジケートと比べて果てしなく土地が広いじゃないですか。素晴らしいよ! ようやく、本当の意味でオープンワールドが実現した感が半端ないです。で、この広大な土地の一つ一つのスポットを巡っていくにあたり、やっぱり今までのアクション主体のシステムだと、絶対に長続きしないんですよ。広く、長い冒険を最後まで楽しむには、コツコツの積み重ねを得意とするRPGスタイルが一番しっくりくるんですよね。

 フルシンクロもないし、キルストリークもない。ついでに操作方法も今までとは打って変わってソウルライクな感じに。そりゃあ、シリーズファンからすれば寝耳に水でしょうが、だからといってアサクリらしさがなくなったとは微塵も思いませんでした。
 むしろ逆に、これこそ求めていたアサクリじゃないかなって。

 このゲームのオリジナリティはどこにあるでしょうか? 私はそれは、原点に立ち戻った「アサシンクリード」にあると思っています。今回のお話はそもそものテーマが「いかにしてアサシン教団が誕生したか」ですからね、話の筋を追ってるだけでバリバリアサクリなわけですよ。だからこそ、ゲームシステムの方に大幅にテコ入れして、多少無理矢理でも路線変更が利いたんだと思います。
 じゃなくて、そもそも初代アサクリの目玉ってなんでしたっけ、って話。そう、フリーランです。あの頃の3Dの360ゲーといえば、どんなところにも行けるとは言ってもさすがに山は登れなかったでしょ。海には入れなかったでしょ。屋根には登れなかったでしょ。行ってはいけないところには見えない壁があって、登ってはいけないところはどうやったって滑ったりして登れなかったでしょ。それはスカイリムでさえ(スカイリム式登山術は可能だけど)そうだったでしょ。
 あらゆる障害を乗り越えて、山あり谷あり街ありのこのフィールドを、ほぼ直線距離でするすると突っ切っていけるのはこのゲームだけだったんです。

 で、紆余曲折あって、いつか私は「フリーランは自由ってイメージがあるけど、このシステムほど扱いの難しいシステムはない」みたいな、ちょっと違うようなそんなこと言った気がします。今までのアサクリって、やっぱり、あえて障害物だらけのゴミゴミした街が舞台な作品が多くて、どうにも窮屈で、うまく活かせてないなぁと常々感じていたものです。
 それがね、360からOneへ、ユニティ、シンジケートとだんだんと舞台のリアルな範囲が広がるにつれて、少しずつそのストレスが和らいでいったんですよ。
 で、ここでどーん。
 まじでドーン! あの広さは普通に大作オープンワールドRPGのそれですよ、笑いがとまらねー。
 目の前に雄大な自然が広がっていて、道が蛇行していて、行く手が崖で閉ざされていて、そんなのかんけーねー!っつってまっすぐ進めるのは、やっぱりアサクリだけだと思うなぁ。
(たぶんこの辺、私と製作者の考えがずれてるんだと思います。制作側としてはやっぱり目玉のフリーラン、パルクールを駆使してあえて邪魔している障害を颯爽と潜り抜けてほしいっていう思いがあるんだと思います。逆に私は、フリーランとは目的地へ到達する移動方法の延長上にあって、障害がなければそれが一番いいんです)

 いつものUBIクオリティと舐めていて、ゲーム中盤ごろには早々にスキルもカンストするんだろうなぁと思ってたんですが、意外や意外、本編クリアしてもスキルツリー埋まってないよ。結構がっつり稼いでたんだけどな。ってくらい、成長要素的にはRPGしてます。
 ハクスラの要素があるのも憎いけど、こちらはあくまで「っぽい」。ランダムオプションは存在しないし、装備のベースも変わらないので、終盤はガチのハクスラがやりたくてたまらなくなってしまいました(そして本作の攻略を途中でお休みしてガチのハクスラゲーを存分に楽しみました)。

 もう一つ面白いと思ったのがアニムス・パルスとルートできるオブジェクトについてです。近づくと探れる箱や壺は世界に無数に散らばっているのですが、全ての収納容器がルートできるわけではないんですよね。
 そしてアニムス・パルスボタンを押せば、ぱーっとパルスが広がって、どこにそれがあるかわかる。このね、「ルートできるオブジェクトは基本的に主要な場所にある」「それ以外はダミー」ってのがすごいアイデアだと思ったのです。
 たとえばね、これが普通のRPGだとしますよ? そうね、ウィッチャーね。
 ウィッチャー3はね、目に見える収納物全てがルート可能で、そのほとんど全てに何らかのアイテムが入っていました。
 これがね、これがね……、こ・れ・が・ね! 本当に苦行で……。
 私はね、取れるものは全て取ってから先に進みたい性分なんです。ノヴィグラドの街に着いたときなんかは地獄でしたよ。冗談抜きで丸二日くらいは街の中のアイテム漁りに費やしました。

 話を戻すと、アサクリ自体、アイテム収集や集めた小物に世界観を見出すようなゲームでもないし、そんな感じで、たとえば広い街の中だとしても見えている箱やら麻袋は全部ただのオブジェクト、これから話を聞きに行くNPCがいる家の中だけいくつかルートできる箱があるよっていう発想の転換染みたアイテムの配置は、かなり目から鱗でした。

 欲を言えば、パルスを広げたときに出てくる小さな白い三角。あれどうにかならなかったかなぁ。土地柄、淡く明るい色は保護色になってて物凄く見辛く、ついでに言うと消費アイテム補充オブジェクトである矢弾のラックとは色を分けて欲しかったです。矢がいっぱいだと拾えなくて、他のルートできるオブジェクトとごっちゃになってすごい鬱陶しいかったです。

 まま、そんなわけで、本作オリジンズは今後のアサクリシリーズの行方を占う最初の作品として大成功していますし、なんなら今後発売するであろう多くのオープンワールドゲーや一見接点のなかったRPGにすらも、お手本やスタンダードとなりうる革命を起こした傑作だと思いました。

 そういった熱意を感じて私は、こう思ったのです。

 やっちゃえ、UBI。

 続くオデッセイやヴァルハラではどんな進化を、あるいは迷走を見せてくれるのか、見ものですねぇ。

 あ! そうそう大事なこと忘れてた。
 無料アプデで追加されたディスカバリーツアー。これ……、普通に考えて涎が出るほどめちゃくちゃ贅沢なバーチャル歴史ツアーですよ。歴史のトリビアとかも割と好きな性質なので、本編と同じくらいすげー楽しかったです。実績必要分だけをさっと駆け抜けるんじゃなくて、是非ともじっくり全てのツアーを見て欲しいな。
 知識のレベルとしてはあくまでゲームであり、ゲームを盛り上げ世界観を補完するためのコンテンツなんで、客観的にみると「広く浅い」です。この加減がまさに観光客向けのツアーっぽいけど(笑) そこ! そこよ、そこさらっと流さずにもうちょっと詳しく! なんてシーンもあったりして。
 物凄く美麗なグラフィックで、物凄く緻密に作られた、今は想像しかできない古代の世界を、歩きながら解説まで聞けるって、すごくない? 私はすごく楽しめました。

 あとは、そうねぇ。中東、シルクロード、そして日本へ、と、文化的に繋がってる部分があるので、たとえば古代エジプトの宗教観なんかは日本と共通する部分が多く、なんだか親近感を覚えました。多神教だったり、宗教と美意識が実利的な日常生活に落とし込まれてたり? あと、やっぱり砂漠ってイメージが強いので、想像以上に水があったことにも驚きました。たぶん、乾季とか雨季とか氾濫期とかの一番豊かな時期を舞台にしてるんだと思いますが。
 ゲームだから、エンターテインメントだからっていう部分はあるかもしれませんが、それでも、信じられますか? 今から2000年以上も前の時代ですよ? キリストすら生まれていない時代ですよ? なのに今の私たちと変わらず喜んで、怒って、悲しんで、楽しんでるんですよね。当たり前ですけど(笑) 卑弥呼の時代とか言われてもぴんと来ないじゃないですか。そっからさらに300年昔です。そんな大昔なのに、こうして触れてみると、思った以上に文化や思想がしっかりしていて、地に足付けて生きているなぁって、安定しているなぁって、しかもこの生き方を何千年も続けてきたなんて……と、なんか変な方向に感心しちゃうんですよね。知ってます? 私たちがさも当たり前に使ってるスマホやらパソコンやら、出来てからまだ人間一人分も経過してないんですよ。

 いやぁ、楽しませてもらいました。暮らしてみてぇなとは思いましたが、物食うたんびに口の中に砂が混じるのだけはマジ勘弁です(詳しくはディスカバリーツアーで)

↓虫幻覚実績のために砂漠放浪中。まさかこんなことになるとは思ってなかった……。


↓闘技場はこんな感じ。もうちょいいけるかなーと思ってたんだけどね。



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