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2018年06月10日

アガベの種(タネ)は好光性種子か嫌光性種子か?

アガベ・好光性種子− (1).jpg

1.はじめに
 植物の種(タネ)は光が当たっていた方がよく発芽する好光性種子(光発芽種子,明発芽種子とも言う)と,暗いところの方がよく発芽する嫌光性種子(暗発芽種子とも言う)に大きく分けることができる,またそのいずれでもなく,光の有る無しに関係なく発芽する中性タイプの植物も存在する


2.アガベの種まきは好光性方式か嫌光性方式か?
 私はアガベに関しては,種まき用土に種を深さ0.5〜1cmほど埋め込む方法で,問題なく発芽してるのだが(下の写真),ネットの情報では,アガベは好光性種子なので,タッパーなどに入れた用土に種を置き,覆土無しで,保湿のためにフタをして,明るい場所で管理しなさいというような記述が多い 

アガベ・好光性種子− (3).jpg

 これは例えば「agave seedling」等の用語で検索してヒットする海外のナーセリーなどでも,同じように光を好むので覆土はしないようにとか,覆土は薄くとか記載されているところが多い,ただ,ほとんどの文章が似たり寄ったりで,他のホームページからの転載や孫引きのようなところが多い


3.本当にアガベの種は好光性種子なのか?
 アガベの自生地は人の手が加わっていないような不毛な土地が多いため,人の目に触れる機会が少なく,また,テキーラの原料になるアガベ・テキラーナのように経済栽培されている種類は少ないため,アガベに関しては,生理生態面に関する研究などはあまり行われていないのが実情だろう

 ネットで検索しても確度の高い情報を見つけるのが難しいのだが,イロイロ検索してたら,オックスフォード大学が出してる「Journal of Plant Ecology」の第9巻,第2号(2016年)におもしろい記事を見つけた,オックスフォード大学の刊行物に掲載されてる論文なら相応の信頼度はあるだろう 

 掲載されているのは,メキシコのポトシノ科学技術研究院環境科学部門のJoel Flores博士の論文で,タイトルは「Effect of light on seed germination and seedling shape of succulent species from Mexico 」(メキシコ産多肉種の種子発芽および苗形状に及ぼす光の影響)というもの

 13種類の植物(そのうちアガベはアメリカーナ,アングスティフォリア,アスペリィーマ,ジェントリー,レチュギラ,サルミアーナの6種類)について,タイトルの内容に関して実験した結果が報告されているのだが,関連部分をグーグル翻訳に助けてもらって読んでみたら,意外なことが解った


4.アガベの種子は好光性種子でも嫌光性種子でもない!
 下の一覧表はアガベの部分だけ抜粋したものである,Light(光有り,12時間照明)とDarkness(暗黒)の2つの条件を,25℃のチャンバー内に設けて,30日後に発芽率を調査した結果である,これを見ると,アガベは光があっても暗黒でも発芽率に差は無く,また統計的にも有意差は無いようである

アガベ・好性種子(発芽率).jpg
 
 つまり,アガベの発芽に関しては,非常に簡単に言ってしまえば,光があっても無くても発芽には関係なく,どちらでもちゃんと芽が出てくるということになる,この辺の論拠に関しては,論文中で統計的に突っ込んだ解析もしてあるので,詳細は原文を読んで頂きたい,→原文はこちら


5.アガベは好光性や嫌光性とは関係なく発芽を判断する
 アガベが発芽を判断する場合,とにかく水分が有るか無いかが重要で,発芽可能な水分量があると判断したら,光の有無なんか関係無しに,とにかく早く芽や根を出して,根付いてしまったほうがいいという戦略なのだろう,過酷な環境で生き残るためのサバイバル術,恐るべし,アガベの生存戦略


6.すべてのアガベに当てはまるかは不明? 
 なお,植物は一般的に小さい種は好光性種子である場合が多い,これは小さい種はエネルギー源である胚乳等も小さいので,土の中に埋もれてしまうと,地上に芽を出す前に力尽きてしまう可能性が高くなる,それを回避するために「好光性」というシステムを獲得したのだろう

 そのため,好光性種子の植物は,一般的に種は小さいが数は非常に多く,数をばらまくことで,生存の確率を上げるという手法を取っている,そして好光性という機能で,地表またはきわめて地表に近いということを感知してから芽を出すという,効率的に子孫を多く残す方法を編み出したのだろう

 アガベは250種類くらいあるので,非常に種が小さく光があった方がよく発芽するようなアガベが存在するかもしれないが,とりあえず下の写真のような,手で簡単につまめるような大きさ(この場合横幅が4〜5mmくらい)の種なら種まき用土に1cmくらいの深さに埋め込んでも正常に発芽してくる

アガベ・好光性種子-(22).jpg


7.おわりに
 ということでタイトルの「アガベの種(タネ)は好光性種子か嫌光性種子か?」の疑問に関しては,アガベは明るくても暗くても発芽可能なので,光の有無に左右されない,いわゆる「中性タイプ」ということになり,この問いかけに対する正解は「どちらでもない」ということになる



2018年05月22日

ストレリチア・ユンケアは花が咲くのか?

ストレリチア・ユンケアの花 (1).jpg

1.はじめに
 ストレリチア・ユンケアは,葉を観賞する観葉植物と言いながら,一般的な意味での葉はほとんど無いわけだが,逆にその特異な形状から人気のある観葉植物でもある,質問コーナーで「ストレリチア・ユンケアは花が咲くのか?」との質問を見かけたので,ちょっとその辺の状況をまとめてみた


2.ストレリチア・ユンケアの開花について
 結論から言えば,ストレリチア・ユンケアも上に掲載したようなストレリチア・レギネによく似たオレンジとブルーで構成された花が咲く,画像検索すると海外のナーセリーなどが,いっぱい花の咲いた写真を掲載してるから,質問者は自分の買った株が花が咲かないのに疑問を持ったのだろう

 ただし,日本で一般的に家庭向きに販売されてる鉢物については,花はあまり期待できない,ストレリチア・ユンケア自体が花を観賞する植物ではないため,花が咲きやすい系統かどうかという観点では選抜されてないので,購入した鉢物に花が咲くのかについては,その株次第ということになる

 そもそも,ストレリチア・ユンケアという観葉植物に花を期待するということ自体が,野暮なことなのかもしれないが,花も楽しめるに超したことはない,私は7号鉢で育てていた株で花が咲いたことがあるが,これは手に入れた株が,運よく花の咲きやすい株だったということだろう


3.ストレリチア・ユンケアで花を楽しむ
 花も楽しみたいという場合,解決法が無いわけでは無い,簡単な話だが花が咲いている鉢物を購入すればいい,ただしそのような商品は希少であまり一般に出回らないし,見つけてもかなり高価である,しかも,その株が自分の環境でもちゃんと花を咲かせてくれるという保証はまったく無い

 ストレリチア・ユンケア自体は,育てやすい丈夫な植物なのだが,そういう植物でも,花を咲かして種(タネ)を作って次世代に自分の遺伝子を渡すという,生殖に関する部分は,結構シビアに条件を判断する,開花株を入手しても,その後も花があがってくるかどうかは管理や環境次第と言えよう


4.ストレリチア・ユンケアで花を咲かせてみよう
 ストレリチア・ユンケアで花を咲かせてみたいと言う人は,とりあえず購入株を大きめの鉢に植え替えて,数年間は株を充実させることに専念したほうがいい,人間がある程度の年齢にならないと妊娠できないのと一緒で,植物にも幼若性といって,幼い株では花が咲かないような仕組みがある

 株を充実させると言っても,広がった葉が無くて,もともと生育が遅い植物なので,気長に行くしかない,下の写真のように,少なくとも株自体が3〜4芽まで充実するまでは,肥料や水を十分に与えて大きな株に育てよう,また1日中よく日光が当たるような環境に置いて管理すること

ストレリチア・ユンケアの花 (2).jpg

 次に,ある程度株ができあがってきたら,肥料や水をだんだんと控えていき,最終的には肥料はまったく与えないで,きわめて乾燥気味に管理する,もう株が弱って死んでしまうんじゃ無いかと言うくらい乾燥気味に管理する,この場合でも日光にはとにかくよく当てることが大事


5.ストレリチア・ユンケアで花を咲かせる管理
 これは専門用語で言うところの,C/N率を上げるという作業になる,C/N率とは,植物体に含まれる炭水化物の炭素(C)と窒素化合物の窒素(N)の比率のことだが,Cの割合が増えると,花を咲かすような生殖生長が盛んになり,Nの割合が増えると植物体が成長する栄養生長が盛んになる

 前述したように肥料を控えて乾燥気味に管理することで,C/N率を上げることができる,つまり植物体自体が,花を咲かすような生殖成長の状態になりやすくなる,また肥料カット+乾燥という一種の飢餓状態にすれば,植物は花を付けて後世を残すという状況になりやすい

 種(タネ)というのは不良環境を乗り切るための,遺伝子の生存システムだから,その植物体の司令塔から,枯れるかもしれないという情報が出ると,遺伝子は花を咲かして交雑・受精し、種という不良環境に強い状態に変身して,自分の遺伝子を守るという機能をONにする


6.おわりに
 株をたくさん準備して比較検討すればいいのだろうが,性質の同じ株をたくさん準備したり,それを長期間管理していくのは,個人ではとても無理な話である,とりあえず今年も4月の中旬に花が上がりだして,5月中旬に下の写真のような状態になった,花茎が見えてから開花まで1ヶ月くらいかかる

ストレリチア・ユンケアの花 (3).jpg

 ここで述べた私なりの方法は,これで花が咲くという保証は無い,種から育てられている植物なので個体差が大きく,花が咲きにくい株に関しては,いくら環境を整えてもぜんぜん花が咲かないということも起こりえる,まあ「自分の運を試してみよう」くらいの遊び心でチャレンジしてほしい


7.関連記事
 ストレリチア・ユンケアの魅力と育て方(栽培法)→(詳細は→こちら)


8.追加情報
 下記の掲載写真(4/23撮影),似た大きさのユンケアの10号鉢植えだが,左の株は昨年の夏から秋にかけて肥料や水を控える処置をして,雨などが当たらない軒下で管理,右の株は露天で通常管理した株である,左の株は花が3本上がってる,肥料や水を控える処置はそれなりに効果ありだと思う
123改変P1100256.jpg



2018年04月30日

ストレリチア・ユンケアの魅力と育て方(栽培法)

ストレリチア・ユンケアの育て方 (2).jpg

1.はじめに
 ストレリチアにはいくつか種類があるが,公園の植栽などでよく見かけるストレリチア・レギネについては,ちょっと前の記事で紹介した(詳細は→こちら),今回は,同じストレリチアの仲間から,葉がほとんど無く棒状の軸だけになっている,ストレリチア・ユンケアを紹介しよう


2.ストレリチア・ユンケアの来歴や性状
 ストレリチア・ユンケアはストレリチア・レギネと同じく,南アフリカ原産の常緑多年草である,より乾燥地帯に分布を広げるためだろうか,葉と言えるような部分が無く,軸だけが立ち上がっている,日本では,ほとんどが鉢植えの観葉植物として流通しているが,地植えでの栽培も可能である

 呼び名がユンケアではなくジャンセアと記載される場合もあるが,学名のStrelitzia junceaの「juncea」を,どう発音するかの違いで同じ植物である,園芸的にはストレリチア・ノンリーフと呼ばれる場合もある,英語圏ではナロー・リーフ・バード・オブ・パラダイスなど多くの呼び名がある

 ストレリチア・ユンケアは,ストレリチア・レギネと同じ種とされたこともあるようだが,1974年に,南アフリカのプレトリア大学のHendrik Albertus van de Venter博士が,両種には遺伝的な違いがあること,またこの2つの種の雑種と思われる,中間体が存在することを明らかにしている


3.ストレリチア・ユンケアの葉先の形状について
 ストレリチア・ユンケアには葉先に小さい葉がついてるものがあるが,これは幼形(人間で言えば子供)である,通常ストレリチア・ユンケアは種から育てるが,株が若いうちは,どんどん成長するためだろうか,ちょっと葉がついている,その後成長に伴い葉は小さくなり,最終的には棒状になる

 ただ,成長して年数が経っても,葉が小さくならないタイプがある,このタイプをストレリチア・パービフォリアという呼び名で販売しているナーセリー等もあり,ちょっとややこしい状況もある,この辺のことに関しては,別記事にまとめてあるのでそちらを参照してほしい(詳細は→こちら)


4.ストレリチア・ユンケアのドワーフタイプ
 ストレリチア・ユンケアにはドワーフタイプ(わい性種)が存在する,通常のタイプも鉢の大きさや用土などの環境次第で,高さは変わるのだが,私は同じような環境で育てた場合,通常のタイプと比べて,半分ほどの高さにしか成長しないものをドワーフタイプとして扱ってる(下の写真参照)

ストレリチア・ユンケアの育て方 (1).jpg

 半分程度の高さのものをドワーフタイプとするのは,まったくの私の個人的な見解であり,学術的なバックは何も無い,なお海外のナーセリーなどは,地植えにして育てた場合に,高さが50〜60cm程度しかならないものを,ドワーフタイプとして扱ってるようである


5.ストレリチア・ユンケアの魅力
 ストレリチア・ユンケアの魅力は,なんと言ってもそのすらりと伸びた直線的な形態にあるだろう,以前,植物園で屋外に地植えされてるユンケアが,高さが2mくらいに成長している株を見たときは,ホレボレしてしまった,先端を見上げるような株になると,圧倒的な存在感がある

 ただその存在感にも関わらず,豪華な花木などが醸し出すような押しつけがましさが無い,先端まできれいなテーパードになった軸が何本か立っているだけという,非常に単純で幾何学的な姿には,意外と言えるくらい繊細な雰囲気が感じられる,この点はストレリチア・ユンケアの大きな魅力である 

 また,鉢植えされたものをリビングのフローリングの床などに置いておくと,ゴムの木やドラセナなどの観葉植物に比べて,とてもクールな空間を演出することができる,やわらかな暖かい空間を演出するには不向きだが,鋭敏でなんとなく知的な雰囲気を醸し出してくれる点も魅力的である


6.ストレリチア・ユンケアの育て方
 基本的な管理はストレリチア・レギネと同じと考えていい,耐寒性もマイナス5℃くらい,暖地では地植えも可能である,ストレリチア・ユンケアは成長がゆっくりなので,株が張って扱いに困るような状況にはなりにくい,地植えにして背丈を超えるような大きさに育てるのも一興である

 鉢植えを室内で楽しんでいる人も多いと思うが,ストレリチアの仲間は太い根に水を蓄える能力が発達しているので,常に乾燥気味に管理するのがコツ,過湿状態では生育が止まったり,根腐れを起こしてしまう,特にストレリチア・ユンケアは乾燥に強い植物なので,乾燥気味の管理に徹すること

 植物体自体が,葉から水分を失わないように,葉をほとんど無くしてるわけだから,乾燥に強いのは当然と言えば当然,またエアコンの使用時は,鉢土の表面がすぐ乾燥してしまうため,頻繁に水を与えてしまいがちだが,この点に関してはストレリチア・ユンケアは特に気を付けた方がいい

 また,スタイルとの調和性から,鉢がトールタイプの縦長のものが使用されていることが多いが,このような鉢は表面の土は,乾燥してるように見えても,鉢底は水がいっぱいという状況になりやすいので,ことのほか注意が必要である,冬場の水やりは忘れるくらいがちょうどいい

 とにかく水の滞留を嫌うので,植え替えの時は鉢底石を多めに入れるようにする,また用土も水切れのいいものを使用する,あまり細やかな管理をする必要は無い,かえってかわいがりすぎてダメにしてしまう場合が多い,まれにカイガラムシが付くことがあるがマシン油剤を散布すればいい

 肥料に関しては,春と秋に化成肥料をぱらぱら与える程度でよい,ストレリチア・ユンケアは肥料を効かせたからといってどんどん大きくなるような植物ではない,また,植え付け用土は腐葉土等の有機質資材を多く含んだものを使用して,じっくり時間をかけて育てる植物である

 日陰でも相応に生育可能だが,本来は光を好む植物なので地植えでも鉢植えでも,年間を通してよく日のあたるところで管理したほうが丈夫に育つ,なお市販の鉢植えは輸送上の理由で,鉢が小さく用土も少ないので,購入して新環境に慣れたら鉢増ししてあげよう

 ストレリチアの仲間はいずれも,丈夫な太い根が発達していて,そこに水を蓄えるから乾燥に強いわけだが,この根はものすごく元気があって,鉢内にぎゅうぎゅうになってくると,鉢を破壊してしまうくらいの力がある,そうなる前に鉢増しするか株分けしてあげよう


7.おわりに
 ストレリチア・ユンケアの育て方については,基本的にあまり気を遣わないこと,気長にゆったりした気持ちでおつきあいしよう,細やかな管理をしなくても,ちゃんと育ってくれるので,旅行などで1週間くらいほったらかしにしてもまったく平気,横着者には格好の観葉植物とも言える

8.関連記事
 ストレリチア・ユンケアは花が咲くのか?(詳細は→こちら)
 ストレリチア・レギネ(ゴクラクチョウカ)の魅力と育て方(詳細は→こちら)



2018年04月25日

ポトスの魅力と育て方(栽培法)

ポトスの育て方.jpg

1.はじめに
 細めのハート形の葉がいっぱいの観葉植物,ポトスを紹介しよう,ポトスは上の写真のような小振りの鉢物や,支柱にたくさんのツルを絡めた大鉢仕立てや,ハンギングなどにも利用され,人気のある観葉植物だが,このポトスという植物,いろいろと意外な面があっておもしろい


2.ポトスの来歴
 ポトスはサトイモ科の植物で,日本には明治の中頃に伝わった,和名ではオウゴンカズラ(黄金葛)と呼ばれ,よく目にする観葉植物だが,学術的な面では不明な点が多い,原産地はソロモン諸島とされているが,これさえ異論を唱える研究者もいて,ちょっと謎めいた植物なのである

 北オーストラリアや東南アジア,インド,パキスタン,ネパール,バングラデシュ,ハワイ,西インド諸島など,かなり広範囲の熱帯雨林や亜熱帯森林に帰化しているが,その帰化地域においては,生態系へ深刻なダメージを与えているという報告もあり,やっかいもの扱いしてる地域もあるらしい


3.ポトスの学名の変遷
 学名に関しては,長い変遷の歴史がある,最初に分類された1880年には,ポトス・オウレウス(Pothos aureus)という学名が付けられた,このため今でもポトスと呼ばれているわけだが,ほかにもスキンダプサス・オウレウス(Scindapsus aureus)という学名も存在していたようである

 1962年には,花の調査結果をもとに,ラフィドフォラ・オウレア(Rhaphidophora aurea)と命名されたが,その後,花についてさらに詳細に調査された結果,この学名も間違っているということになり,エピプレムナム・ピンナツム(Epipremnum pinnatum)と同じ種として分類された

 まだ先があって,今度は生育パターンや植物体すべての部分を,詳細に調査した結果から,エピプレムナム・ピンナツムとは,種を分けた方がいいということで,エピプレムナム・オウレウム(Epipremnum aureum)と命名され,現在に至っている,今後,また変わる可能性がなきにしもあらず

 ポトスのように属名まで含めて学名がコロコロ変わった植物というのも珍しいだろう,ざっと調べただけでもシノニム(異名)が30くらいある,これはポトスがほとんど花を着けない点や植物自体の形態や性質が環境や生育ステージで変わったり,非常に変異が多いことも影響しているのだろう

 また,属を間違えられたスキンダプサス属やラフィドフォラ属などには,多くの種があり,しかもそれぞれがお互い非常に似通った性状や姿形をしている,これを一律に明確に区別するのは,容易ではないだろう,この仲間は遺伝子が非常にフラフラしていて変異を起こしやすいのかもしれない


4.ポトスの性状
 つる性植物なので,自分でしっかりした幹は作らず,他の樹木などに張り付いて生育していく,横着と言えば横着であるが,まさに「寄らば大樹の陰」の精神,巻き付かれる相手の樹木も「長いものには巻かれろ」の似たもの同士,ジャングルのような過酷な環境では,助け合いの精神が大事なのである

 ポトスにしてみれば,自分の幹を持たなくても,労せずして上へ伸び上がって太陽光を受けることができるわけだが,基本的に相手より高くはなれないという難点はある,まあ「出る杭は打たれる」とも言われるから,そういう点は意外と気を遣ってるのかもしれない

 よく見かける緑色の葉に黄色の斑が入った種類のほかに,模様や色が変わった種類や葉全体がライム色のものなど,たくさんの園芸種がある,一般に商品として流通しているものは,葉の大きさは10cm前後のものが普通だが,これは幼植物で,いわばポトスの赤ちゃんである
 
 成長して大人の株になると,葉は50cm以上の,信じられないくらいの大きさになる,沖縄の民家の庭先で高さ10m以上になる樹木に巻き付いているポトスを見て驚いたことがある,下の写真は,植物園で温室の天井まで伸び上がっているポトスだが,地面からの高さは7mくらいあった

ポトスの育て方 (2).JPG

 また,成熟した株になると,葉脈の間に穴が開いたり,サイドに亀裂が入ったりして,まるでモンステラのような風情になる,ポトスも大人びてくると,当世風に,穴の開いたジーンズや破けた帽子でおしゃれしてるような気分なのだろうか,単に下の葉にも光を当てるための工夫かもしれないが・・・


5.ポトスの育て方
 基本的には丈夫で育てやすい植物だが,光の管理には気配りが必要である,冬は葉の色つやを保つために,日光を十分に当ててあげたほうがいい,逆に夏は直射日光に当てると,最近の夏の日射は強いので葉焼けを起こしてしまうことがある,夏は明るめの日陰で管理したほうがいい

 適量なら光が多い方が元気よく育つし生育も早いが,意外と耐陰性もあるのがポトスの魅力である,北側の洗面所やトイレなどでも,窓があって明るければそれなりに成長することが可能である,マンションなどの部屋の中央にあるような,窓のない洗面所などでは無理である

 長年育てていると,葉が小さくなったり,斑が不鮮明になってくることがある,こういう場合は,春先に先端部分を挿し木して苗を作り,新しい用土に植え替えてあげるのがベスト,あれこれ手を入れるより思い切って株ごと更新してしまう方が早道である(後述の挿し木方法参照)

 ハンギングでツルを下に垂らして楽しんでいる人も多いだろう,この場合つるが1mを超したあたりから,株元の葉が枯れ落ちて不格好になってくる,そのようなツルは,株元の3節程度を残してカットすれば,残った節から次のツルが伸びてくる,カットしたツルは挿し木に利用してもいい


6.ポトスの水管理・肥料管理
 水管理は,ポトスの場合,水が足りなくなると葉の立っている角度が下がってくる,葉がちょっと下がったなと感じたら水をたっぷりあげる,もともとがジャングルのような湿度の高い環境を好む植物ではあるが,毎日水をチマチマあげるような水管理は,根腐れを起こすので避けた方がいい

 しばらく旅行に行くとかの場合は,鉢受け皿に水をためて出かけるという水やりも可能である,このような手抜きの水やりは,通常の鉢物ではやってはいけない方法だが,ポトスの場合は大丈夫である,ただし,この方法は旅行等の非常時に限ること,日常的にやってはイケナイ

 肥料に関しては,春から秋にかけての成長期に,マグァンプKなどの置肥を2ヶ月に1回くらいのペースで数粒与えておけばいい,肥料の効き具合は,葉の緑色の部分で判断する,本来の色よりあせてきたら肥料不足である,またちゃんと肥料が効いた葉は,厚くてツヤツヤしている


7.ポトスの挿し木方法
 ポトスの挿し木はとても簡単である,上述の伸びすぎてカットしたツルの先端を,20cm程度に切りそろえ,下の2節の葉を取り除いて,その2節を挿し木用の用土に挿し,乾燥しないように,時々霧吹きか水かけするだけでいい,2週間くらいで根が出てくる,先端以外でも可能だがやや時間がかかる

 さらに簡単にやりたかったら,上述の20cm前後の苗を,ペットボトルを半分に切った容器などに水を入れ,下の2節を水に浸しておけばいい,時々水を換えてあげるだけで根が出てくる,挿し木が目的でなくても,コップなどに2〜3本挿してテーブル等に飾ってもいい,水だけでも十分成長していく


8.ポトスを室内で育てる時の注意事項
 基本的に上の方に成長していこうとする性質が強い植物なので,鉢物を壁際に置いていたりすると,節から出た根(気根)が壁に根を張ることがある,この時,壁紙の隙間に根が進入して,壁紙が浮いてしまったりすることがある,葉で覆われていて気づきにくいので,この点は注意が必要である


9.おわりに
 巷間聞くところによれば,黄色という色は「お金」と相性がいいらしい,ポトスの和名はそのものずばり,「黄金」カズラである,ポトスにやさしく接していれば,大判小判がザックザクの夢くらいは見れるかもしれない,それを正夢にできるかどうかはあなた次第,とりあえずポトスと仲良くしよう



2018年04月21日

ストレリチア・パービフォリア(Strelitzia parvifolia)とは何か?

ストレリチア・パービフォリア.jpg

1.はじめに
 上の写真のような先端にスプーン状の葉が付くストレリチアが「ストレリチア・パービフォリア」という呼び名で流通しているのをたまに見かけるが,学術的には,パービフォリアはレギネのシノニム(別名)というのが通説である,しかしこれについてはちょっと疑問がある


2.ストレリチア・パービフォリアの来歴
 葉先に小さな葉が残るものにパービフォリアと命名したのは,イギリスの植物学者のW.T.Aitonなのだが,属名のストレリチアを決めたイギリス王立植物園の園長で,当時の園芸界で絶大な発言力をもっていた,Joseph Banksなどは,ユンケアもパービフォリアもレギネと同種として扱っていた

 W.T.AitonはBanksから援助を受けていたから,異議を唱えられなかったのだろうか,その後南アフリカのプレトリア大学のHendrik Albertus van de Venter博士が,1974年に行った研究で,ユンケアとレギネには遺伝的な差があること,また2つの種の交雑種が存在することを明らかにしている

 この段階でレギネと同種とされていたユンケアは,正式にストレリチア・ユンケアとして独立したのだろうが,パービフォリアの呼び名は,そのままレギネのシノニムとして残ってしまったのだろうか,W.T.Aitonがパービフォリアと命名した植物は,レギネとユンケアの交雑種だった可能性がある


3.ストレリチア・ユンケアの葉先の形状について
 ややこしいことにユンケアにも葉先に小さい葉がついてるものがある,これについてはユンケアの幼形と言われている,ユンケアは種から育てるが,株が若いうちは,小さな葉がついていて,成長するに従い葉が小さくなっていき,最終的には棒状になってしまうということである

 海外のナーセリーのホームページで,幼形から成熟した株になる過程を写真で示しているところもあるので,この点は間違いはないだろう,また,棒状になってるユンケアの株を株分けして,根を切ったりして植え替えたような場合,新しく出てくる葉の先端がスプーン状になることがある

 株分けや根の切断等のショックで,株自体が幼形に戻ったのか,あるいは傷などを修復するために,葉の面積を確保して光合成の能力を上げたのかもしれない,ということでユンケアの葉先については,生育ステージや条件次第で,小さな葉が付くものも存在するということである


4.ユンケアの幼形とパービフォリア
 海外のナーセリー等の記事を読むと,ユンケアの葉がついた幼形とパービフォリアは,見間違うことはないとか,パービフォリアは成長しても葉が消えることはないとかの記述があるから,少なくとも成長しても葉が消えないグループが存在してることになる

 そのグループは,W.T.Aitonがパービフォリアと命名したレギネとユンケアの交雑種なのではないだろうか,この成熟しても葉がちょっと残るタイプには,正式に学名が付けられてないため,市場では,とりあえずW.T.Aitonが最初に付けたパービフォリアの名で流通してるということだろう

 ユンケアの幼形と,小さな葉が付くパービフォリアと呼ばれるグループは,多分に混同されてるような面がある,ユンケアの場合は,4年程度で葉の付いた幼形から成熟した棒状になるようだが,最初に掲載した写真の株は,かれこれ10年近くになるが,葉が小さくなっていくような気配は無い

 ということで,小さな葉が残るものについては,1つはユンケアの幼形タイプで,成熟すると葉が消えてしまうグループ,もう1つは,成熟してもスプーン状の葉が残るグループ(Venter博士が言うところのレギネとユンケアの交雑種か?),この2つのグループに分けて考えるべきである


5.おわりに
 上記の内容については,多分に憶測の部分もあるのだが,学術的にはパービフォリアの呼び名はレギネのシノニムなので,成長後も葉が残るものをパービフォリアと呼ぶのは間違いと言うことになる,ちなみに私は正式な呼び名が無いので,この小さい葉が残るタイプもユンケアとして扱っている

 レギネとユンケアの交雑種と思われる小さな葉が残るグループにも,新たに学名を付けてあげるか,はたまた,先のW.T.Aitonに敬意を表して,パービフォリアを正式な学名として認定すべきだと思うのだが,だれかこの問題解決してください,ペーパー1本書けますよ