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2020年05月28日
指導とパワハラの境界
今回は「指導とパワハラの境界」について考えてみます。
パワハラ(パワーハラスメント)とは、職場内で優位に立つものが、相手の人格や尊厳を気づ付ける行為や言動を繰り返して行いなどして、相手に精神的な苦痛を与えることを言います。
しかし、業務上、部下を指導する事は必要で、厳しい指導がすべてパワハラと判断されることはありません。時には、部下に対して厳しい言葉をかける事が上司として必要な場合も多々あります。
本来であれば、即パワハラであると判断されることはありません。
パワハラと指導、教育の線引きはとても難しいと言われています。その通りだと実感します。その時の状況に応じて慎重に判断せざるをえません。
なかには、上司が「ミスを叱っただけだ」「能力不足の社員を指導しただけだ」との認識でも、パワハラだと申し出を受ける事があります。
だからと言ってパワハラだと指摘されることを恐れて指導ができなくなってしまっては、本末転倒です。
ある例を紹介します。
【ゆうちょ銀行事件 徳島地裁 30年】
そして、裁判所の判断は次の通りとなりました。
この裁判を詳しく見てみると、Aに対し、上司らは強い口調の叱責を繰り返していました。そして、呼び捨てにするなどとして「指導」として相当性に疑問があると裁判所も判断しました。しかし、部下の書類作成のミスを指摘し、その改善を求める事は上司の業務です。叱責が結果的に日常的に継続したのはAが頻繁に書類作成上のミスを発生させたためだからです。
具体的な城氏らの発言内容について、人格を非難したものまで及ぶとまでは言えなかったのです。
以上から、叱責が業務上の指導の範囲を逸脱して、社会通念上違法なものではないと判断されたのです。
パワハラを法的に線引きすると被害者に対し、「身体的侵害」「名誉に対する侵害」「人格権などへの侵害」などに不法行為責任が生じるという事ですので、この部分をしっかりと理解しましょう。
パワハラ(パワーハラスメント)とは、職場内で優位に立つものが、相手の人格や尊厳を気づ付ける行為や言動を繰り返して行いなどして、相手に精神的な苦痛を与えることを言います。
しかし、業務上、部下を指導する事は必要で、厳しい指導がすべてパワハラと判断されることはありません。時には、部下に対して厳しい言葉をかける事が上司として必要な場合も多々あります。
本来であれば、即パワハラであると判断されることはありません。
パワハラと指導、教育の線引きはとても難しいと言われています。その通りだと実感します。その時の状況に応じて慎重に判断せざるをえません。
なかには、上司が「ミスを叱っただけだ」「能力不足の社員を指導しただけだ」との認識でも、パワハラだと申し出を受ける事があります。
だからと言ってパワハラだと指摘されることを恐れて指導ができなくなってしまっては、本末転倒です。
ある例を紹介します。
【ゆうちょ銀行事件 徳島地裁 30年】
●Aは貯金事務センターに異動になった
●Aは書類作成のミスが度重なり、上司らから強い口調の叱責を繰り返された
●Aは赴任後数カ月で異動を希望し、その後も希望し続けていた
●貯金事務センター赴任後の2年間で体重が15キロ減少した
●係長Bは体調不良のAを気にかけていた → BはAが「人生を終わりにしたい」と思っている事を知らされていた
●Aは自宅で自殺。遺族は「パワハラを受けて自殺した」と主張し、裁判を起こした
●Aは書類作成のミスが度重なり、上司らから強い口調の叱責を繰り返された
●Aは赴任後数カ月で異動を希望し、その後も希望し続けていた
●貯金事務センター赴任後の2年間で体重が15キロ減少した
●係長Bは体調不良のAを気にかけていた → BはAが「人生を終わりにしたい」と思っている事を知らされていた
●Aは自宅で自殺。遺族は「パワハラを受けて自殺した」と主張し、裁判を起こした
そして、裁判所の判断は次の通りとなりました。
●上司らのパワハラは確認できなかった → 叱責等は業務上の指導の範囲を逸脱していなかった → 社会通念上、違法と言うレベルではない
●会社はAの体調不良を知るべき状態でもあり、また一時的に担当業務を軽減したのみで、その他の対応はしなかった為、安全配慮義務違反があった → 損害賠償6,142万円が認められた
●会社はAの体調不良を知るべき状態でもあり、また一時的に担当業務を軽減したのみで、その他の対応はしなかった為、安全配慮義務違反があった → 損害賠償6,142万円が認められた
この裁判を詳しく見てみると、Aに対し、上司らは強い口調の叱責を繰り返していました。そして、呼び捨てにするなどとして「指導」として相当性に疑問があると裁判所も判断しました。しかし、部下の書類作成のミスを指摘し、その改善を求める事は上司の業務です。叱責が結果的に日常的に継続したのはAが頻繁に書類作成上のミスを発生させたためだからです。
具体的な城氏らの発言内容について、人格を非難したものまで及ぶとまでは言えなかったのです。
以上から、叱責が業務上の指導の範囲を逸脱して、社会通念上違法なものではないと判断されたのです。
パワハラを法的に線引きすると被害者に対し、「身体的侵害」「名誉に対する侵害」「人格権などへの侵害」などに不法行為責任が生じるという事ですので、この部分をしっかりと理解しましょう。
2017年02月28日
ストレス関連の疾患【心身症】
部下のメンタル面にも気を使うマネジャーですが、人によっては「これじゃこっちがメンタルやられてしまうでしょ」なんて言う人もいますが、心身ともに健康であってこその良い仕事です。そんな事で、「ストレス」に焦点を当ててみました。
人にストレス要因が加わると、身体面、心理面、行動面にさまざまなストレス反応が現れます。ストレス関連の疾患としての「心身症」について説明します。
心身症は、日本心身医学会によって次のように定義されています。
「心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいいます。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」
つまり、心身症は、器質的障害(胃潰瘍など)ないし機能的障害(緊張型頭痛)が認められる身体疾患という事になり、精神疾患ではないとされます。そして、ここでいう「心理社会的因子」には、業務に関連したストレスが含まれています。ちなみに、主に扱う診療科は精神科ではなく、心療内科となっております。
心身症が発症する原因としては複数あり、それぞれの特徴から推測される事もあります。例として、その特徴と心身症になりやすいタイプを紹介します。
アレキシサイミア(Alexithymia)
アレキシサイミアは、心身症の心理面の特徴ともいえます。「失感情症」「失感情言語化症」などと訳され、自分の感情や感覚に気付く事が難しく、感情を言葉で表現しにくい傾向の事です。
アレキシサイミアの人は、自分の感情に気付いたり、言語化したりすることが苦手な為、心身症になりやすいと指摘されています。
過剰適応
過剰適応は、心身症の社会面での特徴です。自分の感情を押し殺して自分の行動を他人に合わせてしまう傾向の事です。自分の感情などは抑え続け、社会に全面的に自分を合わせる事で適応している為、容易にストレス反応が生じ、心身症になる可能性が高いといわれています。
タイプA行動パターン
タイプA行動パターンは、心身症のうち心筋梗塞や狭心症に見られる行動面の特徴です。いらいらしやすく、せっかち、競争意識や攻撃性の強い傾向の事です。これについては、日本人的なタイプA行動パターンがあると指摘されていますが、競争意識や攻撃性が強くない分、仕事に没頭するという傾向です。
では、わが社の従業員に現れる心身症としてどのようなものがあるのか、代表的なものを見てみます。
過敏性腸症候群
ポリープやがんなどの異常が認められないが、腹痛、下痢、便秘、ガス過多などの症状がおこる疾患
緊張型頭痛
ストレスが原因となる頭痛で、痛みはそれほど強くないが、持続する点が特徴
摂食障害
食事や体重に対する過度のこだわりなどの心理的要因に基づき、食行動に異常をきたす精神疾患。神経性食欲不振症(拒食症)と神経性過食症(過食症)に大きく分けられます。タレントさんなど、そのスタイル維持などの為にダイエットなどをしていたところに過度のストレスを受け、食に対する異常な反応を示した為ガリガリになってしまった・・・という事は聞いた事があるところかと思います。
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アンガーマネジメントって?
人にストレス要因が加わると、身体面、心理面、行動面にさまざまなストレス反応が現れます。ストレス関連の疾患としての「心身症」について説明します。
心身症とは・・・
心身症は、日本心身医学会によって次のように定義されています。
「心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいいます。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」
つまり、心身症は、器質的障害(胃潰瘍など)ないし機能的障害(緊張型頭痛)が認められる身体疾患という事になり、精神疾患ではないとされます。そして、ここでいう「心理社会的因子」には、業務に関連したストレスが含まれています。ちなみに、主に扱う診療科は精神科ではなく、心療内科となっております。
心身症の特徴
心身症が発症する原因としては複数あり、それぞれの特徴から推測される事もあります。例として、その特徴と心身症になりやすいタイプを紹介します。
アレキシサイミア(Alexithymia)
アレキシサイミアは、心身症の心理面の特徴ともいえます。「失感情症」「失感情言語化症」などと訳され、自分の感情や感覚に気付く事が難しく、感情を言葉で表現しにくい傾向の事です。
アレキシサイミアの人は、自分の感情に気付いたり、言語化したりすることが苦手な為、心身症になりやすいと指摘されています。
過剰適応
過剰適応は、心身症の社会面での特徴です。自分の感情を押し殺して自分の行動を他人に合わせてしまう傾向の事です。自分の感情などは抑え続け、社会に全面的に自分を合わせる事で適応している為、容易にストレス反応が生じ、心身症になる可能性が高いといわれています。
タイプA行動パターン
タイプA行動パターンは、心身症のうち心筋梗塞や狭心症に見られる行動面の特徴です。いらいらしやすく、せっかち、競争意識や攻撃性の強い傾向の事です。これについては、日本人的なタイプA行動パターンがあると指摘されていますが、競争意識や攻撃性が強くない分、仕事に没頭するという傾向です。
従業員に現れる心身症
では、わが社の従業員に現れる心身症としてどのようなものがあるのか、代表的なものを見てみます。
過敏性腸症候群
ポリープやがんなどの異常が認められないが、腹痛、下痢、便秘、ガス過多などの症状がおこる疾患
緊張型頭痛
ストレスが原因となる頭痛で、痛みはそれほど強くないが、持続する点が特徴
摂食障害
食事や体重に対する過度のこだわりなどの心理的要因に基づき、食行動に異常をきたす精神疾患。神経性食欲不振症(拒食症)と神経性過食症(過食症)に大きく分けられます。タレントさんなど、そのスタイル維持などの為にダイエットなどをしていたところに過度のストレスを受け、食に対する異常な反応を示した為ガリガリになってしまった・・・という事は聞いた事があるところかと思います。
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