コールセンターでは発信でも受信でも普通、一通話ごとに履歴(通話記録)を残します。
ひとりのお客様に対して、一回の対応で終わることは少ないです。
発信では電話をかけても留守番電話であることが多く、受信だと一度の対応でお客様の要望が完結しない場合が多いからです。一度の対応で完結する場合もちろんあります。しかし一人の顧客としてみると、一か月後とか一年後にまた架かってくることが多くあります。
また、コールセンターではこのお客様には誰という、担当制でない場合がほとんどなので、次に電話を受ける人、または次に発信する人のために履歴を残すようになっています。
その履歴の付け方も発信と受信とではそれぞれ特徴があります。
発信の履歴は短く簡潔です。
また、内容が類似していることが多いため、多くのオペレーターたちは通話後に履歴を付けます。
対して
受信では発信に比べると案内する内容も幅広く、お客様個々に応じた個別対応も多くなるため、履歴は長くなります。対応が終了してからいちいち思い出して書くのでは時間的なロスがあるため、受信の場合は対応しながら同時に履歴をつけていく場合が多いです。
こっちから電話を架けると、オペレターが話をしながら、キーボードをカタカタ打つ音がするのを聞いたことはありませんか?
発信と受信とでは受信の方が覚える内容も広く、お客様対応をしながらキーボード入力するというスキルが必要です。そのため、受信のセンターが平均年齢も低くなっています。
その履歴ですが、上手い、下手が表れます。
発信の場合を例にしましょう。
A.旦那様が出られ、案内しましたが奥様が決定権を持っているそうです。お話がしたいのでいついらっしゃるか聞きましたが、わからないといわれましたのでまた改めると言いました。
B.ご契約者様と対話。決定権者は配偶者様、不在。在宅不明。
明らかにBが理解しやすいと思います。
コールセンターに不慣れな新人は話した通り、時系列に書くことが多いようです。
さらに、履歴には
「奥様と対話。ご本人様は土曜日に在宅。」
とあったとします。
もし、ご契約者が女性だった場合、「奥様って誰?」
ということになります。お嫁さんかもしれないし、お母様かも知れません。
対応したオペレターは、自分がわかっているから、このような書き方で済ませてしまうというのもあります。
またこれは最近、気になることです。
他のオペレーターが書いた履歴にありました。
「本人様は留守とおっしゃり、また改めると終話。」
この、「おっしゃり」というのが気になります。
これは、「おっしゃい」が正しいのではないですか?
「おっしゃいませんでしたか?」というのはあっても、
「おっしゃりませんでしたか?」というのはありません。今のところ。
それが複数人、「おっしゃり」と履歴に書く人間がいるのです。
私の嫌いな敬語に、「いらっしゃらないですか?」というのがあります。
他のオペレーターがお客様と対話しているときに聞こえてくるのですが、ラ行の音が二つ重なるので嫌です。
これは「いらっしゃいませんか?」というのが美しいと私は思います。
もっとも、テレビでも「いらっしゃらないですか?」という出演者が、しかもニュースキャスターにもいるので、もう手遅れでしょう。
私はラ行の多い会話が好きではありません。
なので、「おっしゃり」というのがとても気になります。
最近、達筆な人が少なくなりました。
上手い字を書くにはマネをしろといわれたものです。
言葉もそうで、古い人ほど綺麗な敬語を遣います。
「お気軽にお電話ください」ではなく、「気軽にお電話ください」とか、
1階、2階、3階で、3は3がいと濁るんだよといった暗黙の規則を昔は皆知っていた。
昔のドラマを見れば、それらは守られています。
それがいつか、マネをしないようになるから、失われてしまった。
若い人同士の話を聞いていると、ゲームの話をしていることが多くあります。
私はその話題についていけません。
若い人は若い人なりに、いろいろ覚えなくてはならないことがあるのでしょう。
そんな中で「ことば」はマネされないようになってしまった。
マネをするには「興味」が必要です。ことばにまでは興味を惹かれないようになってしまったんですね。
せっかく美しい、日本の文化であるのに。
2018年03月02日
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