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2015年07月15日
NHKすっぴん! 「源ちゃんのゲンダイ国語」で紹介された本「書き出し小説」
「源ちゃんのゲンダイ国語」は、NHKラジオ第一で、月曜〜金曜の朝放送されている、「すっぴん!」の金曜日のパーソナリティー高橋源一郎が、選んだ本を紹介するコーナーです。
以前にそのなかで紹介された本、「書き出し小説」
書き出し小説とは、オリジナルの書き出しだけで成立した文学史上最も短く、また新しい文学スタイルである。読むのは一瞬。しかしその余韻は長く、深い。貴方のイマジネーションを容赦なく刺激する、書き出しの世界。
天久聖一(アマヒサ・マサカズ)/編
1968年、香川県生まれ。1989年、ギャグ漫画家としてデビューするも、以後さまざまなジャンルに活動の場を広げすぎた結果、完全に自分を見失う。主な著書に『バカドリル』シリーズ、『バカサイ』シリーズ、『味写』シリーズ、『少し不思議。』『ノベライズ・テレビジョン』など。
それでは、たった数行、冒頭だけの、かずかずの物語をどうぞ!
- モンスターペアレントは森の人気者だ。
- メールではじまった恋は最高裁で幕をとじた。
- その日、少女はエイプリルフールの日だと知らずに告白した。その日、少年は エイプリルフールの日だと思って承諾した。その日、二人の物語は動き出した。
- 恩田さんは身体を前のめりにして「そのバーは照明が薄暗いのかい?」と聞い てきた。三十五にして初デート。応援してあげたい。
- 『ねんど』だ! 高校以来だから十年ぶりか。ものすごくいい女になってる。ああ、本名が思い出せない
- 湿気を吸った猫は、押入れの隅で「取り替えて下さい」と小さく鳴いた。
- 仏間の障子はいつもネコの頭幅分開いている。
- 押し花にしたラフレシアのしおりが文庫本からはみ出している。
- ダメなの有楽町のあのお店じゃなきゃ、と駄々をこねてみる。見られてしまえばいい、会社の人にも、同じ職場で働く奥さんにも。
- その罵倒が告白だと気づいたのは翌日の放課後だった。
- 砂に書いた文字まで波は届かず、だから自分で消した。
- 「いいか、おまえは何もするな」未来から来た自分に言われた。
- 醤油びんが倒れて醤油が円を描く。その中に猫がはいる。
- フランケンは頭のボルトとナットをきつめに固定し、夜の街へと繰り出した。
- 寄りかかった猫の形に網戸が伸びて、家主は留守だ。
- 私服の委員長は猫背をめいっぱい反らして短く2度鳴いた。
- 「サイバーテロや!!」父ちゃんが暗闇で叫んだ。母ちゃんは急いでブレーカーを上げにいった。
- 三丁目の路地裏にはいつだって黒猫がいたし、そこを通る僕は決まって傘を持っていた。
- 「フェミニズムねえ…」ステラおばさんはマグカップを見つめ、寂しそうに笑った。
- 叔母がレーダーに映らなくなってから半年が経つ。
書き出し小説は、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルだそうです。ちょっと猫を多めに入れてみました。
「源ちゃんのゲンダイ国語」で取り上げた本をまとめてご紹介します。
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価格:880円 |