本日はこちら「ヨンダー:雲とり人のクロニクル」のレビューです。
どうやら他のプラットフォームではYonder: 青と大地と雲の物語と訳されているようですが、内容は同じものです。前作とか二作目とかそういうわけではないようです。
まぁ、一通り遊びつくしてこうしてタイトルを振り返ってみると、「雲とり人のクロニクル」はかなり直訳的で安直なネーミングですが、かといって「青と大地と雲の物語」もかなり大袈裟なような気が……。
ちなみにローカライズは割ときちんとしてました。原文が素っ気ないので翻訳文も素っ気ない感じですが、一人称や丁寧語などがフラフラすることを除いてはちゃんと芯の通ったローカライズでした。
と、このように若干のケチがついてしまうのが本作の印象。
Victor Vranで疲れ果てた精神を癒すべく争いのない平和な世界でのんびりしたかったので予約して買いました(笑)
思った通りの内容とついでにボリュームだったのでその辺に特に不満はありませんが、期待して買うと少しがっかりする程度には割高感が残ります。
本作は「冒険しようぜ」というコンセプトと意気込みがありありと感じられるプレイ感覚でした。
農場経営や釣り、クラフト要素などおおよそこの手のゲームに欲しい機能が備わっている上、そのどれもが一定以上の作り込みと面白さを持っていて、単なる「機能」に留まっていないのはなかなか評価が高いです。
野良の動物を手なづけて農場に連れてくると、飼うことが出来るのですが、同じ農場に同じ動物を二匹以上飼っているといつの間にか子供が生まれていたりと意外と作り込まれている印象でした。
ただ……。
ゲームをプレイしていく上でこれらの機能の活用は必須とはなるんですが、そのどれもが「冒険」を楽しむためのちょっとしたサポートの域を出ず、またそれぞれの機能がそれぞれの機能に及ぼすシナジー効果も薄く、必要な作業を必要な分だけ終えたら後は放置状態になってしまうのが少し悲しいですね。
もしかしたら私がこの手のゲームに不慣れで、もしくは性に合っていないだけなのかもしれませんが。
再三言うように、本作は「冒険」を主軸においた探索アドベンチャーのような趣旨が強いです。
壮大な世界を歩いてこの世界に生きることの実感を得たり、様々な人との触れ合いやクエストを通してストーリーが出来上がっていったり、幻想的な場所でドラマチックなイベントが起きたり……ということは無く(笑)
たとえば「ホラーゲームをやっていて、突然目の前にゾンビだかクリーチャーが出てきて、ワッと脅かしてくる」……。
そんな感じの、「アレ?」とか「お?」とか「なんだあれは!?」みたいな、ちょっとした驚きの積み重ねが本作の「冒険」の大部分を占めます。
そのため、広々とした世界で幻想的な何かが舞う、風を感じるこの世界で知らない地域を駆け回る、一番最初の驚きのコンボというのはなかなかに楽しかったです。
メインストーリーを追っているうちは、牧場/農場や釣り、クラフトなどの要素が程よく(というかかなりぬるめに)必要になり、あれをしてこれをしてと忙しく動き回りつつの冒険は、期待した通りに楽しかったです。
それとは逆に物凄いギャップを感じたのが、「お前らどんだけ冒険させたいねん」と思わせるほどにイジワルな集め物の数々です。
世界に散らばる「ネコ」、釣りコンプリート、妖精、そして植樹……。実績解除には関係ないけれど無数の宝箱等々。
これらはノーヒントで探さねばなりません(ヒントがないわけではない。でも果てしなく当てにできない)。
しかしここで厄介なのが、本作には季節と天候と時間の概念があるという点です。
この季節のこの時間帯に行かないと「ネコ」がいないんですよ……。
集め物も半ばを過ぎて、攻略サイトを見ながら集め物をすると、早送りやスキップの出来ない季節の通過を待っている時間がしんどくなります。
逆に、ゲーム内では一日が物凄い早さで過ぎていくので予定がある時は前もって行動しないと間に合わないことも多々あるんですよね。
このジャンルのゲームにこれだけ不満が出るということはやっぱり私には不向きなのかな。
でも、本当はもう少しやりがいのあるゲームだったのかなと、思っています。ネコも植樹も、クリアや実績解除のためだけなら全てを集めきらなくてもいいですし。
本作はXbox Oneで配信されてからまだ一週間程度ですけど、ゲームプレイを非常に快適にする代わりに致命的にゲームの寿命を縮めるバグが存在します。
なんのことはない、ただ商人NPCと取引するだけです。これだけでバグに遭遇します。
たとえばあるギルドに弟子入りするために「カバン」を作って来いと言われたとします。
で、その「カバン」を作るために「皮」と「のり」が必要だったとします。
ちょっとそこにいる商人NPCと取引すれば、「皮」と「のり」だけではなく「カバン」そのものも手に入ってしまうくらい緩いのが本作の世界ですが、ここで素材を得るために取引をしたとします。
本作では物々交換がルールなので、お店の在庫から「皮」一枚「のり」一個を選んで、自分のインベントリから同等の価値になるよう「木」20本と「石」20個を交換したとします。
すると、どうしたことでしょう。
自分のインベントリから「木」20本と「石」20個は減っておらず、あまつさえ「皮」一枚と「のり」一個が手に入っているではありませんか。
更に更に、商人NPCの在庫にあった「皮」一枚と「のり」一個も数が減っていないばかりか、差し出した「木」20本と「石」20個が新たに在庫に加わっているではありませんか!
全てのNPC、というかこの取引画面を経る全ての取引は、このようにして互いのアイテム個数を減らすことなく、逆に好きなだけ増やせてしまう錬金術が可能になっているのです。
重大なバグなのでいずれ修正されるとは思いますが、このバグをあえて使わないプレイをしようとしても、アイテムを売ることによってインベントリを整理できない点が非常に煩わしいんですよね。
これがなければもう少しゆったりと、あるいは農場経営やクラフトの要素も間接的に死ぬことはなかったかと思うと残念なところです。
本作はすでにSteamで配信されているゲームなので、攻略情報はそれなりに出揃っています。
一つ、注意というか気づいた点をあげておくと、
「キングフィッシュとプリンセスフィッシュはセット。クイーンフィッシュとプリンスフィッシュはセット」になっていると思いました。
クイーンフィッシュを狙っている場合、キングフィッシュが釣れる川や湖ではクイーンフィッシュが釣れることはないと思われます。
サンダーフィールド荒野のセージストーン近くにある湖であれば、プリンスフィッシュとクイーンフィッシュが釣れます。
レインボーとギガレフは頑張れ(笑)
あとこれも多分ですが、自分の農場間をファストトラベルできる便利アイテム「トラベラーの結び目」ですが、こいつバグの温床だと思います。
夜間に使うと陽が昇ってもランタンを仕舞わなくなったり、雨天時に使うと永遠に雨が止まなくなったりと、便利な反面少しストレスでした。
世界は案外狭いので、時間があるならのんびり歩いていきましょう。
本作の「環境音」は結構よく出来ていて、製材屋の近くでぼーっとしたり、川辺でぼーっとしたり、草原の中で鳥や虫の声を聞いたり、この辺はかなり癒されました。
あ、そうそうもう一つ注意。
おそらく初回起動時、コントローラ設定はプレイステーション仕様になっていると思います。つまりAがキャンセル、Bが決定。
オプションで、「反転 はい/いいえ」をオンにすることでいつもの手に馴染んだXbox仕様になるので忘れずに。
↓世界は思ったほど広くはないけど、こうして見渡すと結構広く見える不思議。FoVが広いというかなんというか。でもこれは確かに気持ち良い。気持ちの良さそうな草原。
↓ふとネコの声が聞こえてあちこち探してますが……。
↓実績のためにお手伝いさんを雇わずに放置していた代償……。
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今ダウンロードして確認してみたところ、おっしゃる通り反転の項目はありませんでした。きっといつかのタイミングで修正が入ったのでしょう。
私がプレイしていた配信直後の頃は、コントロール設定の中に反転の項目があり、これにチェックを入れないとAとBの操作が逆になっていたんですよね。
今日少し遊んでみたところ、この項目は存在しなくなっている代わりに、AとBの反応も普通のXboxの操作になっていました。
もう気にする必要はないってことですね。
また、気になって調べてみたのですが、どうやら上記記事にある取引バグは直っていませんでした。直す気は無さそうですね……。