その中で、昔はパソコンメーカーごとにソフトウェアの互換性はなく、各社ソフトウェアのラインナップの多さを競い合っていましたが、その中でNECがダントツだったと書きました。
今はワープロだったら Microsoft Word。
表計算なら Microsoft Excel がごくごく一般的だと思います。
でも、それら Word も Excel も、東芝のパソコン用でなければNEC用でもありません。まして富士通用でも。
言うなれば Windows 用です。
Windows が動くパソコンなら、メーカーはどこでも構いません。
また、Windows でなく、Macintosh で動く Word や Excel などもあります。
当時パソコンは各社独自の設計をして機能を競い合い、ソフトも自社開発が多かったのです。
でもハードウェアとソフトウェアは一心同体ですから、いくら高性能のパソコンがあってもソフトがなければ何もできません。
コンピューター ソフトなければ ただの箱
そのように揶揄されたこともありました。
ソフトウェアとハードウェアは、DVD や Blu-ray Disc とプレイヤーに例えることができます。
ディスクがソフトで、プレイヤーがハードウェアです。
でも、それでは例えとして適切ではありません。
なぜなら、それら互換があり、どのメーカーのプレイヤーでも再生できるからです。
昔のビデオテープレコーダーが適切かもしれません。
もうかなり昔になりましたが、かつてビデオテープは規格が VHS と Bata に分かれていました。
残ったのは VHS です。
そのいきさつにはいろいろあります。
でも最終的に VHS が勝者となったのは、ソフトと言える作品を出す映画会社などが VHS を選んだからです。
結果、見たい映画は VHS が多く、そのため VHS のレコーダーを多く人たちが購入したのです。
新作映画、〇〇は VHS でしか見られないというように。
パソコンも同じで、ソフトが多ければそれだけ用途も広くなります。
とはいっても、まだ当時はパソコンを使う人もほんの一握りの人たち。
パソコンの性能だって、今とはとても比較にならないほど貧弱でした。
Excel もなく、表計算はLotus 1-2-3 。その前は Microsoft Multiplan。
ワープロなんて、まだ専用機の時代。
富士通のオアシス、NECの文豪、シャープは書院。
東芝はRupo や TOSWORD。
サンヨーのサンワード、パナソニックはパナワードなどなど。
そのように各社バラバラだった頃に、日本標準といえるワープロソフトができました。
「一太郎」です。
その一太郎は、NEC の PC98 シリーズで動くソフトでした。
今では当たり前の日本語変換機能が、当時まだあやふやで、一太郎を開発した Justsystem社。エンジニアの社長夫人が開発した日本語入力システム ATOK(エートック)が一歩抜きんでていました。
それでもまだ当時、ワープロなんて使うところなど、ごく限られていたでしょう。
個人ではなく、研究機関、大学、あと中学校。
インターネットが世間にお目見えする、約十年も前のことです。
中学校でパソコンを大量購入するぞとなったとき、購入要綱を牛耳ることができる、ちょっとオタッキーな先生が、
「買うなら NEC のPC98が良いよん。」
と、鶴の一声を発して結果、学校には NEC の PC98 シリーズがどんどん設置されていった。
ハードウェアが多ければ、当然ソフトの需要もあるわけですから、今度はソフトを開発する各社がこぞって PC98 シリーズのソフトを開発していきます。
すると、ますます NEC の牙城となる環境が整えられていきました。
その頃には学校でパソコンを購入、入替する際には
「PC98 じゃなくてどうするの?」
といった風が吹いたくらいに栄華を誇った NEC。
しかし、盛者必衰ではありませんが、そんなNECの牙城にも市場の流れは大きな変化をもたらすことになりました。
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