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2016年09月15日

270.Saints Row :The Third

セインツロウ ザ・サード:フルパッケージ 【CEROレーティング「Z」】



 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「セインツロウ :ザ・サード」のレビューです。
 練り込みの甘い部分も目立つけれども、それと同じくらい惹き込む力も強く、なかなか乙な作品でした。

 本シリーズは本作が初プレイなので、いったいどんなものなのか、GTAと何が違うのか期待半分、不安半分というところでした。
 一通りプレイし終えて、改めて考えてみると本作および本シリーズの方向性はGTAとはまったく違うものだと思いました。
 遊びやすさをメインに箱庭世界で大暴れする模様は、「スリーピングドッグ」や(未プレイですが、おそらく)「ライオットアクト」に近いのではないでしょうか。
 そんな中で「銃弾ダメージ無効」や「弾薬無限」などの完全チート機能が公然とアップグレードリストに入ってくるあたり、作品の突き抜け感、お好きにどうぞといった感じの投げっぷりが頭一つ出ている感じです。
 そのためセインツロウらしさがきちんと出ており、欠点を呑み込んでいると感じました。

 本作はセインツと呼ばれる格好良いギャング集団が、お馬鹿でシュールでブラックで、どんどんエスカレートしていくアドベンチャーに飛び込んでいくというコンセプトで、非常に柔軟なキャラクリエイトが特徴でもあります。
 誰々に限りなくそっくりなキャラさえも作成可能であり、選ぶボイスタイプによってセリフも変わってくるという手の込みようで、自分だけの「ボス」(=プレイヤー)を作って壮大なスケールのドタバタギャングアクションを楽しむのがセインツ流となるようです。

 しかし私には本作のメインミッションの演出やゲーム難易度についてはいささか消化不良気味でした。
 まず、ミッションですがまるでムービーゲー(笑)のアンチテーゼでもあるかのように重要な部分だけ(主にドンパチシーン)を切り抜いて場面がぽんぽん飛ぶんですよね。
 セインツの格好いいところだけを切り出したかのような、まるでダイジェスト編集かのように、「奴を追いかけよう、ヘリを調達しろ」となったら暗転後既にヘリに乗っていてロケランを構えていたり、「このチケットでオークション会場に潜入するぞ、ちなみに商品はお前自身な」となったら驚く間もなく、暗転後既にオークションすら終わっていて脱出シーンからスタートでした。

 セリフも嫌な見方をすればいわゆる厨二セリフのようなもので、回りくどく、意味がすんなり入ってきません。
 加えて続き物なので当然のような顔をして割ってくるキャラたちが誰が誰なのか、ちょっと急展開すぎて楽しめなかったというのが正直なところです。

 私がイマイチに感じたのはこうしたミッション演出や、そのミッション中の銃撃戦の大味加減なのですが、逆の見方をすれば肩肘張ってゲームする必要はどこにもなく、やっぱり好きに暴れられるストレス発散ゲーということですよね。
 中盤あたりでキャラ強化が完成してしまったので、その両極端がよりはっきりしてしまいました。

 詰まる所、真面目な顔でガンダムに乗って蕎麦を茹でるようなミッションは、DLC含めあまり楽しめなかったのですが、その代わり集め物をしたり、アクティビティー(サブミッション的な。)デバージョンを達成したりと街を駆け巡るのがすごく楽しくて、時間を忘れてプレイしてしまいました。

 前述ストーリーへの移入度が個人的に低いと感じたので、エピソードで補完していく街そのものへの没入感も低いです。街中にはさまざまなランドマークがあったりしますが、ミッションやアクティビティーに関わることは少なく、そこに在るだけ、というのが若干勿体なく感じます。

 ただ、そんな清濁併せ呑んで結果的にストレスフリーで、実際40時間以上遊んだものの、気分的にはすごくあっさりと軽い気持ちでプレイし続けられたのは大きいと思っています。

 オープンワールドといえば時間のかかるもの、という先入観があったので驚きもしました。
 驚きついでに、オープンワールドといえばスタント、というのも私の中に先入観としてあって、ろくに調べもせずにスタントマップと睨めっこしながらポイントを回ってました。
 中にはなかなかシビアな難易度のものもあって、「本作において実績解除を目指すうえでスタントは必要ない」ことに気づいた頃には地上スタント9割、飛行機スタント100%を終えた頃でした……。
 何かおかしいとは思っていたんですが、いつかデバージョンリストに現れるはずと思い込んで序盤からちまちま消化してたんですよね。
 時間の無駄だったと後悔する気持ちもありますが、わりと楽しくもあったのでもやもやしてます(笑)

 ストーリーや下品な世界観には確かに受け付けない部分もあるのですが、だからといって別にそこまで下品でもないんじゃない? と思えてくる自然さもあって……。主観100%意見ですが、フェイブルほど押しつけがましい下品さではないと思います。
 それとは逆に街を駆け巡るのがかなり楽しくて、GTAとは違って職務怠慢気味な警察の存在が嬉しかったです。体力アップグレードや各種ダメージ耐性が整っていればまったく無視しても良いくらいちょろい組織です。

 そんなわけでこれが「セインツロウ」か、と味を占めたので過去作品も機会があればやってみたいなと素直に思えました。

・追記
 ところで何故「The Third」なんでしょうか。
 無印(1)、2、The Third、IVという並び順です確か。
 ほんの触りだけ1と2を動画で見たのですが、3になって操作体系が刷新されよくあるアクションTPSに近くなりました。もしかしたらダメージ無効など「主人公が強い」タイプのオープンワールドも3になってからかもしれません。
 そんな、毛色が少し違うということでネーミングを捻ったのかな。
 もひとつ加えるなら、セインツの正式名称は「サード・ストリート・セインツ」だそうです。
 埋没の危機を脱せんとする努力の軌跡ですね。

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