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2018年12月27日

ブライトン in『ことの終わり The end of the affair』

★美しき大人の男女の悲しい恋物語
『ことの終わり The end of the affair』

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♪終わりは、始まりにすぎない…♪

1999/英 監督:ニール・ジョーダン

グレアム・グリーンの傑作恋愛小説「情事の終わり」を、「クライング・ゲーム」「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」「プルートで朝食を」など数々の衝撃作を世に送り出してきたニール・ジョーダン監督で映画化した二度目の作品で、大好きな俳優レイフ・ファインズ様と実力派女優ジュリアン・ムーアが、ロマンティックな男女の悲しき恋愛模様を限りなく美しく演じている。

【Story(ネタバレ注意)】

1946年、ロンドン。小説家のモーリス(レイフ・ファインズ)は、2年ぶりに友人のヘンリー(スティーヴン・レイ)と彼の妻サラ(ジュリアン・ムーア)と再会する。実はモーリスとサラは、戦時中密かに不倫の愛に身を焦がした仲だった。ヘンリーは現在、サラが浮気しているのではないかと苦悩している。その相手が気になったモーリスは、ヘンリーに内緒で、サラの素行調査を探偵に依頼する。まもなく、探偵事務所のパーキス(イアン・ハート)の調べにより、サラには浮気相手”第三の男“がいるらしいと分かる。パーキスは、サラの数年分の日記を入手。その記述により、”第三の男“を巡る真実を知るモーリス。
再び愛し合う日々を取り戻した二人は、夫ヘンリーから逃げるようにブライトンへ向かうが、サラの命は風前の灯だった。

【Location】
2人の逃避行先、ブライトンでは、賑わうピアや、二人が宿泊するホテルとして海の目の前の白く優雅な高級アパート(9 Eastern Terrace)などが、海辺のリゾートでの大人の恋を演出している。ロンドンでのロケ地は、サラの神聖さを現す鍵となる少年とのシーンが撮影されたMaida Valeの地下鉄駅、また二人が逢瀬を重ねるレストランでのシーンが撮影されたPicccadiliyのPark Lane Hotelなどがある。

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左:桟橋の先にあるブライトン・ピア。二人が逢瀬を重ねるシーンに登場。

【Review(ネタバレ注意)】

神が起こした奇跡と、男女の愛し方の違い
マイケル・ナイマンの美しい音楽、サンディ・パウエルのエレガントな衣装、そしてロンドンとブライトンを舞台に繰り広げられる美しくも悲しい愛の物語。

戦時中、逢引の最中にドイツ軍の爆撃により瓦礫に埋まって息をしていないモーリス(レイフ・ファインズ)を発見したサラ(ジュリアン・ムーア)は、彼を助けてくれるならこの情事の関係を一切断ち切ると神に祈った。そしてモーリスが奇跡的に息を吹き返すと、彼女は彼の元を離れ、彼を愛するが故に神との約束を守り続けたのである。

愛は終わっていなかったと知るモーリス。しかし神との約束を破り再びモーリスとの愛に身を投じたサラを待っていたのは、無情な神の審判、残り少ない命だった。モーリスはヘンリーの求めに応じ、二人でサラの死を看取るのであった。

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「離れていても愛は死なない」と信じた女。
「逢わなければ愛は終る」そう思い込んだ愚かな男。

神の行う奇跡を軸にあまりにも切ない愛を、息をのむほどの美しい映像で魅せるこの映画、最初見たときは「第三の男」にこだわる必要はなかったのでは、と少しだけ感じた。
ただそれは、私が日本人であまりに宗教とは無縁に生きていたからであり、2度目以降この映画を見るたびに、サラの神への忠誠心に深く心を打たれてしまう。

「愛する人と突然会わなくなること」は女にとってつらい。身体の関係が深ければ深いほど。しかもサラはモーリスに深く愛されていたし、それを実感もしていた。でも神との約束を破ったら彼は命を失うかもしれない…。そして絶望的な結婚生活に身を委ね、ただ年老いていくことを選んだサラ。しかし2年後、運命は過酷な再会をもたらし、約束を破った途端、神はモーリスではなく彼女自身の命を奪った。う〜ん、私もきっと自分の命より愛を選ぶだろうなぁ、女ですもの。

最高の俳優陣
第二次大戦下という制約の多い時代設定と、ジュリアン・ムーアのセンスの良いファッション(ファム・ファタールはいつも赤いドレスを着こなしているものだ)や、光を上手く使った耽美的な映像が「大人の恋愛」感を高めている。「アリスのままで」のすごすぎる演技や「美しすぎる母」での女っぷりが印象深いジュリアン・ムーア、昔はヒュー・グラントと「9か月」なんていうコメディで共演したりもしていましたね。最近はすっぴんがとっても魅力的な女優さんとして人気です

妻が結婚に満足していないと知りつつ、どうしていいかわからないダメ夫を演じたのは、スティーブン・レイ。ニール・ジョーダン監督のお気に入りなのか、「クライング・ゲーム」始め彼の作品に多く出演している。しょげた犬のような顔(すみません)が印象的なイギリス(ベルファスト出身なのでアイリッシュかな?)の人気俳優さん。

友人の妻を寝取ったり、一方的に去った女に恨みを抱き続け冷酷な態度で接したりと、サイテーな男の部類に入るモーリスを演じたレイフ・ファインズの「二枚目」ぶりもたまらない!
イヤな男なのに、サラへの気持ちは本物なだけにその哀しみを湛えた、時に抑えがたい怒り(自分勝手なんだけどね)を秘めた瞳が女心を揺さぶる。ああ、やっぱレイフ・ファインズ様、美しい〜

彼の魅力は、ザ・ブリティッシュの精細な美しさ。「嵐が丘」のヒースクリフ(私の好きな役だ黄ハート)、「シンドラーのリスト」での狂ったドイツ人将校、「ストレンジ・デイズ」の危険なイケメン、「オネーギンの恋文」でのロシア人貴族、「ある侯爵夫人の生涯」での横暴な侯爵、ハリ・ポタのヴォルデモート!最近では007シリーズでのナイスなボスや、『グランド・ブダペスト・ホテル』でのハマリ役など、役によっていろんな顔を見せてくれるレイフ・ファインズ。髪は大分薄くなってしまいましたが、歳をとっても優雅な英国紳士に変わりはありませんね

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ブライトンを旅してみた
ブライトンといえば私にとっては、映画「ことの終わり」の舞台となった街なので、イギリス南西部を旅すると決めた時、当然真っ先に浮かんだ行き先だった。

映画のロケも行われたブライトン・ピアは宿泊したゲストハウスから近かったので、当然ながら足を運んだ。桟橋の先にあるブライトン・ピアや海辺の舗道が、二人が逢瀬を重ねるシーンに登場。往時の賑やかさを偲ばせる。現在でもポッシュなリゾートとして依然イギリス人に人気のリゾート、ブライトンへ私もハンサムな男性と愛の逃避行をしてみた〜い!!


ブライトンの旅の記事はこちらへ。

posted by Izumi at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の舞台
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