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posted by fanblog

2016年01月03日

食事のときの姿勢〜テーブルでの食事A〜

前回、食事をする際のテーブルの重要性についてはお伝えした通りです。


まだ読まれていない方はこちらを先にどうぞ。

食事のときの姿勢〜テーブルでの食事@〜


今回は、テーブルと同じくらい重要な「イス」についてお伝えしていきます。




入居者が座るイスの違いとは

イスといっても入居者の座るイスには様々な種類がありますが、イスによっては肘置きの有無やイスの高さ、そして座面の広さに違いがあるということをご存知でしょうか?


ここでは、そのイスの違いをひとつずつご説明していきます。


イスに肘置きが付いている理由

基本的に、入居者が座るイスは4本足のタイプが多いのですが、そのようなイスにも様々なタイプのイスがあります。


すぐに見てわかるのは、イスに肘置きが有るものと無いものです。


肘置きが有るものは、食事や普段使い用のイスとしてよく使用されています。肘置きの無いものは、リハビリやレクリエーション用のイスとして使用されます。


なぜ肘置きのあるイスのほうがいいのかというと、肘置きがあると立ち上がりが楽に行えるようになるからです。足腰の弱った高齢者でも、肘置きの部分を支えにしてひとりで楽に立ち上がることが出来ます。


健康な私たちは自分の足の力だけで楽に立ち上がることができますから、普段よく使っているイスに肘置きがなくてもそれほど支障はなく、肘置きが付いていないものも多いのはそのためです。


また、入居者が肘置きのあるイスをよく使用している理由はもうひとつあります。


それは、イスに座っているときのバランスを保ちやすくするためです。


高齢になると腹筋や背筋が弱くなり、そのため座位のバランスを上手く保てなくなる方がいらっしゃいます。もしイスに座っているときに左右に大きく身体が傾いても、肘置きがあればそれが支えとなってくれます。


万が一のイスからの転倒を防ぎやすくなるということです。


施設ではよく座位のバランスを崩しやすい方が両脇にクッションなどを挟みこまれているのを見かけますが、それも座位のバランスを保つためと、左右に身体が傾いたときに肘置きの部分で身体を傷つけないようにするため、その部分を上手く利用しているものと考えられます。


イスによって脚の長さと座面の広さが違う理由

基本的にイスは、一般的な成人が座ることを想定して作られています。


それは入居者が座るイスにも言えることです。介護用のイスなども一般的な成人の、身体の大きさに合わせて設計され作られています。


多少大柄な男性が座っても窮屈ではない程度のイスの高さと座面の広さになっている場合が多いため、たとえば私たちが座ってもちょうどいいサイズのイスになっていると思います。


他にも介護用のイスの中には、他のイスよりも脚が長めに作られているイスや、脚の長さは変わらなくても、座面の広さが他のイスと比べて広いタイプのものもあります。


これは、体重のある方など、もっと大柄な方を想定して作られていることもあり、メーカーによってもイスの脚の長さや座面の広さなどが違うものもあります。


どちらにせよ、たとえ介護用品の載っているカタログにあるような介護用のイスであっても、小柄な入居者には不向きなイスである場合が多いということです。




パイプイスや丸イスが入居者用に向かない理由

入居者が座るイスは、基本的には4本足のイスがいいとされています。


なぜ4本足のイスを使用するのかというと、それは座ったときのバランスが他のイスに比べて良いためです。


よって、パイプイスや丸イスを使用される方はほとんどいらっしゃらないと思います。


パイプイスは座面も硬く、横に倒れやすいという性質があります。


たとえばパイプイスに座った入居者が、左右に体重を大きくかけてしまった場合、パイプイスはバランスを崩しやすくなり、入居者は転倒するおそれがあります。


使用している方はいないと思いますが、もしも使用されている方があれば止めたほうがいいでしょう。


丸イスはもっと危険です。座面の狭さ・硬さに加え、背もたれもありませんので、明らかに入居者が使うイスとしては不適切です。


本来、このような簡易的なイスは、ご家族が面会に来られた際や、職員が食事介助をする際に使用するものです。


入居者を座らせること自体ありえません。


入居者が座るイスについて考える

みなさんは、「食事の際に入居者が使用するイス」について考えたことがあるでしょうか?


たとえば、みなさんもテーブルで食事をするときはイスに座ると思いますが、そのいつも座っているイスは食べやすいイスですか?


私の職場の休憩室にはテーブルの片側にはイスではなくソファが置いてあるんですが、中にはそのソファに座って食事をしている職員さんもいます。


けっこう深く沈み込むので、テーブルに対してはかなり低い位置で食べていることになるます。


見ていて、食べにくそうだなと思うんですが、それでも健康な私たちは多少テーブルの高さとイスの高さが違っていようと上手く食べることができます。


食事をソファに座って食べる入居者はあまりいらっしゃらないかもしれませんが、同じようにテーブルとイスの高さが合っていない状態で食事をされている入居者を見かけるときはあると思います。


そのような光景を見かけるのは、身長の低い方や背中の曲がった方に特に多い傾向にあります。


テーブルの高さが合っていないのもありますが、中にはイスに座っているのに足がしっかりと床についていない入居者もいらっしゃいます。


先ほどお伝えしたように、テーブルの高さもイスの高さも、一般的な成人向けに作られていることが多いので、たとえ施設などでよくみかけるタイプのテーブルやイスでも、身長の低い方にはまだ高すぎるということです。


イスの高さ調節をどうするか

最近の介護用のイスは、高さ調節が可能なものも多数発売されています。そのようなイスを使えば、入居者の体格に合ったイスの高さに調節することができます。


しかし中には、高さ調節のできないイスをまだ使用しているというところも多いのが現状です。


新たに高さ調節のできるイスを購入する予算が組めないのであれば、せめていくつかのイスの脚をカットすることをおすすめします。


入居者の体格に合わないイスを使わせ続けることにメリットは何もありません。


床にしっかりと両足が着くように調整された「小柄な方専用のイス」というものを作ったほうがいいでしょう。



イスの脚をカットするときの注意点ですが、脚の長さをきちんとそろえることはやや難しい作業ですので、のこぎりの他に、微調整のできるやすりなども準備しておきましょう。


行き当たりばったりでカットしてしまうと取り返しのつかないことになりかねませんので、しっかりと寸法を測ってから行うようにしてください。


カットした脚には、脚の先端に取り付けるゴムキャップがホームセンターなどに売られていますので、床を傷つけないためにも忘れずに取り付けるようにしましょう。


もし、上司に相談しても、イスの脚のカットがどうしても難しいようでしたら、せめて入居者の両足がしっかりと床に着くように、足を乗せる台を作るようにしましょう。


私たちも食事で足が浮いた状態で食事をすることはないはずです。そうでないと座位のバランスを保つことが難しくなるため、必ずどちらかの足は床につけて、食事をしています。


不安定な姿勢での食事は、姿勢を大きく崩すことになりますので、イスの高さは両足がしっかりと床に着く高さにすることを意識するようにしましょう。



このように、イスの高さもテーブルの高さ同様に、安全に美味しく食事をするためには大切だということがわかっていただけたかと思います。



では次は、車イスに座ったままテーブルで食事をすることについてです。
食事のときの姿勢〜テーブルでの食事B〜



食事形態についてはこちらの記事が参考になります。
食事の種類(食事形態)について

食事形態の見直しについて



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介護福祉士、社会福祉士、ケアマネージャー、看護師の資格を持っています。現在はとある施設で職員教育の役職に就き、それを主な職務にしつつ、大好きな現場にもちょくちょく足を運んで、業務も手伝っています。日々、介護に対してのカンが鈍らないよう勉強中です。
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