2019年01月29日
パワーハラスメント
2005年4月25日 JR福知山線脱線事故
YouTubeを見ていると、おすすめ動画が出てきますね。
何度も何度も“2005年4月25日 JR福知山線 5418M 脱線事故”が出てくるため、見てみることにしました。
はじめ、私はJR福知山線脱線事故と書いてあっても、1991年5月14日の信楽高原鐵道列車衝突事故と勘違いしていました。
事故は2005年4月25日、午前9時18分頃、兵庫県尼崎市で起きました。
現場は福知山線塚口駅−尼崎駅間の右カーブ区間です。
運転士は当時、若干23歳、運転歴は11か月。
8:53頃、事故列車は宝塚駅の手前で信号無視。ATSという自動列車停止装置が作動し緊急停車します。
ここで15秒の遅れが生じます。
信号無視は報告義務がある重大な違反。
続いて直前の停車駅、伊丹駅へ向かう途中、制限速度を超え120kmで走行します。
その結果、停車位置をオーバーランし、やむなく列車を後退させます。
この時点で列車の遅れは1分20秒にもなっていました。
20分以内に2度目の違反をしてしまいます。
オーバーランを起こした場合、車掌は報告義務があります。
運転士は処分を恐れ、駅を発車してすぐ車掌へ内線電話します。
オーバーランした距離を過少報告して欲しいという内容でした。
実際には70mのオーバーランを車掌は8mと報告していました。
次の尼崎駅では乗客の乗り継ぎのため秒単位の遅れも許されない中、すでに1分20秒も遅れています。
運転士は少しでも遅れを解消したかったため、列車が制限速度を大幅に超えていることに気付かなかったのか。
事故現場のカーブは時速70km制限。そこへ116kmのスピードで進入します。
そして午前9時18分、事故発生。107名の乗客が命を落としました。
私はこの日の午前中にネットで事故を知りました。
テレビのニュースで取り上げたのは午後、だいぶん経ってからです。
初めてテレビよりもネットの情報が早いことを知らされた事故でもありました。
私はこの事故を運転士の未熟さが招いた事故だと結論付け、あまり深く知ろうとしませんでした。
しかし事故究明するにつれ次々と暴かれるJR西日本の利益・効率主義と企業体質。
まずハード面ではカーブ手前にまだATSは設置されていませんでした。
もし設置されていたら事故はなかっただろうといいます。
その後、法改正により福知山線のカーブ手前にはすべてATSの設置が義務付けられました。
また1997年に尼崎駅へ続く事故現場になるカーブの半径を600mから304mへ変更していたのです。
新しい路線に直通運転するため、より早くより効率的に乗客を大阪へ運ぶため、
ダイヤを改正、JR福知山線はもっとも過密なダイヤになりました。
また運転士は脱線の4秒前にブレーキをかけています。
ブレーキには“常用ブレーキ”と“非常ブレーキ”があり、運転士がかけたのは常用ブレーキでした。
非常ブレーキを使うと報告義務があります。
信号無視、オーバーラン、さらに非常ブレーキまで使用したくなかったのでしょう。
運転士がパニックに陥っているのは明らかです。
なぜ、そこまで追い詰められたのでしょうか。
運転士は運転を始めて3週間後に100mのオーバーランをしています。
そのため13日間、“再教育プラグラム”を受けています。
事実、多くの職員が“日勤教育”という“再教育プログラム”を受けています。
また運転士が再教育プログラムを受けるのは特に多いといいます。
再教育プログラムは対象者を非難し、罵倒し、面目を潰す懲罰的な内容です。
通常の業務から外され、鳩の糞の掃除、反省のレポートを延々と書かされたり報酬を減額されたりすることもあるといいます。
再教育プログラムはその期間も知らされず、延々と続く場合もあるのだとか。
労働組合によれば、それは人権侵害、いじめであるとし、中には2分間、会議に遅れただけで5か月間の日勤教育を受けた人もいるといいます。
これでは実質上の退職勧告です。粛清(しゅくせい)です。
運転士は信号無視で焦り、オーバーランもしてしまい処分を恐れたあまり事故につながったと考えられます。
実際に、もう二度と再教育プログラムを受けたくなかったのでしょう。
これを見て私は5年ほど前まで近いことをしていたコールセンターがあったことを思い出しました。
“再教育プログラム”とか、特に決まった名前で呼ばれていたことはなかったのですが、通常業務から外され期間も知らされず、延々とレポートを書かされたことがあります。
勝手に休日も変更され隅の席に追いやられ、いつまでそんな日が続くのかわからない。
確かにミスを犯したことに違いありませんが、見ていると同じミスでも許される人がいるのです。
私は上司から見て従順ではないので、特に狙われやすいのかも知れません。
それが十日も続くとプライドの高い人なら「辞める!」となるのでしょう。
実際にそれを待っているかのようでした。
「辞める?はいどうぞ。」と。
面目さえ気にしなければ、一日中座ってレポートを書いている振りさえすれば給料がもらえます。
私は逆に「ラッキー!」と思う気持ちもありました。
そのうち他の部署からお声がかかり、そちらへ移って「はい、めでたし」でした。
“捨てる神あれば拾う神あり”です。
今はこういった話を聞きません。
パワハラ以外のなにものでもないですから。
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