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2020年11月27日

426.AER: Memories of Old

 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「エア:メモリーズオブオールド」のレビューです。
(本来、英語ではAIRと書きますが、本作の歴史探訪コンセプトにちなんだのでしょう。検索すると古代ギリシャ語とかルーマニア語で空気って意味で出てきました。読み方わからないのでとりあえずエアで)

 ぶっちゃけね、クソゲーです。
 製作者たちが熱に浮かされたように「雰囲気ゲー……雰囲気ゲー」と呟きながら作った結果、まじで毒にも薬にもならない空気のようなゲームになってしまいました(本当に呟いていたのかどうかは謎ですが!)。

 本作は、過去になんらかの大変動が起きたせいで大地がバラバラになり、大なり小なりの大陸が空に点在することになってしまった世界で、主人公がその世界の歴史を紐解き、再度起きつつある災害に立ち向かう、という話です。
 なんか話だけ聞くとけっこう面白そうなんだけど、なぁーんでこんなに無味無臭なゲームが出来上がってしまったのか。実際にゲームしてても嘘はついてないんですよ? たしかにストアページの紹介の通りなんです。

 関係ないかもだけど、PVの力ってすごいなって思いました(笑)

 私は基本的に雰囲気ゲーは嫌いじゃないです。探索ゲーも好きです。本作にはそのどちらの要素も持ち合わせています。でも私の心には響きませんでした。

 たとえばグラフィック表現。
 本作はいわゆるローポリと呼ばれる手法で世界を表現しています。つるっとしてのっぺりしてて、これ自体は表現の一つなので良くも悪くもないと思いますし、360からOneに進化して得た大きなポイントの一つとして光の表現がより自然になったということもあって、ランタンの明かりのぼんやりした温かみなどがこのローポリの世界とはよく合っているとは思います。
 ただ、出てくる人物は表情のないのっぺりしたキャラクターなんですよね。顔は心理学的にも云々って感じで、プレイヤーに対して印象を呼びかける重要な要素だと思うんですよね。たとえ点が三つだけでもいいから顔が欲しかったな。たったそれだけでこのゲームに対する印象はかなり変わると思います。それこそ、「雰囲気ゲーを!」という制作者の意気込みを破壊しかねないほどに変えてしまうと思うので、きっと表情なしのキャラグラフィックは意図してのことに違いありません。が、個人的にはこれが一つ目の失敗かな。
 キャラクターに思い入れというか、印象が残らない。

 二つ目は世界観。
 鳥になって自由に大空を舞おうってのは全然ありだと思いますけど。いかんせん、この世界に対する魅力がなさすぎる。
 ストーリー進行とは別に各地に存在する石碑などを調べて、祖先の残した文章から世界観を補足していくのが本作の醍醐味なんですが、んーまぁこれは翻訳のさじ加減もあるとは思いますが(彼が彼女になったり彼になったりはもちろん、もともとの文章として指示語が多すぎる)、とにかく茫漠としていて、光だの闇だの、夢だの、星の上で踊るだの、何が言いたいのかちょっと……。
 古代人の石碑だからそういうもんでしょというのもあるかもしれませんけど、そもそも今立ってるここが現実とはかけ離れた世界ですから、その世界のさらに過去を知るための土台が全然わかってないんです。加減乗除を知らずに連立方程式は解けません。
 本作はアドベンチャーゲームであり、戦闘などもなければ集め物などの要素もありません。マップには様々な陸が存在し、そのどこにも降り立つことができますが、ほとんどの土地は降りる意味も、散策する価値もありません。
 光だの夢だのスピリットだのドリーマーだの、いまいち判然としないワードだけで構成されているこの世界に愛着が湧かず、だだっぴろく空虚で、さらには人もいないこの世界の何か、もっと深くを知りたいとはとても思えず、よって探索にも熱が入りませんでした(世界の成り立ちなどぼんやり説明されてあとは投げっぱなし。主人公の指が四本だったりと、絶対にこれは想像で補うゲーム、それが楽しいゲームとして作られたはずですが、だったらその想像したくなるほどのモチベーションはどこから持ってきたらいいですか?)。

 極めつけはゲーム性。
 別にこれが悪いってわけではないんです。ゲームによってはこんな感じも全然ありなんですが、いかんせん上記に挙げたポイントと相まってのこのゲーム性ですからね。
 本作はジャンプが出来てランタンというギミックも持ちつつ、鳥に変身して空を駆けるなんていう要素もあって、結構アクションゲームとしての基礎は出来上がっているように感じました。
 からのー。なんかフワっとしたパズルともいえない仕掛けを解いていたらゲームをクリアしてしまった……。何を言ってるかわかry
 パズルステージは屋内ですが、屋内では変身が出来ないので大人しく歩いて、たまにジャンプで飛び越えるしかありません。
 基本的には多少入り組んだ廃墟内を行くべきところへ到達してスイッチを入れて、新たに開いた道を進むだけです。
 特別なことは一切必要ありません。
 パズルを解く達成感やステージをクリアすることの手ごたえがないんですよね。

 だもんで本当に印象に残らない。
 キャラクターの個性も、世界の魅力も、ゲームプレイに対する手ごたえも、遊んでるそばからどんどん消えていってしまうんですよ。マジでエア。いったい誰に向けた作品なのか想像できませんでした。
 もしこれが、まさに製作者たちの望んだとおりの雰囲気オンリーゲーなのだとしたら見事な手腕です。
 でも逆に言えば、そこまで計算してできるならもう少し余韻なりなんなり残してほしかったなぁと、思いました。


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