本当に久しぶりのブログ投稿です。月村了衛氏の「追想の探偵」。かなり
前に読んでいたのですが、最近読んだことを忘れていて又読み返し、改めて
素晴らしい作品だと感じましたので、投稿する気になりました。
人間は特に若い頃は自分のやっていること・仕事の価値に気づかず、ただ
がむしゃらに目標に向かって進みがちですが、段々と身体も不自由になる70
代頃になると、ふと立ち止まって自分の人生の来し方を振り返るに連れ、け
っこう貴重な体験をしていたのだと気づく事があります。今回のこの作品も
映画の特撮の世界という、特殊な舞台ではありますが、自分が経験したテレ
ビや映画の特撮物の記憶と重なり、特に思い入れの深い作品となっています。
構成は6つの短編から成っていますが、いずれを取りましても、映画の作品
作りに多大な情熱と貢献をして来た人達の、想い出のもの語りです。
@ 日常のハードボイルド
A 封印作品の秘密
B 帰ってきた死者
C 真贋鑑定人
D 長い友情
E 最後の一人
どれを取っても、それぞれに思い入れのある作品で、特撮映画創生期の俳優や
スタッフの記憶を足跡を訪ね回るという物語です。
この作品は勿論創作ですが、その時代を知っている私としても、勿論こんな事も
あったんだろうなと思わず頷かずにはいられない秀逸な内容で、本当に読者の心
を鷲掴みにし、遠い自分の素晴らしかった過去の記憶を、呼び戻してくれるもの
です。
本文は特撮旬報という本を出している黎砦社の編集者・神部実花が特集のネタ探
しに、撮影当時の俳優を始めとする関係者を捜しまくり、当時は明らかにされて
いなかった事実や人物像を解き明かしていくという、一貫したストーリーです。
特に奇想天外な筋立てがある訳ではないのですか、本当に仕事に情熱を燃やした
当時の人達の熱感や思い入れ、親の子に対する愛情、愛する人が数十年を経て蘇
る事への葛藤と感動、長い本当の友情、あの時君は若かったという歌を思い出し
ました。
過去は戻らないけれど、誰の中にも、美しい、甘づっばい、泣きたくなるような
想い出はあるものです。
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