とっても深い本ですね。人生を達観するというのは、こういう事かと感じました。
本日は篠田桃紅さんの最新作についてです。篠田さんについては墨の芸術家
というくらいしか存じませんでしたが、今回この本を読んで、再認識させられました。
日本の誇る大変な芸術家だったのですね。
大正2年生まれで御歳103歳、私の父親も大正8年生まれで96歳、今も健在です
が、やはり身体のあちこちガタが来ています。今も現役ばりばりに仕事をしていると
いう篠田さんが正直信じられません。
大正と云えばまだまだ明治以来の家族制度が色濃く残っている時代で、女性が
女学校に行ったり、自分の職業を持ったり、恋愛結婚をする等という事は言語道断
の時代でした。そのような時代的逆境の中で、独身を通し芸術に生涯を賭けた
とんでもなく意志の強い女性です。
この本の中では、いろいろな珠玉の言葉が登場しますが、長寿という事に関しても
「歳をとるという事は、創造して生きていく事」や「自分の心のままに生きる」等の
示唆に富むフレーズが、沢山出て来ます。芸術一筋に長年生きてきた人の、大変
重い言葉です。
また、篠田さんはこの中で、「いつ死んでもいいは、本当か」というテーマで、あまり
長生きしたくないという人がいるが、それは自分が生きていく事の負担を軽くし、自分
を納得させる為の口実だと喝破しています。生きている限り、人生は未完だそうです。
百歳を越えると人は「無」に近づいて来るそうで、その一つに篠田さんは作品を描き
始めると、一切何も思わなくなるそうです。紙と自分の間に筆があり、筆が勝手に
自分の今までの経験の中から作品を紡ぎ出す感覚らしいです。これは株式投資でも
云える事で、あーだこうだと考えたり云ったりしている内は素人で、プロは無意識に
身体が反応するという事と共通してます。一つ事をとことん突き詰めた先には、そんな
景色が待っているのでしょうか。私も早くそのような境地になってみたいものです。
相場にも云える事ですが、自分の感性を大切にするという面では、作品を鑑賞するに
際しては、絶対に作品名を見たり、作品の解説を受けずに、自分の作品に対する
感覚を大切にする事が一番重要で、解説など受けると作品を見る幅を狭めてしまう
という事です。いろいろなソースから来る情報に惑わされずに、自分の感性を信じ
相場に臨めと云う事でしょうか。
これ以外にも私が感動した言葉として、「朝目よし」、近松の「真実は皮膜の間にある」
や「わが立つそま」等、今の若い人にも感じとってもらいたい素晴らしい日本語の数々。
「小僧、伊達に長生きしてるんじゃねえぞ」と、教え諭されたような、そんな素晴らしい
本でした。
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