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2015年07月11日
NHKラジオ、「すっぴん!」、高橋源一郎の「源ちゃんのゲンダイ国語」、7月10日(金)に紹介された本、『中原昌也の人生相談 悩んでるうちが花なのよ党宣言』その2
2015年7月10日に、NHKラジオ第一「すっぴん!」「源ちゃんのゲンダイ国語」のコーナーで紹介された本は「中原昌也の人生相談 悩んでるうちが花なのよ党宣言」。昨日の続きです。
それでは、次の相談例を紹介します。藤井彩子アナウンサーが質問を読み、高橋源一郎さんが回答を読んでいます。
50才 自由業 男性 あらゆることにやる気が起きません。
あらゆることにやる気が起きません。仕事だけでなく、家事や雑事もまったくやる気が起きず、ただただ、棚上げにしてしまいます。子供の頃から怠け者だったのが、年々ひどくなってきた、という感じでもうかなりヤバイ状況です。どうにかこうにか、仕事に着手しさえすれば、完遂することはできるので、なんとか生きていられますが、最初のヤル気スイッチが入るまでの時間が年々長くなってきていて、悩んでいます。中原さんはヤル気スイッチの入れ方の、コツみたいなものはお持ちですか。
それに対する回答がこちら。
こっちが聞きたいことですよ。ヤル気スイッチなんてそんなもの、人間に有るわけないじゃないですか。僕の場合はヤル気を出すんじゃなくて、なし崩し的にやるしかない状況を作り上げる。まずはとにかく、有り金を全部使い果たして、しかたなく仕事をせざるを得ない状況に自分を追い込むんです。いや、使い果たすだけでは不十分で、借金をするところまでいかないと仕事はできない、とも言えます。僕はこのやり方で連載の仕事をこなしている。あんまり成功しないですけどね。でももう僕にはそれぐらいしか方法がないんです。書く仕事にはまったく興味がないのです。
その後の藤井彩子アナウンサーと高橋源一郎さんの会話。
高橋「おい、おい、おい、とツッコミを入れたくなりますなあ。「ドゥマゴ文学賞」を受賞した『中原昌也 作業日誌』は普通の日記と違って、とにかくやたらとものを買う、お金もないのに、レコード、CD,本、楽器、買って、買って、で家賃が払えないとか電気代払えないとか。で、なんでそこまでするかと、当人に言わせると、そこまでしないとヤル気スイッチが入らない。もはや修行ですよそうなってくると。で、どうするのと言ったら、お金なくなったら、買いためたものを売って、売ってどうするのと言うと、またそれで本を買うと言う。なかなか立派なことをやられていますねえ。いやもう作家の鏡ですよ。ということで僕好きですね。ヤル気スイッチなんてそんなもの、人間に有るわけないじゃないですかっていうのは、僕もそう思います。みんな無理やりヤル気を出しているわけですから。」
藤井「みんなそうなんだよ。ということですよね。」
高橋「そう、そう、そう、だからこれ実はね非常にいいこと言っていると思うんだよね。」
さてそれでは、次の相談例。
機械設計業の32才男性からのお悩み「借りた金かえせよ」
友達がお金を返してくれません。正確に言うと、結局は返してくれるのですが、遅れます。これまで5度程貸しましたが、5度とも期日に返ってきませんでした。貸すたびに返済はどんどん後ろ倒しになっています。もう20年来の友人で仲違いはできればしたくありません。絶妙な取り立て方法をご教授いただけないでしょうか。
あげるつもりじゃないんだったら貸しちゃダメだよ。取り立てられる立場の僕が言うのもなんですけど、僕は1万円だって、絶対返さなくていい人からしか借りません。大人の稼ぎのある人からしか借りないんです。お金がなさそうな人からは千円ぐらいしか借りない。でもこの友達は遅れてもちゃんと返すわけですよねえ。じゃあいいじゃないですか。セコイですよ。20年の付き合いで仲違いしたくない友達なら1万円ぐらいあげればいいじゃん。僕だってお金貸すときはあげるつもりですよ。最近はそういうこともないですけどね。でも借りる方も殴られない程度にユーモアでごまかす努力はほしいですね。おまえからは借りることはあっても二度と返さないとか。わけわかんないことをデカイ態度でいう。本気で逃げちゃだめなんです。本気で逃げられると追いかけたくなっちゃうから。それにしてもちっちゃいですねこの人。ちっちゃい機械でも設計してるんでしょうか。
さて、その後の藤井彩子アナウンサーと高橋源一郎さんの会話。
高橋「お金を借りるなんてものは大変深刻なもんですが、でもそれをやっぱり少しね、笑いをちょっと入れてね。そいうもの入らないと友達とね、ヒビが入っちゃうから。だからこれね、お金を貸したり借りたりするだけじゃなくて、人間関係の話もちゃんと・・・」
藤井「そういうことかあ」
高橋「だからそこはね、なかなか偉いと思うんですよね。実際なかなかね、あげるつもりじゃないんだったら、貸しちゃダメだよ。と言うのはまあそのとうり」
藤井「なにかをしてあげる、してもらうってこともおんなじ事がたぶんいえますね。見返りを求めてなんかするんじゃなくって、ていうことですね」
高橋「キリストみたいな人ですね。」
藤井「でもどっちかっていうと、中原さんは相手にキリスト性を求めています」
高橋「まあいいじゃない」
おすすめ映画は、「劇場版 ナニワ金融道 灰原勝負!起死回生のおとしまえ!! APS-80 [DVD]」だそうです。
今日はここまで、明日またもう一つ相談例を、高橋、藤井の朗読したものを、書き起こしてみます。
「源ちゃんのゲンダイ国語」で取り上げた本をまとめてご紹介します。
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価格:1,080円 |