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2023年10月14日

梅毒について正しく知ろう−29.梅毒とエムポックス(サル痘)の皮膚症状の違い−

【2023年の9月下旬時点での梅毒流行の現状】

2022年1年間の日本の梅毒患者数は、12964人となり過去10年間で最高となりました。

2023年9月24日時点の梅毒患者は、10957人になりました。

未だ大流行は収まる気配はありません

感染対策を怠らず感染にはくれぐれも気をつけてください。

【日本国内におけるエムポックス(サル痘)の流行の現状】

一方エムポックスは、2022年7月25日に、国内1例目の患者が報告さてから2023年になってから患者数が増加しつつあり、2023年10月13日時点では210人となっています。

エムポックスは海外では減少傾向にあるにも関わらず、日本では逆に増加傾向にあります。

【エムポックスの臨床症状】

今まで知られていた古典的なサル痘では、発熱、頭痛、リンパ節の腫れなど先行する症状が数日持続してから皮疹が出現するとされています。

皮疹は顔面から出現して、全身へと拡大し、全身の皮疹がある一時点においてすべて同一段階の状態で、赤い発疹から水ぶくれ、 そしてかさぶたになっていくというのが一般的でしたが、現在流行しているサル痘では発熱、頭痛、リンパ節の腫れなど先行する 症状がない症例も半数ほどあり、また皮疹の状態もそれぞれの部位で進み具合が異なる事例が報告されており、皮疹も特定の部位 のみでみられることがあり、中でも肛門や生殖器の頻度が最も多く、体幹・四肢、顔、手のひら・足の裏などでもみられることがあります。

更に口の中や直腸にも病変が見られるようになってきています。

【エムポックスの皮疹とは】

エムポックスの皮疹は水疱という水ぶくれが見られることが特徴です。

通常赤い発疹から水疱になり、さらに水疱から、中に膿がたまる膿疱になり、それが破れてかさぶたになります。 これまでは水ぶくれの時期、かさぶたになった時期など様々な時期の皮疹が混在するのが水痘の特徴であり、 サル痘や天然痘では全身の皮疹が均一に進行していくのが特徴とされていましたが、今回の流行ではサル痘でも様々な時期の皮疹が混在することがあるようです。

ただし、皮疹の部位が生殖器に多い、というのは今回の流行におけるサル痘の大きな特徴でもあります。


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【梅毒の皮疹とは】

梅毒の場合は梅毒トレポネーマの侵入した箇所に感染後訳1ケ月後に傷みのない硬い出来物(初期硬結)がやがて潰瘍となります。

最近ではオーラルセックスによる感染で、唇や喉の粘膜にも病変が多く見られるようになってきています。

感染後2〜3ケ月を経過すると、痒みも痛みもないバラ色の湿疹(バラ疹)が全身に出てきます。

【エムポックスと梅毒の湿疹の根本的な違いは】

◎エムポックスでは生殖器に水ぶくれなどの皮疹が出やすいが、梅毒では痛エムポックスみのない硬い出来物ができやがてこれが崩れて潰瘍になります。

◎エムポックスの皮疹は「赤い発疹→水疱→膿疱→かさぶた」と変化していきますが、梅毒では赤い発疹のままのことが多い。
サル痘の新しい呼び方

※世界保健機関は、2022年11月28日サル痘(monkey pox)について、新たな名称として「M痘(mpox:エムポックス)」を使うと発表しています※

当面の間は、世界的な流行の最中に名称を変更することで引き起こされる混乱を軽減するため、名称変更は段階的に行われるとし、今後1年間は、サル痘とM痘(mpox:エムポックス)の両方が使われます。


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長年血液により感染する感染症の研究に従事した際の経験・知見を活かして各種感染症の正しい知識と予防法を解説します。
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