2018年06月10日
アガベの種(タネ)は好光性種子か嫌光性種子か?
1.はじめに
植物の種(タネ)は光が当たっていた方がよく発芽する好光性種子(光発芽種子,明発芽種子とも言う)と,暗いところの方がよく発芽する嫌光性種子(暗発芽種子とも言う)に大きく分けることができる,またそのいずれでもなく,光の有る無しに関係なく発芽する中性タイプの植物も存在する
2.アガベの種まきは好光性方式か嫌光性方式か?
私はアガベに関しては,種まき用土に種を深さ0.5〜1cmほど埋め込む方法で,問題なく発芽してるのだが(下の写真),ネットの情報では,アガベは好光性種子なので,タッパーなどに入れた用土に種を置き,覆土無しで,保湿のためにフタをして,明るい場所で管理しなさいというような記述が多い
これは例えば「agave seedling」等の用語で検索してヒットする海外のナーセリーなどでも,同じように光を好むので覆土はしないようにとか,覆土は薄くとか記載されているところが多い,ただ,ほとんどの文章が似たり寄ったりで,他のホームページからの転載や孫引きのようなところが多い
3.本当にアガベの種は好光性種子なのか?
アガベの自生地は人の手が加わっていないような不毛な土地が多いため,人の目に触れる機会が少なく,また,テキーラの原料になるアガベ・テキラーナのように経済栽培されている種類は少ないため,アガベに関しては,生理生態面に関する研究などはあまり行われていないのが実情だろう
ネットで検索しても確度の高い情報を見つけるのが難しいのだが,イロイロ検索してたら,オックスフォード大学が出してる「Journal of Plant Ecology」の第9巻,第2号(2016年)におもしろい記事を見つけた,オックスフォード大学の刊行物に掲載されてる論文なら相応の信頼度はあるだろう
掲載されているのは,メキシコのポトシノ科学技術研究院環境科学部門のJoel Flores博士の論文で,タイトルは「Effect of light on seed germination and seedling shape of succulent species from Mexico 」(メキシコ産多肉種の種子発芽および苗形状に及ぼす光の影響)というもの
13種類の植物(そのうちアガベはアメリカーナ,アングスティフォリア,アスペリィーマ,ジェントリー,レチュギラ,サルミアーナの6種類)について,タイトルの内容に関して実験した結果が報告されているのだが,関連部分をグーグル翻訳に助けてもらって読んでみたら,意外なことが解った
4.アガベの種子は好光性種子でも嫌光性種子でもない!
下の一覧表はアガベの部分だけ抜粋したものである,Light(光有り,12時間照明)とDarkness(暗黒)の2つの条件を,25℃のチャンバー内に設けて,30日後に発芽率を調査した結果である,これを見ると,アガベは光があっても暗黒でも発芽率に差は無く,また統計的にも有意差は無いようである
つまり,アガベの発芽に関しては,非常に簡単に言ってしまえば,光があっても無くても発芽には関係なく,どちらでもちゃんと芽が出てくるということになる,この辺の論拠に関しては,論文中で統計的に突っ込んだ解析もしてあるので,詳細は原文を読んで頂きたい,→原文はこちら
5.アガベは好光性や嫌光性とは関係なく発芽を判断する
アガベが発芽を判断する場合,とにかく水分が有るか無いかが重要で,発芽可能な水分量があると判断したら,光の有無なんか関係無しに,とにかく早く芽や根を出して,根付いてしまったほうがいいという戦略なのだろう,過酷な環境で生き残るためのサバイバル術,恐るべし,アガベの生存戦略
6.すべてのアガベに当てはまるかは不明?
なお,植物は一般的に小さい種は好光性種子である場合が多い,これは小さい種はエネルギー源である胚乳等も小さいので,土の中に埋もれてしまうと,地上に芽を出す前に力尽きてしまう可能性が高くなる,それを回避するために「好光性」というシステムを獲得したのだろう
そのため,好光性種子の植物は,一般的に種は小さいが数は非常に多く,数をばらまくことで,生存の確率を上げるという手法を取っている,そして好光性という機能で,地表またはきわめて地表に近いということを感知してから芽を出すという,効率的に子孫を多く残す方法を編み出したのだろう
アガベは250種類くらいあるので,非常に種が小さく光があった方がよく発芽するようなアガベが存在するかもしれないが,とりあえず下の写真のような,手で簡単につまめるような大きさ(この場合横幅が4〜5mmくらい)の種なら種まき用土に1cmくらいの深さに埋め込んでも正常に発芽してくる
7.おわりに
ということでタイトルの「アガベの種(タネ)は好光性種子か嫌光性種子か?」の疑問に関しては,アガベは明るくても暗くても発芽可能なので,光の有無に左右されない,いわゆる「中性タイプ」ということになり,この問いかけに対する正解は「どちらでもない」ということになる
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