おはようございます。あるへです。
本日はこちら「ミドルアース:シャドウオブモルドール」のレビューです。
私はハイファンタジー設定は好きでありながら、ロードオブザリングには原典も映画もそれほど惹かれなかったひねくれものでして、かなり疎い方なのですが。
なのでここは、ゲーマーとしての観点から本作をレビューしてみたいと思います。
まず、本作はWB(ワーナーブラザーズ)製のゲームで、バットマンやMAD MAXと同じ仕様を受け継いだアクションゲームです。
ウルクと呼ばれる野蛮な種族に蹂躙された世界を、非常に美しく描き込まれたオープンワールドで楽しめます。
お馴染みのヒットストリークを稼いで「処刑」と呼ばれる大技で、群れるウルクどもザックザクにしてやるのが楽しいです。
相手が人外であるためか規制がなく、首を切り飛ばしてその首が坂の下までころころ転がっていったり、幽鬼の力で頭パーンしちゃったり、かなりエグイ殺害方法が見どころだったりします。
しかし、残念なことにこれだけだと本作は未完成で、率直に言って楽しめるものではありません。このゲームの真価は別のところにあるのですが、そのシステムを使えるようになるのは中盤以降なのがもどかしいですね。
かくいう私も、このシステム「ブランド」が使えるようになるまでは、得られる楽しさよりもストレスの方が多く、悪態を吐きながらプレイしたものです。
というのも、本作はバットマン形式の戦闘でありながら、その戦闘にあまり駆け引きや打撃の快感、ストリークを延ばして大技に繋げる爽快感がないのです。
剣を振っても斬ってる感が薄く、Aボタンアイコン(Yで反撃できないので回避しろの合図)が出てからAを押したのでは遅く確実に攻撃をもらってしまうし、敵は数の暴力を発揮してこちらの都合にお構いなくしっちゃかめっちゃか攻撃を振ってくるし、降り注ぐ遠距離攻撃は予兆がわかりにくいし……。
ラストチャンスはありがたいと言えばありがたいですが、お世話になる序盤程大体のシチュエーションが焼け石に水で、直感的にもわかりにくく、二度目はほぼ確実にないです。
さらに言えば警報をならされようものなら増援が次から次へと無限に湧いてきて戦闘が終わらないのがかなりのストレス。
ついでに言えばアサクリ式フリーランも洗練されているとは言い難く、ミニマップのどこかにはほぼ必ず敵がいるような密集具合がデフォルトなこのゲームでは死体を残してしまう暗殺も結構やりにくいです。
ぶっちゃけ「ブランド」を覚えるまでは「なんだこのクソゲー」と感じていました。
さてその「ブランド」、本作一番の目玉機能ともいえる能力なのですが、一体なんなのかというと、それはずばり「敵を洗脳する」能力です。
しばらく遊んでみてわかったのですが、このブランド。一度洗脳した敵はたとえ雑魚であろうとも、時間経過や大人の都合(笑)によって死んだり消されていなければどんなに遠く離れていようともブランド状態が維持されるのです。
実はこの仕様が一番面白かったです。
この砦、敵がめっちゃ多くて面倒だなと思っても、隙を見て端からブランドしまくってミニマップを青一色で染めたとします。ここでの用事がなくなっていったん別地域に行き、再びこの砦に戻ってきたときもちゃんと敵がブランド状態のまま維持されてるんですよね。
時間やシチュエーション変化による死亡(カラゴルに食われたとか、雑魚同士の小競り合いに負けたとか?)や、増援やミッション開始などによってデータが上書きされる(推測)などがなければこいつらはこのまま味方であり続け、時間経過によるウルク権力図の変化にブランド状態の雑魚が小隊長にのし上がってリストに出てきたときはちょっと感動してしまいました。
ちょっと何を言ってるかわからないかもしれませんが、実際このゲーム、このブランド能力を前提として評価しようとするとあまり既存には無いゲームシステムで表面だけ見てもよくわからないのです。本作のことを何も知らない状態で実績一覧を見ても意味不明ですよ。あるいは、なんか小難しそうと感じるでしょう。
それでもあえてこのゲームを表するなら、うーん、そうね。
「ウルク育成シミュレーション(β版)」うん、これが一番しっくりくるでしょう(笑)
半分、ゲームクリアの指標として嫌でもこなさなければならないのですが、その辺のウルクを取っ捕まえて洗脳し、ウルク同士の権力抗争に亀裂を入れていくのが意外と楽しい。
そして、こうなってくると180度とまではいかなくても90度くらいはこのゲームに対する見方が変わり、たとえばオープンワールドと標榜する割りにはかなり狭めなマップも、手懐けたウルクの世話をするためにあっちこっち歩き回る際にはちょうど良いサイズと思えるようになったり、ステルスで片っ端から雑魚ウルクをブランドしていくのは彼我の戦力差の観点からも、また死体を残さず警戒されないという観点からも非常に相性が良く、手塩にかけた洗脳済みの護衛を使ってその護衛対象本人を裏切らせるのはなかなかの快感でした。
このブランド能力こそ本作の魅力であり大人数のウルクを同士討ちさせ自分は戦場を駆け抜けるようなプレイは、様々なゲームのいいとこ取りをしたけどどれも本家には至らないような器用貧乏なアクションも、ようやく名誉挽回といったところでしょうか。
「お前は私の物だ」とブランドする時の演出、幽鬼さんの迫力。でもって顔を手で鷲掴みにされ為す術もなく恐怖におびえるウルクの目や表情は、かなり秀逸だと思います。……でもウルクか。調教とか、そういう嗜好はないけど、でもウルクか……(笑)
さっきちらっと言いましたが、このゲーム、オープンワールドにしてはかなりマップが狭いんですよね。
でもそれは、自分が旅をして、雄大な世界を冒険すること前提での話。
本作のコンセプトは若干異なり、たとえば主人公が敵ウルクに殺されることでまたシチュエーションが変わる、というネメシスシステムにも表れている通り「生きた世界」を表現したかった、というのが真実だと思っています。
時間経過というコマンドによりこちらの意思とは関係なくウルクの権力図は絶えず変化しますし、カラゴルやグラウルなどといった野生のモンスターと敵対し、敵の勢力も変化します。
加えて原作のある世界、ハイファンタジーの古典、原典であるロードオブザリングの世界、これを今持てる技術で活き活きと切り出して見たかったのではないかと。
そう考えると、狭苦しいマップも、目を瞑れるのではないでしょうか。
ただ、キャンペーンのボリュームのこともあり、「ウルク育成シミュレーション(β版)」と題したこともあり、これが初作ということもあり、やや大味感は否めません。
ストーリー的にもいまいちぱっとせず、地味で、主人公の強い復讐の念も伝えきれていないと思います。復讐なんて超個人的主観的概念、他人として共感できる方が稀なんですけどね。それゆえに主人公の背負うものの描写にはもう少し時間を使って欲しかったかな。
総評として、たしかに「ブランド」は面白い試みではあったものの、「これがGOTY?」という感覚は最後まで拭えませんでした。
果てしなくどうでもいい追記
昔、映画ロードオブザリング:王の帰還が、年末にぽんと出てきて、そしてあっという間に国際的映画祭の各賞を総なめして、瞬く間に最優秀映画となってしまったのを見て、個人的には理不尽な「えー……」の感覚に悩まされました。
映画三部作を視聴もしましたが、どうにも面白くない(世界観を映像として描き出すのが重要だったのかな)。
原作だって(読んでないけど)珍しいとか初とかの付加価値がついて評価されてるわけで、決して物語として面白いのかどうかは、私的にはいつも疑問に感じていたわけです。
なんかねー、皆ロードオブザリングのブランド名に甘くないですかねー。
と、これもまた色眼鏡で見てしまうわけですよ。
今回、DLCは遊びませんでした。
というのも、私は通常版のパッケージ版で遊んだからなんですよ。
日本語版パッケージ版というのは、基本追加実績のあるストーリーDLCは配信されていません。
本体地域を米国にすればおそらくプレイは可能だと思うのですが、実はこれシーズンパスが2400円超するんですよね。たしか、セールの時は半額くらいになりますが、それでも十数ドル。
しかし、全てのDLCがセットになったGoTY版というのが存在して、これはなんとセール時には10ドルになったんです。
ズンパス買うよりGoTY新しく買った方が安上がりじゃんって。
でもでも、ここでGoTY版買っちゃったらパッケージ版買った意味がまったくなくなっちゃうんです。
GoTYと通常版では実績が別扱いなんで、そういう考え方するなら別ですけど、基本私は同じゲームを二度遊びませんし……。
せっかく買ったパッケージ版を無駄にしないためにGoTY版には手を出さず、しかしてDLCを揃えようとするとGoTY版買った方が確実にお得だということもあったので、じゃあもうDLCは買わずに本編だけさらっと行こう、といった感じで攻略を始めたのでした。
本編がどうしても面白すぎてやばかった時は、DLCも導入するつもりでしたが、そいつは杞憂でしたね。
さらにどうでもいい素晴らしき駄文
GoTYって何気なく書きますけど、Game of the Yearでしょ?
名詞として大事なのはGameとYearだから、GotYが正しいの?
それともシンプルにGOTY?
GoTY、すなわちGame of The Yearってのはおかしくない? あーでもThe Yearは強調表示としてはアリか。むしろoが大文字なのはおかしいかも。
正しい綴りはどれなんですかー><
タグ:XBox One PS4 Middle Earth Shadow of Mordor The Load of the Rings ミドルアース 中つ国 シャドウ・オブ・モルドール ロード・オブ・ザ・リング
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ウィッチャーを面白いと感じたならば小説もお勧めします。私が2をプレイしていた頃はたった一冊しか出版されていなかったのですが、昨今のウィッチャーブームを受けて同社が新装丁で翻訳出版を再開しました。
現在は3巻まで出ていて、この3巻目はついこないだ出たばかりですよ。
卑怯な手は確かに楽しかったし、あ奴らは(ステルスゲーでは半分常識ですが)上を見ないので梁や屋根から慌てふためく様を眺めるのは確かに快感でしたね(笑)
お酒に毒を盛るとすぐにその酒を飲みにやってくるので急いで隠れなきゃいけないのはどうかと思いましたけど、まぁ、せっかく混ぜたのになかなか飲んでくれないのもどうかと……ね。
DLCを購入して失敗したというのは、やっぱり面白くなかったのでしょうか。たんなる推測ですが、本編の半分程度の広さのマップに放り出されて、基本的に同じことをやらされるんだと思ってますが。
それとも本編データとうまく噛み合わずに遊べなかったとか(DLCを認識してくれなかったとか)、日本語字幕ついてなかったとかですかね。
続編シャドウ・オブ・ウォーも、基本的には同じものだと思います。
どちらかというと、このゲームは原作の世界観を好きかどうかで評価も分かれそうですね。
あちゃあ、私の発言で「面白いよ」と言ったものに対して「面白そう」と反応してくれるのはとても嬉しいのですが、「つまんねえ」と言ったのに対して「じゃあいいや」と返ってくるのは、なんだかすごく申し訳なくなります。
まま、私も思っていることを素直に述べたことへの結果でもあるので、そんなに気にしなくてもいいのでしょうが。
そんなわけで原作・指輪物語と映画ロードオブザリング三部作についてさらっとwikiを読んできました。
ははーん、たしかに、これは。
実際、映画祭で受賞した各賞というのも、映像などのエンターテインメント、技術的な賞が多かったです。
私の感じたこともそこまで的外れではなかったのかな。
たとえば「源氏物語」は世界的名著で世界的トップセラーで世界的ロングセラーな作品で、多くの研究者がいるじゃないですか。
でも別段今の世代の人たちに人気かというと、そうではなく。
人の嗜好は時代によってもころころ変わるものだし、エンターテインメントだって絶えず進化し続けるわけですから、「指輪物語」のストーリーラインが受け付けてもらえない時代だってあるわけですよ。
実際、今熱いハイ・ファンタジーと言えばロードオブザリングよりもウィッチャーじゃないですか。
もしかしたらロードオブザリング愛好家や、それが書かれた時代の人たちから見れば、ウィッチャーは演出過多で世界観は薄っぺらいって言われちゃうかもしれないですし。
ただ、wikiを読み直してロードオブザリングとその原作となった指輪物語がいかにすごいものであるか、未だに打ち破れない壮大なものであるかは再確認できました。
映画の制作にしても、世界観をきちんと再現しつつクオリティの高いエンタテインメント作品として仕上げるには、コストの面でも時間の面でも、技術の面でも不可能とさえ言われていたものを、途方もない金と労力と勢いで作り上げた……しかもそれがちゃんと作品としてのクオリティを持っていたということで受賞したみたいです。
指輪物語は言ってみれば現代のファンタジー作品の基準になった作品ですけど、時代が進むにつれてそれがどれだけ大変なものだったのかは実感できなくなってしまうんですよね。
そこにいたという実感もなければ、感性自体も移ろうものですから、生の原作を読み返してでさえ受け取り方は変わってしまいます。
その辺の裏事情も知っていればまったく違った見え方になるんでしょう。
私が面白くなかったと発言したのは、あくまで当時の私の感覚やその時の嗜好、気分に合わなかっただけで、決してその作品を無下にするつもりではなかったと言い訳させてください。
でも私は自分の感性も尊重します。
……最後の一文でフォローするつもりがフォローじゃなくなったかも(笑)