2022年01月10日
『魔術師マーリン』と『ROMA』:海外ドラマで時代の移り変わりを思う
Think about the change of times by watching overseas TV dramas
古代のアーサー王伝説を中世時代に置き換え、王子アーサーとマーリンとの友情を軸に描いたイギリスのテレビドラマ『魔術師マーリン The Adventures of Merlin』。
昨年、第5シーズンまでを毎日楽しみに一日一話ずつ見た。
本家イギリスでは、ジョセフ・ファインズやエヴァ・グリーンといった豪華キャストの『キャメロット』など、アーサー王とマーリンに関するドラマや映画は、これでもかというくらい作られている。
イギリス人が大好きなアーサー王とその家来である魔術師マーリンの物語だが、今作で描いているのはまだ王になる前のアーサーと、魔術が使えることをアーサーにさえひた隠しにしているマーリンの関係。
古代、魔法は人間の生活の中に生きていた?
アーサーの父、ウーサー王は魔術によって愛する妻を失ったため、徹底的に魔術を弾圧している。そんな時代に魔法使いであることを隠しながらも、王子アーサーが危機に陥るたびに魔法で彼を助けるマーリン。そんなこととはつゆ知らず、マーリンを間抜けだが忠実な下僕だと信じて彼に友情を感じている真っ直ぐなアーサー。
「はぁ〜?」という無理やりなストーリー展開が多かったが、フランスのコンピエーニュ城(上の写真)でロケをしているし、騎馬試合や衣装など一応中世の世界観は出ていた。何より毎回森が出てくることと魔法がメインテーマなのは、フィンドホーン関係者にはたまらない。
人間の残酷さを描いたドラマ
そして『マーリン』の次に見始めたドラマは『ROMA』。今度はカエサル時代のローマ帝国の物語。
いやはや、怖いです。残酷です。血まみれスプラッター、ドロドロです…
まず驚かされるのは人間の残酷さ。
紀元前、人間はあそこまで獣に近い生き物だったのか。奴隷制が当たり前、気に入らなければ即殺す。政治は今と変わらず裏切りと策略に満ち、街では縄張り争いでやられたらやり返す恨みの連鎖。姉弟が体の関係を持ち、兵士は羊飼いの少女を道端で犯して放置する。戦争の後は勝者による略奪。人は何でも神頼みするが、実際信じてなどいやしない。都合よく利用するだけ。真剣に祈るのは誰かを呪い殺したり、追い落としたり、破滅へ導くため。男も女も肉欲の塊…。
特に私をつらい気持ちにさせたのは『ROMA』で描かれる「女の闘い」だった。
人を使って憎い敵を陥れる。そのやり方は残酷極まりない。まだキリスト出現以前の世界なので「赦し Forgiveness」という感覚がないように思えた。
人を殺すことがたいしたことではない、という世界。策謀だらけの世界。政治も宗教も金次第なのは今と同じだが、そこにあからさまな暴力が加わる。なぜ人間というものはあんなにも残酷になれる?拷問されて苦しむ同じ人間を笑って眺めていられる?
その神経が理解できないのは、人殺しが罪になる現代に私が生きているからだろう。
人間の歴史は戦争に次ぐ戦争、殺し合いの歴史だ。
「野蛮」という言葉は、現代が洗練された世界だという前提で表現される。
しかし、目に見える暴力の減った現代でもきっとそれは同じだ。この世で生き抜くには、奸計は必要不可欠なのか。ただ人に誠実に、そして自分にも正直に生きていくことはできないのだろうか?
ローマ帝国時代に生きた人が現代に飛ばされたら、世界はなんと変わったのかと思うだろう。
時代は変わり、人間も変わり続けるのだ。
けして同じ場所にとどまることはない。でも変化は突然やってくる。
2001年の同時多発テロ、2008年のリーマン・ショック、そして2020年のパンデミックのように。
昨日の常識が明日の非常識に変わってもおかしくない世の中。
2021年、全く新しい風の時代の到来。ますます執着しないことが、時代の波に乗るために必要になってくるだろう。
だからこそしっかりとした自分軸を持たなければ、振り回されてしまう。何が正しくて何が正しくないかは、時代によっても変わるのだ。風のように軽やかに生きていきたい。
古代のアーサー王伝説を中世時代に置き換え、王子アーサーとマーリンとの友情を軸に描いたイギリスのテレビドラマ『魔術師マーリン The Adventures of Merlin』。
昨年、第5シーズンまでを毎日楽しみに一日一話ずつ見た。
本家イギリスでは、ジョセフ・ファインズやエヴァ・グリーンといった豪華キャストの『キャメロット』など、アーサー王とマーリンに関するドラマや映画は、これでもかというくらい作られている。
イギリス人が大好きなアーサー王とその家来である魔術師マーリンの物語だが、今作で描いているのはまだ王になる前のアーサーと、魔術が使えることをアーサーにさえひた隠しにしているマーリンの関係。
古代、魔法は人間の生活の中に生きていた?
アーサーの父、ウーサー王は魔術によって愛する妻を失ったため、徹底的に魔術を弾圧している。そんな時代に魔法使いであることを隠しながらも、王子アーサーが危機に陥るたびに魔法で彼を助けるマーリン。そんなこととはつゆ知らず、マーリンを間抜けだが忠実な下僕だと信じて彼に友情を感じている真っ直ぐなアーサー。
「はぁ〜?」という無理やりなストーリー展開が多かったが、フランスのコンピエーニュ城(上の写真)でロケをしているし、騎馬試合や衣装など一応中世の世界観は出ていた。何より毎回森が出てくることと魔法がメインテーマなのは、フィンドホーン関係者にはたまらない。
よくも毎回こんなくだらないストーリーをでっちあげられるなあ…と思いながらも、毎日楽しみにしていたのは多分、登場人物がものすごく人間くさかったからだろう。 「どうしようもないな、こいつ…」と思うキャラばかり。だからこそリアルな人間らしくて、子供でも楽しめる「アーサー王伝説」だった。終わってしまうとやはり寂しい。 主演の二人はなかなかのイケメン。 『魔術師マーリン』が終了した2012年以降、アーサーを演じたブラッドリー・ジェームズをスクリーンで見かけたのは2016年の映画『アンダーワールド/ブラッド・ウォーズ』の端役くらい。 マーリンを演じたコリン・モーガンはテレビを中心に活躍しているらしい。 悪女モルガナ役のケイティ・マクグラスは、超がつくほどの美人だった。もっと彼女の作品を見たいと思わせる女優だ。通常アーサーの姉として扱われるモルガナ姫が、いかに邪悪な魔法界へ落ちていったかも、この作品の重要なストーリーになっている。 |
人間の残酷さを描いたドラマ
そして『マーリン』の次に見始めたドラマは『ROMA』。今度はカエサル時代のローマ帝国の物語。
いやはや、怖いです。残酷です。血まみれスプラッター、ドロドロです…
まず驚かされるのは人間の残酷さ。
紀元前、人間はあそこまで獣に近い生き物だったのか。奴隷制が当たり前、気に入らなければ即殺す。政治は今と変わらず裏切りと策略に満ち、街では縄張り争いでやられたらやり返す恨みの連鎖。姉弟が体の関係を持ち、兵士は羊飼いの少女を道端で犯して放置する。戦争の後は勝者による略奪。人は何でも神頼みするが、実際信じてなどいやしない。都合よく利用するだけ。真剣に祈るのは誰かを呪い殺したり、追い落としたり、破滅へ導くため。男も女も肉欲の塊…。
特に私をつらい気持ちにさせたのは『ROMA』で描かれる「女の闘い」だった。
人を使って憎い敵を陥れる。そのやり方は残酷極まりない。まだキリスト出現以前の世界なので「赦し Forgiveness」という感覚がないように思えた。
その赦しを初めて政治に使ったのがカエサル。 しかし、カエサルの思想とやり方は時代を先取りしすぎていて、元老院を含め一般人には理解できなかった。いつの世も特権階級は変化を嫌って利権を守るために変革者を殺し、平和を保ったと主張する。国のために制裁を加えたのだと。 そんな『ROMA』の映像はかなり真実に近いものだと考える。 2000年以上前、人の死はあまりに身近だったのではないだろうか。紀元前の話だからヒトがまだ野蛮なのはわかるのだが、現代人の感覚からすると「ああ、人間て恐ろしい…」と思わずにいられないほど血塗られている。 |
人を殺すことがたいしたことではない、という世界。策謀だらけの世界。政治も宗教も金次第なのは今と同じだが、そこにあからさまな暴力が加わる。なぜ人間というものはあんなにも残酷になれる?拷問されて苦しむ同じ人間を笑って眺めていられる?
その神経が理解できないのは、人殺しが罪になる現代に私が生きているからだろう。
人間の歴史は戦争に次ぐ戦争、殺し合いの歴史だ。
「野蛮」という言葉は、現代が洗練された世界だという前提で表現される。
しかし、目に見える暴力の減った現代でもきっとそれは同じだ。この世で生き抜くには、奸計は必要不可欠なのか。ただ人に誠実に、そして自分にも正直に生きていくことはできないのだろうか?
ローマ帝国時代に生きた人が現代に飛ばされたら、世界はなんと変わったのかと思うだろう。
時代は変わり、人間も変わり続けるのだ。
けして同じ場所にとどまることはない。でも変化は突然やってくる。
2001年の同時多発テロ、2008年のリーマン・ショック、そして2020年のパンデミックのように。
昨日の常識が明日の非常識に変わってもおかしくない世の中。
2021年、全く新しい風の時代の到来。ますます執着しないことが、時代の波に乗るために必要になってくるだろう。
だからこそしっかりとした自分軸を持たなければ、振り回されてしまう。何が正しくて何が正しくないかは、時代によっても変わるのだ。風のように軽やかに生きていきたい。
タグ:ドラマ
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