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2015年08月17日
和久峻三 『雨月荘殺人事件』、船戸与一 『伝説なき地』第42回日本推理作家協会賞受賞(長編部門)(1989年)
『雨月荘殺人事件』
長野の温泉旅館で、資産家女性の死体が発見された。自殺に偽装した殺人だとして夫が逮捕され、裁判がはじまる。はたして真相はどこに?実際に地方裁判所の公判で用いられている関係書類によって、事件の謎解きはすすめられていく。実況見分調書、解剖報告書、証拠写真…。他に類例のない画期的な形式のミステリー。
著者 和久 峻三
1930年大阪府生まれ。中部日本新聞社の記者から弁護士に。1972年、民事裁判というテーマが斬新な『仮面法廷』で第18回江戸川乱歩賞を受賞。法律推理や経済推理が話題となる。1975年発表の「疑わしきは罰せよ」に登場した、赤かぶ検事こと柊茂のユニークなキャラクターはとりわけ人気を集め、テレビ・ドラマにもなっている。そのほか、猪狩文助、花吹省吾、日下文雄といった弁護士や、京都を舞台にした音川音次郎警部補と、シリーズ・キャラクターものを中心に作品多数。
『伝説なき地』
ベネズエラの名門エリゾンド家が所有する涸れた油田地帯から希土類と呼ばれる超伝導物質が発見された。独占的採掘権を餌に巨億の富を手に入れようと画策する当主ベルトロメオ。欲望に操られて憎しみ合う親兄弟と情婦ベロニカの血で血を洗う闘争が始まる。南米冒険小説巨編。
著者 船戸与一
1944年、山口県下関生まれ。早稲田大学卒。75年、豊浦志朗名義で『硬派と宿命』を刊行。79年の『非合法員』以下『夜のオデッセイア』『血と夢』『神話の果て』『山猫の夏』『猛き箱舟』などの海外を舞台にした冒険小説を手がけ、2000年『虹の谷の五月』で第123回直木賞を受賞。
第42回は短編および連作短編集部門で小池真理子さんの 「妻の女友達 (集英社文庫)」(短編)が受賞しています。
また評論その他の部門で直井明さんの 『87分署グラフィティ ―エド・マクベインの世界』が受賞しています。
87分署グラフィティ―エド・マクベインの世界 (双葉文庫―日本推理作家協会賞受賞作全集)
『売国奴』 第8回 日本探偵作家クラブ賞(現 日本推理作家協会賞)受賞(1955年)著者 永瀬三吾
日本推理作家協会賞受賞作全集 (8) (双葉文庫)
権謀術数の渦巻く日中戦争末期の中国大陸を舞台にした「売国奴」。
戦時中の天津市が舞台の第二次新日本政府設立という発想。スパイものである。
「売国奴」は「日本推理作家協会賞受賞作全集 (8)」 (双葉文庫)に収録されています。
探偵作家クラブ賞(現 日本推理作家協会賞)は、第6回(1953年) 受賞作なし、第7回(1954年) 受賞作なしです。
第8回 から「日本探偵作家クラブ賞」と名前が変わっています。
著者 永瀬 三吾
東京生れ。仏語専修学校卒。
一九四七年、「宝石」に「軍鶏」を発表。五五年、敗色濃厚の中国大陸を舞台にした短編「売国奴」で日本探偵作家クラブ賞を受賞。本格物から捕物帳まで幅広く執筆。長編に「白眼鬼」があり、短編に「殺人乱数表」「発狂者」などがある。五二年から「宝石」の編集長に就任し、五七年八月に江戸川乱歩が編集長となるまで務めた。探偵作家クラブの幹事を務める。1990年没。