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2019年11月10日

大学病院へ 1


 2014年9月末


 明日がいよいよ大学病院に行くという前日
 
 O先生のところへ 診療データを受け取りに行った

 先生は やはり手術になる確率が高いだろうと言っていた

 予想はしていたものの 少々落胆したことは事実だ




 夜になって 夫から電話が入った

 
 「明日 医大には付き添いますから」・・・と

 
 「なるべく早く自宅に来てね 待ってるから」



 言われなくとも 早く行きますよ!!!

 9時の予約の大学病院なんて 
 患者さん達が早朝から並んでるじゃん!!




 娘とのメールで 

 父はこんな事になっても 教授に伝えるというくらいしか
 アクション起こさないね、と言っていた矢先だった


 
一緒にいってくれるのは やはり助かる

 どんな結果になるのかドキドキしていたし
 重い結果なら それはそれで夫に直接聞いて欲しかったから





 当日 9月25日の朝 やはり何となく落ち着かない 

 大学病院へは 15分ほどで行けるので
 7時半頃に自宅に行った

 
 イレッサは忘れずに飲んで ドキドキしながら向かった



 広大な駐車場がある病院だったが 
 部分的に工事箇所があり 空きを見つけるのに手間取った



 紹介とはいえ 初診には変わらないのでずっと待たされた!!!

 泌尿器科のせいか 待合室には 中年以降の男性がやけに目立った

 そのせいで 加齢臭の波状攻撃にさらされ続けた!
 (自分のことは棚に上げて 笑)




 



 
 


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2019年11月08日

職場への報告


 2014年9月22日

 今日は職場へ 再発転移したらしいこと
 大学病院での診断を待つこと・・・を
 報告しなければならない


 直接 上席者に電話しようかなと考えていたら
 所長が 10月から配属になる社員さんを連れて
 こちらの部署に来るとのこと


 とても誠実そうな営業さんを伴ってきた


 挨拶を簡単に済ませた後
 所長の方から「体調はどうなのか?」と振ってくれた



 検査の経緯を話し 改めて大学病院の検査を受けること

 手術になったとしたら2週間前後は休まなくてはならないこと

 予後の体調がどうなるのか 全く予測できないこと


 等々を話し 今回こそは辞表を受け取っていただこうとした


 

 「いやいや(笑) なんでそんなに辞めたいの?
  2週間程度なら 繁忙期ではないので全然大丈夫ですよ」


 ニッコリと笑いながら 私に念押しした


 「しっかり検査を受けて そして先生の診断に従いましょう
  どんな検査結果であれ 最善の方向に向かうように祈ってます」


 
 私よりも10歳以上年若い所長であるが
 こと 人の心の機微にはとても敏感な方だ

 前回の手術時といい 放射線治療の時といい
 迷惑ばかりかけている私に 

 いつも 
 自分と病気とに向き合うことを促してくれる



 「支店長や 営業所メンバーには
  私から社内メールを送っておくので
  あまり気にしないで 大学病院に行ってください」



 そう言ってもらえて 心底ホッとした









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2019年11月06日

義姉のところへ


 2014年 9月
 再発転移がほぼ確定となってしまった今
 
 また子供達にも知らせなければ・・・と
 病院の駐車場でメールしようとしていた


 と、そのとき義姉から連絡が入った

 「さつまいもご飯を炊いたから 食べに来ない?」との事


 お言葉に甘えて お邪魔することに!
 
 あらゆる料理が 本当に上手な義姉の申し出
 お断りしたらもったいない(笑)



 道すがら 市民運動場のテニスコート脇を通るのだが
 その駐車場に車を停めて 夫にも連絡をした


 その頃の夫は 配属部署の関係で大学病院に出入りしていて
 何と 泌尿器科の教授とも面識があった


 メールでの返事ではなく すぐに電話がきた!

 「私からも 教授に伝えておきます」との返事だったが
 付き添うとも 休みを取るとも 何のアクションもなかった

 期待する方がバカだったな・・・と情けないまま義姉の家へ




 裁判のことやら 再発転移したらしい病気のことまで
 夏の間 ゆっくり話せなかった分を存分におしゃべりした

 もちろん 今しがた夫から来た電話のことも・・・


 偶然に 早めに仕事を終えた義兄も帰宅して
 これまた色々と 多岐に渡った話をすることができた


 大学から帰って来た娘からのメールもあり
 こちらに来いと呼び出し 楽しい夕食の時間を過ごした


 帰り際に " いつでも 協力するからなんでも言ってね! " との
 お言葉をいただいておいとました


 いつもながら たくさんの元気をもらえてうれしくなってしまった


 
 そして 夜には息子たちに 大学病院に行くことを連絡




 あーーーー 
 来月には また入院生活が始まるのか・・・

 メールを打ちながら 一人アパートで涙ぐんでしまった







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2019年11月04日

大学病院への予約


 もう一度 O先生の病院に戻る


 洗濯物を取り込みながら 考えていたことを
 O先生に聞いてみようかとも思ったが
 
 大学病院のこれからの担当医に聞くべきだろうと
 冷静に考え直して 診察室に入った



 「ニャンままさん 大学病院の予約が無事取れましたよ!

  来週木曜日の9時に 泌尿器科副腎内分泌外科に行って下さい」


 何だか えらく長い名前のところだな・・・とぼんやり思った
 正直 一度では聞き取れなかった(笑)


 「診療データと紹介状はこれから作成しますので
  来週水曜日 大学病院に行く前日に取りに来てください

  担当医とチームが判断して治療方針を決めますが
  ニャンままさんは おそらく手術になると思われます

  今からでも 
  食事のバランスに気をつけて体力つけておいて下さいね」

 

 O先生も かつてはその大学病院の医師だったので
 先生方とのパイプも強い

 電話でおおよその事を伝えたときの判断だろうが
 やはり 手術が濃厚という結論になったのだろう



 何となく 自分の周りが勝手に回転し始めたような
 そんな感覚に陥った

 よくテレビドラマで見る ぐるぐる回るカメラワークそのもの


 ガンマナイフと違い また本当のメスを身体に刺すのか・・・

 転移しているから手術なんだろうけれど
 きれいに取りきれるのだろうか?

 術式は 開腹になってしまうんだろうか?

 そうなったら 肺のときの傷と同じに
 お腹に大きな傷ができてしまうんだろうな・・・などと
 とりとめなく考えてしまった



 「ニャンままさん! 

  転移といっても まだ早い段階だと思われますから
  大学病院の担当医と 最善・最良の治療をしていけますよ
 
  あまり 考えすぎないで プロに任せてください!」



 O先生からのこの言葉で いつもの自分を取り戻した

 
 そうだ!!
 自分が考えたからといって 治療方法が決まるわけではないし
 もちろん執刀するわけでもない!


 今まで通り先生方を信頼し 全てお任せすればいいだけだ!!!



 余計な力が入っていた肩が フッと軽くなったような気がした


 「先生 改めて これからもよろしくお願い致します!」

 
 「大丈夫ですよ! 

  私はずっとニャンままさんの担当医としてそばにいますので!」



 O先生からの言葉に励まされ 帰路についた






  
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2019年11月03日

腹部CTの本当の結果


 腹部造影CTを撮ってから1週間


 穏やかな天気が続いて 仕事もそこそこ忙しく
 職場のチーム飲み会などもあり

 検査結果のことは それほど深く考えずに過ごせた



 この日は午前中 友人と会い ランチを楽しみ
 そのあと 午後の予約時間に滑り込んだ


 1時間近く待たされて やっと通された診察室

 
 O先生が 一枚の画像とA4のプリントを一枚持っていた


 「専門医からの読影結果が出ました
  右腎臓に 転移性腫瘍らしきものが見られるということです」


 は? 膵臓の右寄りって言ってたのに「腎臓」?



 「取り急ぎ 大学病院に紹介かけますね

  ここの病院よりも あらゆる症例に対応できますし」


 すぐにO先生が電話をしてくれたが
 専門科は混み合ってなかなか繋がらない


 大学病院からの確実な返答をもらうまでは時間がかかるようだ
 (どうして世の中こんなに病人で溢れているんだろうと思うくらい)

 看護師さんの話では1時間近くかかるかも?と言われ
 一度自宅に戻った




 洗濯物を取り込みながら ぼんやり考えてしまった


 見つかった転移に対して スタンダードな治療ができる段階なんだろうか?
 よしんば出来たとして それがきちんと延命につながるのだろうか?

 脳内に転移した腫瘍と違って やはり手術になるのだろうか?

 術後に 余命宣告されるようなことになるのではないだろうか?



 これまでの自分の中には無かった マイナスの心配事が次々と・・・

 さすがに 精神的に余裕がなくなってきているだな、と
 自覚せざるを得なかった








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2019年11月01日

夫は?


 腹部CTの結果を受けて
 (いや 正確な結果はまだだが)

 一連の流れを 夫に知らせなくては・・・


 娘から様子を聞いてはいたが このところの夫は
 裁判などなかったように 何事もなく普通に暮らしていると


 ・・・とは言っても 狐目の彼女から未だメールが来ているらしい

 娘も呆れて 今更内容までは確認しないようだが

 スマホを大事にトイレに持ち込んでいたり
 
 甘いロック画面のために 
 表示が出ているのを覗き見したりできたらしい


 私も呆れて いや諦めて
 もう夫が何をしようが どうでもよくなって来ていた
 
 裁判までしたのに このザマなのだから
 期待する方が無理というものだ



 それに 現実問題 今自分の体の中に起こっている事が
 一体どういう事なのか はっきり判明するまでは
 夫のことなど 正直些細なこととしか思えなかった


 案の定 メールで知らせた返事が・・・・


 「大変だね 変われればいいんだけど・・・
  すみません」


 これだけ???

 何に対しての「すみません」なんだ???

 これが 転移かもしれないと怯えている妻に対する言葉なの?



 いやいや 冷静に思い返せば

 人の気持ちに寄り添えないから
 病気の妻から逃げて 平気で不倫してたんだった!!!



 あーーーー 知らせなきゃよかった!!!

 こんな気持ちで来週の結果を待つことになるなんて!!!






   

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2019年10月31日

腹部CT


 2014年 9月12日

 
 O先生の総合病院での 腹部CT撮影の日


 その日の朝 
 なぜか今までにないような幸福感に満ち足りた夢を見た


 ( 以下 手帳に書き留めておいた内容 )


 3人の子供たちはまだ幼く
 
 私と連れ立って 小さな商店街のイベントへ出かけている
 皆で笑い転げている 楽しくて仕方のない雰囲気

 商店街を抜けると なぜか結婚式場に向かうことになっているらしい
 その道すがら 持っていたスマホが壊れて大騒ぎしている

 次の瞬間
 狭い道になぜか 花火か戦火なのかわからない程の火が降り注ぐ

 危機的な状況に置かれているかもしれない場面なのに

 スカッとした妙に明るいトーンで 恐怖感どころか
 全体を包まれるような幸福感に満ち足りた感情のまま 目覚めた 


 今 手帳を読み返しても " 何じゃこりゃ? " と言うしかないが

 夢占いに照らし合わせれば 何かのお知らせがあったのかも(笑)




 その不可思議な夢のおかげなのかもしれないが
 それほどの緊張もなく病院へ向かうことができた



 検査は午後からだったので
 患者さんたちでひしめいている午前中と違い

 病院全体がどっしりしているような 落ち着いた雰囲気だった
 技師のみなさんも 時間に追われている表情ではなく穏やかだった



 CT撮影自体は 何の問題もなく無事に終了



 診察室に呼ばれると 火曜日とは違った表情のO先生が言った


 「結果としては・・・ やはり何かありますね
  膵臓の右寄りに 少しデコボコした塊にも見えるものがあるんです

  ただ これが " どこの何か " と結論づけるのは 
  専門医の読影を待った方がいいでしょう」



 いやいや せっかく撮ったのに結論が出ないって・・・


 はっきりと落胆の表情が見て取れたのだろう

 O先生は 続けて言った

 
 「私は 呼吸器外科専門なので 
  消化器系の先生に確定診断を仰いだほうが より確実なんです

  ニャンままさんに合った 最善の治療をするためにも
  専門医と相談していきたいので・・・・」



 もちろん ありがたいお言葉ではあったが 
 その時の自分には 正直 全く響いてこない言葉だった








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2019年10月30日

先生との温度差


  腫瘍マーカーとしてよく使われる
  2種類の項目

  CEA そして  CA19-9

  CEAは 基本的に5以下が正常値範囲内
  同じく  CA19-9は 37以下が範囲内・・・のはず




  CEAが上昇したということは 肺腺がんの再発?

  そして CA19-9が上昇したということは
  消化器系など これまでにない部位への再発転移???


  一番恐れているCEAの数値が 3倍以上上昇 
  そしてもう一つは 100倍以上という上昇度合いの数値


  到底 すぐに受け入れられるものではなく
  正直 相当混乱していたと思う
  
  けれど とんでもない事態になったという自覚だけはあった



  「先生!!! 自覚症状がなくとも 
   この数字だと 絶対どこかに転移してますよね?」


 
  O先生は 首をひねったまま

  「確かにそう考えられますが 全身状態がすこぶる良いので
   慎重に検査をして その結果を受けてから対応を考えましょう」


  「腫瘍マーカーの数字は 判断材料として目安にはなりますが
   実際 個人差も大きく 確定診断には使われませんので」


  
  そんなことは 重々承知の上だ!!!

  けれど 100倍!!!!ですよ??? と言いたかった



  先生は 目の前のカレンダーとPC画面とにらめっこをして
  拍子抜けするほど のんびりとした口調で私に言った


  「すぐにでも検査したいのですが このところ予約がいっぱいなので
   検査室に空きが出る 金曜日に腹部CTを撮りましょう」




  今日は火曜日!
  これから3日間 眠れそうにもないではないか!?


  「心配しなくとも大丈夫! 
   きちんと画像で判断できるから そんなに深刻にならないで」



  先生としては 画像診断できるからいいのだろうけど
  その結果を受け 治療なり手術されるのは私なんだけど!




  今にして思えば O先生が努めて落ち着いて接してくれて
  プレッシャーにならないようにしてくれたのかもしれないが

  当時の自分は のんびりした口調の先生に少々イラついていた







               
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2019年10月29日

2014年 9月の通院日


 美術館巡りで気分がいいところに
 プー先生からかかって来た電話


 裁判所が和解を勧めていること
 あちら側にその気が全くないこと


 私たち原告側は 
 とうに 何をどうこうする段階でもなかったので
 プー先生と" 待ち " の方向で行こうということにした

 特別なことは一切せず ただ裁判所側の方針に従うと!


 自分としては 全く普通の 日常そのものを楽しみ

 娘や友人達と ” 判決 " になるのだろうか?などと
 半ば 進展をワクワクしながら待つ 穏やかな時間になった


 

 そして
 その年最後のスーパームーンが見られるという
 2014年9月9日

 O先生のところでの定期検診があった


 MRIとレントゲン単純撮影 そしてもちろん採血



 採血時の痛みはなかったものの 
 針を抜いてからしばらく出血が止まらず

 そんなに血管が弱くなっているのか?と心配になった


 出廷という面倒な出来事 
 そして真夏の時期を 無事に過ごすことができていたし

 自分としては 特に体調不良を感じることもなかったので
 
 今日の検査も楽勝!!!と思っていた




 検査結果が出揃って O先生の診察室に呼ばれる

 

 O先生が 少しだけ微笑みながら
 レントゲン写真では 特段の異常は無かったと言ってくれた

 
 けれど その後で
 少し首を傾げながら 血液検査の結果を見せてくれた
 



 そこに印字されていた検査結果の数値は・・・・・


 
 CEA・・・・・15.6

 CA19ー9・・・3896



 
 何だ??? なんの数字だ???




 すぐには ピンと来ず

 しばらくの間 その数字をただただ呆然と見つめていた








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2019年10月28日

そろそろ続きを・・・


  このところ 研修だなんだと仕事も忙しく

  台風や それに伴う大雨浸水被害が身近に起き
  何とも落ち着かない毎日を送っていた



  間も無く10月も終わってしまうというこの頃
 
  ようやく少しずつ 自分の気持ちも落ち着きつつある


  2014年の 裁判のことについて
  手帳を紐解いて また少しずつ書いていこうと思う

 
  それにしても よく頑張ったな、自分!!!という感覚

  実際 ごく当たり前の人生を送っていたとしたら
  全く経験する必要もないことを この年には経験していたのだから


  今 手帳を読み返しても 胃が痛くなるほどの時がある

  ストレスって 本当に身体にはよくないものだ!!!


  直接目で確認できないものだからこそ

  その影響の大きさや
  それによってもたらされる 様々な体調の変化は

  時が過ぎてから 
  「なるほど! そうだったんだ・・・」と
  実感することが多々あるという具合だ



  当時の自分に あまり感情移入し過ぎないように
  また 続きを書いていこうと思う


 
  つたないブログではありますが
  また よろしくお願い致します






 
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プロフィール
ニャンままさんの画像
ニャンまま
2011年12月に肺腺ガンの疑いと宣告される。 翌年2月に右肺上葉を切除。2014年に右腎臓摘出。 その間 何度か部位を変えて転移するも現在に至る。 2019年12月にパーキンソン病の確定診断を受ける。
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