2009年06月01日
ブロッコリースプラウトで知名度の高い有機硫黄化合物
前回は第七番目の栄養素としてファイトケミカルの中でも非常に知名度の高いポリフェノール類についてご紹介しましたが今回は最近注目が集まったブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンなどの『有機硫黄化合物』のご紹介です。
癌よりも怖い病気
病気の原因として知られる活性酸素ですが、その強力な酸化力で細胞などを錆付かせ癌や変性病を作ってしまいます。日本人の死因の一位は癌という事実はみんなが知るところですが、実は本当の死因一位は癌ではないことはご存知でしょうか?脳卒中でも心筋梗塞でも肺炎でもありません。
実は日本人が一番気を付けて予防しないといけない隠れ死因の第一位は『動脈硬化症』なんです。読んで字の如く動脈が固まり塞がる病気です。高血圧症と同じ呼び名で通称サイレントキラーといい自覚症状がほとんどないままどんどん進行し気がついた時には致命傷になることから沈黙の殺し屋というあだ名が付けられました。でも動脈硬化で死ぬ人なんていないという声が聞こえそうですがその通りなんです。動脈硬化は過程であって悪化すると梗塞を起こします。これが心臓の大動脈で起こると心筋梗塞。脳の大動脈で起こると脳梗塞という病名がつきます。この心筋梗塞、脳梗塞は足すと毎年ほぼ25〜30万人近く死亡しています。動脈硬化が悪化した結果30万人の命を奪うわけですから立派な死因といってもいいと思います。
動脈硬化の原因
では何故動脈硬化になるのかというとこれまた悪名高いコレステロールが原因と指摘する人がいます。でもこれもみなさんご存知の通りコレステロールは体にとって必要な栄養素なんです。中にはコレステロールが高くても100歳近くまで生きる方も大勢います。実は、コレステロールが正常なうちは血管内壁にはこびりつきにくく動脈硬化にはなりにくいんです。
最も危険なのはコレステロールという脂質が酸化すると時間がたって固まった食用油のように非常にネッとりとした脂が血管にどんどんこびりつきます。この酸化したコレステロールのことを『過酸化脂質』といい動脈硬化の主犯格になります。つまり活性酸素でコレステロールが酸化すると過酸化脂質が血管内で発生しそれが血管内壁にこびりつき脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす重大なファクターになるということです。しかしその活性酸素を消去できればどうでしょうか?過酸化脂質ができないので大病に至る確率はうんと下がるということですね。
ファイトケミカル
この活性酸素を攻撃的にやっつけてくれる主役がファイトケミカルという植物由来の栄養素なんです。そして今注目を浴びているファイトケミカルが『ブロッコリースプラウト』に含まれるスルフォラファンという抗酸化物質です。
アメリカのがん研究者の発表で流星の如く現れ瞬く間にヒーローとなった栄養素ですが、その特徴として4つが挙げられます。
@体内に侵入した発癌物質を専門に解毒する解毒酵素を活性化する
AビタミンCの抗酸化持続時間がおよそ3時間ほどに対しスルフォラファンは3日間持続することが確認されています。
B細胞の新陳代謝に必要なタンパク質の酸化を守り新陳代謝を促進させる
C筑波大学の研究などで胃癌の原因となるヘリコバクターピロリ菌の殺菌に成功し胃癌のリスクを下げることが判明。しかも抗生物質に耐性を持つ菌に対しても有効。など輝かしい戦績を持つのがブロッコリースルフォラファンです。
その他にも ・・・
メチルシステインスルホキシド
ニンニクや玉ねぎなどに含まれる物質 体内では、酵素に働きかけてコレステロールや脂肪の合成を抑え、血中のコレステロール値や中性脂肪値を下げる機能があります。高脂血症(最近は「脂質異常症」と呼び改められました)の予防に効果を発揮します。
アリシン
ニンニク特有のファイトケミカルです。 ニンニクにもともと存在する栄養素ではなくニンニクをすりおろすことで発生する酵素(アリナーゼ)とニンニクに含まれるアリインというアミノ酸が化合して初めてアリシンが生まれます。アリシンは医学的な用途にも用いられ、動脈硬化に対抗する助けになり、脂肪塊を縮小させたり、ある程度は抗酸化作用を有することが分かっています。
以上が代表的な有機硫黄化合物類のファイトケミカルです。 次回はファイトケミカル第3弾『テルペノイド類』の紹介です。 代表格がニンジンに含まれるβカロテノイド(カロテン)です。お楽しみに!