2010年02月15日
スカイ・クロラ The Sky Crawlers 中央公論新社 森博嗣(MORI hiroshi)
スカイ・クロラ The Sky Crawlers 中央公論新社 森博嗣(MORI hiroshi)
戦争を知らない大人たちに捧げよう。
彼らの過ちは三つある。
子供たちが自分たちから生まれたと信じている。
子供たちより多くを知っていると思い込んでいる。
子供たちがいずれ自分たちと同じものになると願っている。
それら妄想の馬鹿馬鹿しさといったら、
戦争よりも悲惨なのだから。
(本文より抜粋)
彼らの過ちは三つある。
子供たちが自分たちから生まれたと信じている。
子供たちより多くを知っていると思い込んでいる。
子供たちがいずれ自分たちと同じものになると願っている。
それら妄想の馬鹿馬鹿しさといったら、
戦争よりも悲惨なのだから。
(本文より抜粋)
今作は民間軍事会社の戦闘機パイロットが主人公。独自の世界観に基づいて綴られていく主人公の日常を描いていく。
『――戦争がショーとして成立する世界で生み出された大人にならない子供――戦争を仕事に永遠を生きる子供たちの寓話』(背表紙より抜粋)
全五作品のうち最初に刊行された作品であり、時系列でいう最終巻にあたる。
私はそれを知らず刊行順に読んでしまったけれどご心配なく。支障なくどの作品からも読み始めることができます。
私にとってこの作品は森博嗣氏(以下敬称略)の文章を初めて読む機会に巡りあえた思い出深い作品です。
作品の感想としては一人称で語られていく空中戦はページを進めるごとに快感へと変わっていきます。また独特の価値観で日常を重ねる主人公はどこか幼くも大人びていて心が揺さぶられる。
癖になる心的描写もさることながら、空中戦の描写は背筋を走るものがありこの文章を搾り出す森博嗣の技術に素直に感動しました。
その文章はとても綺麗、というよりも洗練された言葉が胸に突き刺さるイメージが似合い。
理系ミステリィを多く出版している森博嗣が代表作をこのシリーズと言い切る気持ちも伝わってきます。
もちろんミステリィ要素も健在。今回は全作品を通して同じ謎掛けがされていて、しかも明確な答えは開示されていません。
「これは謎なのか。それともみえなくなった日常なのか」
そう思いながら読み耽ってしまいました。ちなみに私はその謎を解き明かせませんでした。そういう意味合いでは機会があれば読み直したい作品でもあります。
掲載担当:ハジメ
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