洗面器に水を張って、口には床屋さんが使うタイプの剃刀を咥える。
そして月明かりが差し込む部屋で電気を消して、深夜0時ちょうどに洗面器を覗き込む・・・・
すると、水鏡に映るのは自分の顔ではなく、未来の夫もしくは妻の姿が映ると云われます。
・・・・・
これはお呪いを実際に試した女子高生のお話です。
私の旦那さんになる男性はどんな顔をしてるんだろう?
乙女チックな好奇心に誘われて、未来の結婚相手を見るおまじないを試してみることにしました。
水を張った洗面器と剃刀を用意して、部屋の電気を消して深夜0時丁度になるのを待ちました。今夜は月が出ていて、月光が部屋の中に差しこんでいます。
口には剃刀を咥えて、時計の針が12時の方向を指す瞬間を待ちます。
カチ、カチ、カチ、カチ、針が12時を指した瞬間、 「今だ」タイミングを見計らって勢いよく洗面器を覗き込みました。
すると、微かに揺れる水鏡には見知らぬ男性の顔が映っているではありませんか。
予想外の出来事に女子高生は固まっていると、水鏡の男性と目が合って、お互いにハッと驚いた表情を浮かべたときのことです。女子高生は口に咥えた剃刀をうっかり落としてしまったのです。
その瞬間「ぎゃあ!!」と男の悲鳴が上がり、気づくと剃刀の落ちた水面にはいつもの様に女子高生の顔が映し出されておりました。
あれは幻だったのか?女子高生はすっかり恐ろしくなってしまい、今日の事は記憶の隅に追いやって忘れることに決めました。
・・・・・・・
それから数年後、社会人になった彼女には婚約者が出来たのです。そして、先日その彼からプロポーズを受けてめでたく結婚が決まりました。
性格・容姿共に彼は理想の結婚相手で、念願叶ってゴールインした喜びで彼女は幸せの絶頂にありました。
そんな、幸せな気分に包まれた結婚式前夜のことです、彼は「お前に隠していたことがある」とかしこまった様子で告げました。
「隠していたことって一体なに?私達は夫婦なんだから何でも隠さずに言ってよ!!」彼女は不安を隠し切れない様子で言いました。
すると彼はおもむろに、顔のメイクを落とす動作を始めました。。。。しばらすると、分厚く塗られたメイクの中から本来の顔が現れました。
メイクで隠れていたのは、目から口にかけて残っている細長い痣です。その痣はまるでナイフで切りつけられたかのような傷痕に見えます。
本来の顔を曝して彼女にこう言いました。
「俺が高校生だった頃、夢でお前とそっくりの女に顔を切られたんだ・・・・目が覚めて鏡を見るとこんな痣がついてたんだよ!!」
彼女は言っていることが理解できません。
「何を言っているの!?私があなたにそんなことをする訳が無いじゃない!!私がやったって言うの!?」
彼女は必死になって反論しましたが、彼は聞く耳を持ってくれません。
「お前は昔、未来の結婚相手を見るお呪いをやったって言ってたよなあ?そのとき映ったんだろ男の顔が?どんな顔だったか覚えているか?
そのとき落としたんだろ?ナイフのような剃刀を。。。
お前が忘れても、俺は忘れるものか!!俺はあれから毎日顔を切りつけられる夢を見ているんだ!!
俺の人生を返せ!一生賭けてお前に復讐してやる!!」
・・・・・・・・・・・・・・
未来の配偶者が見えるお呪いには正式な作法があって、本来は洗面器と剃刀の他に数種のアイテムが必要だと云います。
実際に色々なモノが見えてしまうので、正式なやり方は限られた人しか知らないそうです。