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2018年07月01日

世界1周の旅:アジア編 E【香港】 旧正月のマカオは中国色に染まっていた…

A voyage round the world : Asia Edition E Macao of the lunar New Year was dyed a Chinese color… 【February 2011】

ネパールから香港へ From Nepar to HongKong
 

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 ポルトガル時代の美しい建物が残るマカオ

早朝5時45分、香港国際空港へ降り立つ。
夕べカトマンドゥの空港に早く着きすぎ、深夜の冷気にしばらく晒されていたからか、体がだるく少し発熱しているようだ。

ネパール唯一の国際空港は、旧共産主義国にいるかのように無駄な装飾を一切省いた冷たい印象で、周囲を物々しい警備兵が囲む少し緊張状態の待ち時間となった。
神経が張り詰めすぎると、体が疲れていても人間眠れないものだ。


睡眠不足のまま入った香港国際空港は、ネパールの年代物の空港とは対照的に、明るく近代的で様々な設備が整っており、フードコートやレストラン、ベンチなども充実。早速向かった市内のホテルでは、朝九時にもかかわらず気前よく部屋に入れてくれたのがとてもありがたかった。

 
東洋と西洋が混在する街 マカオ 
Macau The city where the Occident and the Orient are mixed
 

今回の旅に香港を組み込んだのは、実はマカオに来たかったからと言っても過言ではない。
実のところ、ワンワールドの世界一周航空券で行ける都市で乗り継ぎに便利なのがたまたま香港だったというだけで、香港自体にはさして興味はなかったので香港到着後の2日間はほとんど快適なホテルにこもっていたくらいだ。

至る所に残るポルトガル統治時代の遺構である美しいコロニアル建築と、アジア的な混沌が混ざった特異な街マカオ。
本当はこの街に3泊以上したかったのだが、運悪く中国の旧正月と重なり、宿の確保がどうしてもできなかったのだ。
それでも日本にいる友人に何とか宿を確保してもらい、二つ星のホテルに一泊することができたので、短時間でマカオを歩き倒すことに辛くも成功した。(友人H氏に感謝!)

1日目は九竜島からフェリーでマカオへ渡り、チェックイン後すぐにホテルを飛び出してマカオ散歩に繰り出した。
早速元気いっぱいで坂道を登り、砲台の残るギア要塞のある東望洋山の灯台を目指す。

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山上は緑の多い公園になっていて、観光客だけでなく散歩やジョギングをする地元民の姿も多い。
タイパ島へ渡る大橋やカジノで有名なホテル・リスボアの醜悪な外観だけでなく、中国本土との境界付近まで見渡せ、大まかな地図を頭に入れるのに役立った。

ギア要塞からケーブルカーで下へ降りてポルトガル時代を偲ばせる建物が多く残る地域を通りすぎ、庶民の生活が垣間見られる古いアパートがひしめく裏通りを抜ける。
今も街角に残るキリスト教の名残を感じさせる水道の周りでは、ピンクの服を着た女の子たちが遊んでいた。
狭いベランダで洗濯物がはためく傾きかけたアパートの一階部分は、ほとんどが昔ながらの小さな安食堂だった。

カーサ庭園では噂通り昼間からテーブルを囲みカードゲームに興じるオジサンたちを横目に、カモンエス広場へ向かってぶらぶら歩く。

そこから観光客で賑わう大三巴街(秋葉原とアメ横と原宿を一緒くたにしたような何でもストリート)を通り、ついに念願の聖ポール天主堂跡へ。

マカオ随一のショッピング街である大三巴街は、大晦日の諏訪大社参道のような人込みだった。
人波をかきわけるようにしてやっと辿り着いた天主堂は、やはり修学旅行の生徒で溢れる清水寺のごとく騒がしく、残念ながら歴史の荒波に浸りきることはできなかった。

マカオといえばエッグタルトを食べなくちゃ、と楽しみにしていたのだが、軒並み売り切れだったり、美味しそうなお店には鈴なりの人・人・人…で、とても気の弱い日本人にである私には、突入していく勇気も気力もないのだった…。

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その代わり、といってはなんだが、マカオまで行ってなぜか和風ラーメンなるものを頼んでいた私。どう見てもうどん、の上にチンゲン菜と沢庵。マッシュルームが載っているのには目がテンになった。味は…ご想像にお任せする(-_-)


青空を背に、すっくと立つ装飾の施された巨大な壁。マカオのシンボル、聖ポール天主堂跡は、長年憧れ続けたどうしても見てみたい建築物の一つだった。

教会正面の壁だけが遺され、小さな地震でも起きたらすぐにでもパタンと倒れてしまいそうに見えるが、その威容は真下から見上げるとさすがに感慨深く、ほんの一瞬ではあったが私を3、4百年前の歴史の渦中へと連れて行ってくれた。

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聖者の一人に頭を踏みつけられたドラゴンの彫刻は、一説には徳川家康の顔を模したものだと云われる。
そんな物語性の高い壁の装飾にじっくりと見入る時間も余力もなく、やはりマカオは静かな時期に改めて訪れたいと心に誓い、再び前に進むのも一苦労な人込みに身を投じてセナド広場へと向かった。

ポルトガル色を打ち消そうとでもしているかのように派手はでしい中国の正月飾りに埋め尽くされたセナド広場は、ちぐはぐな服を着せられたお姫様のように俯きながら佇んでいた。
ポルトガル統治時代の欧風建築が建ち並ぶ美しい世界遺産であるセナド広場が、私の感覚では「残念な」ことになってはいたが、道行く中国人たちは皆幸せそうに何百と吊り下げられた赤と黄色の提灯のような飾りを見上げて手を叩くのだった。

本来はコロニアル様式の官庁や邸宅が建ち並び、敷石のモザイクが美しく映える異国情緒漂う場所のはずなのに、爆竹の音に負けじと声を張り上げて喋る中国人の波に完全に悪酔いしながら、私はヨタヨタと歩いた。

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似たような顔をしたアジア人の中にいるのに、ヨーロッパを歩くよりも孤独だった。
美意識の違いが人間に与える不快感が、予想以上に大きいことを知った私は、同じアジア人である中国人に対して抱いてしまう嫌悪感を、抑えることができなかった。


世界一周旅の始まりはこちらから。
タグ:マカオ 香港
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