2015年12月04日
食事介助でトロミ剤を使うときに知っておくべき注意点
食事の汁物やお茶などの水分にムセられる方には、トロミ剤を使うことがあります。
嚥下反射の機能が低下した方が水分でムセてしまうと、誤嚥性肺炎などを起こす危険性があるためです。
寝たきりの高齢者や、声かけに対してあまり反応の無い方は特に注意が必要なため、食事やおやつの際にはこのトロミ剤を使うことが多いわけですが、
トロミ剤は適切な使い方をしないと、かえって危険だということをご存知でしょうか?
少し専門的な話になりますが、大切なことなので知っておいても損はないと思いますので、頭の中でイメージをしながら読んでみましょう。
【嚥下前誤嚥】
嚥下反射(飲み込み)が起こる前に、開いた気道にだらだらと食べ物や飲み物が入ってしまう
→口を開けたままなかなか飲み込まない方や意識のはっきりしない方に多い
【嚥下中誤嚥】
嚥下反射時に喉頭蓋(気道と食道を分けるフタ)が閉じるタイミングがずれて、液体などが瞬間的に気道に入り込む
→加齢とともに多くなる症状のひとつ
【嚥下後誤嚥】
咽頭部(ノド元)に残留したものが嚥下後に気道に入る
→トロミが強すぎるとこの現象が起こりやすい
※トロミを強くし過ぎると粘調度が高くなる(モタッとした感じになる)ので、嚥下中・嚥下後の誤嚥に繋がってしまうおそれがあります。そのため、それを防ぐためにトロミの固さをそれぞれ個別の嚥下状態に合わせて決めることが大切です。職員の独自の判断で固さを勝手に変更する事ということは、誤嚥について深く理解していない証拠です。
職員の、トロミ剤の使用についての知識が不足している場合もあります。
水分にムセのある方 = トロミ剤を使用する
誤嚥とトロミ剤の使用についての知識も、高齢者に合った適正な量もわからないまま、安直にトロミ剤を使用してしまうケースがあるということです。今でもそれが当たり前だと思っている介護士さんや看護師さんがいまだにいます。
もちろん、使用しないことで誤嚥のリスクが高くなる方も実際にいらっしゃいますので、トロミ剤の使用が悪いわけではありません。ここでのトロミ剤を使用する際の注意点としては、
トロミ剤の適正な使用量が守られているか
ということです。
「職員によってなぜこんなに固さが違うんだろう」
と思ったことはありませんか?
単純に、「トロミをつける」ということは知っていても、トロミ剤の使用についてはしっかりと指導されていることは少なく、職員それぞれの目分量でトロミ剤を使用していることはよくあります。
ですがトロミ粉の使用量の目安は、基本的には決められています。パッケージの裏にも書いてありますし、専用の使用量の目安表を納品業者が準備してくれている場合もあります。
固さの程度を示す言葉はいろいろとありますが、一般的には下記の3種類となっています。
ポタージュ状・・・スプーンを傾けるとさらさらとこぼれる程度の固さ
シロップ状・・・スプーンを傾けるとポタポタとこぼれる程度の固さ
ジャム状・・・スプーンを傾けても形状を保てる程度の固さ
このような固さのことを知らずにトロミ剤を使用している方はまだまだ多いですし、残念ながら看護師さんの中にも「もっと固くしないと誤嚥するよ!」と誤った知識で介護士を叱りつけ、さらに固くしようとする方もいます。
トロミの必要な方には、その方に合った適正な量が決められていますから、基本的にはきちんとその量を守らなければなりません。それを守れなくなると、職員さんごとに固さがまちまちになってきます。
適正な量を決める方法としては、VF検査などの専門的な検査やPTや看護師や歯科衛生士などが行う嚥下テストなどがありますので、みなさんの職場ごとの決め方で良いと思います。
大切なのは、統一された使用量を全員に周知・徹底すること、そして決められたトロミの使用量がきちんと守られているか定期的にチェックすることです。
この仕事を始めたばかりの頃の私は、同じ固さのトロミ茶をいくつも作って、食べさせやすいからとモタッとしたジャム状のトロミ茶ばかりを食べさせていました。
そうしなさいと、教えられたからです。
きっとそのような当時の先輩の教えに従って、トロミの必要な方全員分の、同じ固さのトロミ茶を作っている方がまだまだたくさんいらっしゃるのではないかと思います。
トロミはその方に合った固さがある
ということを、これを読んだ方は周りの職員さんにも教えてあげてください。
面倒なら、これをそのまま見せていただいてもいいと思います。
実際にトロミ剤による窒息死などの死亡事故につながった例もあります。
トロミ剤を使用して食事を召し上がる高齢者の方々に、安全な食事を提供できるように私たち介護士の知識をもっと深めていけたらと思います。
食事時の姿勢についてまとめたものがありますので、より食事の技術について知りたい方はこちらをどうぞ。
食事のときの姿勢〜テーブルでの食事@〜
食事のときの姿勢〜テーブルでの食事A〜
食事のときの姿勢〜テーブルでの食事B〜
食事形態についてはこちらの記事が参考になります。
食事の種類(食事形態)について
食事形態の見直しについて
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嚥下反射の機能が低下した方が水分でムセてしまうと、誤嚥性肺炎などを起こす危険性があるためです。
寝たきりの高齢者や、声かけに対してあまり反応の無い方は特に注意が必要なため、食事やおやつの際にはこのトロミ剤を使うことが多いわけですが、
トロミ剤は適切な使い方をしないと、かえって危険だということをご存知でしょうか?
少し専門的な話になりますが、大切なことなので知っておいても損はないと思いますので、頭の中でイメージをしながら読んでみましょう。
誤嚥の種類
【嚥下前誤嚥】
嚥下反射(飲み込み)が起こる前に、開いた気道にだらだらと食べ物や飲み物が入ってしまう
→口を開けたままなかなか飲み込まない方や意識のはっきりしない方に多い
【嚥下中誤嚥】
嚥下反射時に喉頭蓋(気道と食道を分けるフタ)が閉じるタイミングがずれて、液体などが瞬間的に気道に入り込む
→加齢とともに多くなる症状のひとつ
【嚥下後誤嚥】
咽頭部(ノド元)に残留したものが嚥下後に気道に入る
→トロミが強すぎるとこの現象が起こりやすい
※トロミを強くし過ぎると粘調度が高くなる(モタッとした感じになる)ので、嚥下中・嚥下後の誤嚥に繋がってしまうおそれがあります。そのため、それを防ぐためにトロミの固さをそれぞれ個別の嚥下状態に合わせて決めることが大切です。職員の独自の判断で固さを勝手に変更する事ということは、誤嚥について深く理解していない証拠です。
トロミは固すぎてもやわらかすぎてもいけない
職員の、トロミ剤の使用についての知識が不足している場合もあります。
水分にムセのある方 = トロミ剤を使用する
誤嚥とトロミ剤の使用についての知識も、高齢者に合った適正な量もわからないまま、安直にトロミ剤を使用してしまうケースがあるということです。今でもそれが当たり前だと思っている介護士さんや看護師さんがいまだにいます。
もちろん、使用しないことで誤嚥のリスクが高くなる方も実際にいらっしゃいますので、トロミ剤の使用が悪いわけではありません。ここでのトロミ剤を使用する際の注意点としては、
トロミ剤の適正な使用量が守られているか
ということです。
「職員によってなぜこんなに固さが違うんだろう」
と思ったことはありませんか?
単純に、「トロミをつける」ということは知っていても、トロミ剤の使用についてはしっかりと指導されていることは少なく、職員それぞれの目分量でトロミ剤を使用していることはよくあります。
ですがトロミ粉の使用量の目安は、基本的には決められています。パッケージの裏にも書いてありますし、専用の使用量の目安表を納品業者が準備してくれている場合もあります。
固さの程度を示す言葉はいろいろとありますが、一般的には下記の3種類となっています。
ポタージュ状・・・スプーンを傾けるとさらさらとこぼれる程度の固さ
シロップ状・・・スプーンを傾けるとポタポタとこぼれる程度の固さ
ジャム状・・・スプーンを傾けても形状を保てる程度の固さ
このような固さのことを知らずにトロミ剤を使用している方はまだまだ多いですし、残念ながら看護師さんの中にも「もっと固くしないと誤嚥するよ!」と誤った知識で介護士を叱りつけ、さらに固くしようとする方もいます。
トロミの必要な方には、その方に合った適正な量が決められていますから、基本的にはきちんとその量を守らなければなりません。それを守れなくなると、職員さんごとに固さがまちまちになってきます。
適正な量を決める方法としては、VF検査などの専門的な検査やPTや看護師や歯科衛生士などが行う嚥下テストなどがありますので、みなさんの職場ごとの決め方で良いと思います。
大切なのは、統一された使用量を全員に周知・徹底すること、そして決められたトロミの使用量がきちんと守られているか定期的にチェックすることです。
この仕事を始めたばかりの頃の私は、同じ固さのトロミ茶をいくつも作って、食べさせやすいからとモタッとしたジャム状のトロミ茶ばかりを食べさせていました。
そうしなさいと、教えられたからです。
きっとそのような当時の先輩の教えに従って、トロミの必要な方全員分の、同じ固さのトロミ茶を作っている方がまだまだたくさんいらっしゃるのではないかと思います。
トロミはその方に合った固さがある
ということを、これを読んだ方は周りの職員さんにも教えてあげてください。
面倒なら、これをそのまま見せていただいてもいいと思います。
実際にトロミ剤による窒息死などの死亡事故につながった例もあります。
トロミ剤を使用して食事を召し上がる高齢者の方々に、安全な食事を提供できるように私たち介護士の知識をもっと深めていけたらと思います。
食事時の姿勢についてまとめたものがありますので、より食事の技術について知りたい方はこちらをどうぞ。
食事のときの姿勢〜テーブルでの食事@〜
食事のときの姿勢〜テーブルでの食事A〜
食事のときの姿勢〜テーブルでの食事B〜
食事形態についてはこちらの記事が参考になります。
食事の種類(食事形態)について
食事形態の見直しについて
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