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2018年05月28日

サンクティ・スピリトゥスでの自殺率増加 キューバ全国平均を上回る

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2017年、サンクティ・スピリトゥスの20歳から39歳までの女性の主な自殺手段は、向精神薬の摂取だった

Escambray、2018年5月28日、Enrique Ojito記者

世界で健康の問題とみなされている自殺は、サンクティ・スピリトゥスで発生率が増加しており、それはキューバ全国平均を上回っている。

エレーナは一度も命の危険から遠く離れたことはなかった。アパートの窓を開けるとそこから予期せぬ霧雨が入りこんだ。そのとき居間にいた母親はテレビで冒険を楽しんでいた。そのとき彼女の娘は永遠に逃げ出そうとしていた。これまでにも、向精神薬を過剰摂取し集中治療室に運ばれた。列車もあった。汽笛が何度も鳴り、彼女はあやわというところで線路から引っ張り出された。22年間の人生を捨て去りたかった。荒れた結婚生活から逃げ出したかった。飛び降りるために肘掛け椅子に上り、それから窓にあがった。そして雨降る暗闇のなかに消えた。

自殺(未遂含む)はサンクティ・スピリトゥスやキューバだけの問題ではない。世界保健機構(WHO)は、世界で40秒に一人、自殺で命を失っていると推定しており、1年間に自殺で死ぬ人の数は、同期間に戦争や殺人で死ぬ人の数を上回ってさえいる。

キューバ内外の専門家が主張するとおり、この問題はこんにちだけの現象ではない。人類の歴史において自殺は、さまざまな文化的見地から取り扱われ、その見方は時とともに大きく変遷してきた。

ヴァイキング時代からガリア時代における古代では、病や老いのために自殺することは正当なことだった。日本人は贖罪や敗北の際にその行為に訴えた。ギリシャ・ラテン世界でそのような行為に及んだ著名人たちのリストはソクラテス、マルコ・アントニオなど、広範になる。キューバでは、はじめ、原住民が、そのあとキューバに連行されたアフリカ人たちが、スペイン人征服者たちに対して生じた無力さと苦しみから縊死に訴えた。これはテレシータ・ガルシア・ペレス女医の著書「心理学的検死 自殺か他殺か」による。

ウィリアム・シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の悲劇的結末を過小評価することなく、文学を検討すると、小説「若きウェルテルの悩み」がある。これは1774年に出版されゲーテを一躍有名にしただけではなく、ヨーロッパで主人公をまねた若者の自殺の流行を引き起こした。

WHO(世界保健機構)にとって自殺は、(この言葉は英国の作家で医師でもあったトマス・ブラウンが1642年に発表したその著書「Religio Medici」で使った造語で、ラテン語のsui(それ自身)とcaedere(殺す)に由来している)、「自殺行為による死」であり、同機構はこれを「どの程度の致命的な意図や知識があったかにかかわらず、個人が自分自身に傷を生じるあらゆる行為」として概念化している。

臨床的、心理学的 - 精神医学的、疫学的、社会学的...視点からの分析対象である自殺という行為は、世界的現象として、先進工業国にも、発展途上国にも影響を与えており、英国と米国の学者たちに共同での研究を促したほどであった。この学者たちは、「より幸せな国々」における自殺による死亡率の高さを逆説的なものとしてみなした。つまり、幸福という概念を、本質的に、人びとが望むことをなし、望むものを買うための十分なお金があることとして理解したのだった。

この還元主義的な見解とは関係なく、自殺による人命の損失は、キューバと同じことが日本やスイスでも起きており、米国では10万人に1人という高い割合で起きていることが明らかになっている。

ジュネーブに本部がある国連人権理事会の制度である「普遍的・定期的レビュー」に対する、キューバによる最新の報告発表が示したとおり、人類が礎石として得た完璧なプロジェクトである「キューバ革命」への反対意見を醸造するために、マスメディアは、この悲惨な現実を政治目的で操作してきた。

生存する権利を保障するための政府の努力(昨年報告された乳幼児死亡率4.0という数字がそのことを証明している)にもかかわらず、キューバでは、2013年から2017年までに、8954人が自殺しており、この間、自殺は世界的傾向と同様に、10大死因のひとつになっている。「キューバと健康の統計年鑑」が発表している。

特に、サンクティ・スピリトゥスでは、2013年から2017年までに、自殺による死者が389人を記録し、このうち昨年(2017年)の自殺者が90人いる。この90人という数は、昨年の交通事故による死者数の3倍に及び、ここ5年間で最大の値を示している。この5年間におけるサンクティ・スピリトゥスでの自殺による毎年の死亡率は、全国平均をつねに上回り、県内での10大死因のひとつになっている。統計年鑑と、県保健局の資料による。

数百年前から今日まで、さまざまな研究者は、自殺行動の示すものについて掘り下げてきた。すでに1820年には、フランスの精神科医ジャン・ピエール・ファレットが自殺は精神障害の結果であると表明し、また1838年には、何らかの情動の危機による後遺症に関係していると主張した。社会学者エミミール・デュルケームは、1897年に、自著「自殺」のなかで、本人の個人的動機と社会的現実との相互作用の結果であると論じた。

サンクティ・スピリトゥスでは、すべての自殺が「自殺行動に関する県技術諮問委員会」の分析対象となっているが、それによると、2017年の事例では、人間関係や家族関係の摩擦と大きく関連していた。

自殺を試みたが運よく生き残った命を救うために、同委員会は、各市の精神保健局と協力しながら、昨年は468件に上った自殺未遂行為についても調査した。この数字は、社会的イメージにおいてそれを認めることが汚名を引き起こすため、現実から乖離しがちである。

これらのうちの半数以上が、家庭崩壊、無理解、コミュニケーションにおける問題に基づく、家族との摩擦に起因していた。恋人間や人間関係の摩擦もその要因となっており、主に20歳から39歳までの女性に著しくみられた。

一方で心配なのは、2017年に県内最高の自殺率を記録したカバイグアン市で自殺を企図した人の三分の一以上が青少年であり、家庭内のコミュニケーション欠如にもっとも関係していたことである。この所見は、同地の精神保健局長オルランド・リオス・ターニョによるものだが、「キューバ衛生疫学誌」に掲載された、特別な分析に値するであろう、サンクティ・スピリトゥスの同年齢層における自殺行為と関係した原因・要因についての調査に見られる証拠と一致している。

サンクティ・スピリトゥスでは2017年に60歳以上の自殺が最多だったことを受けて、「こわれやすく、必要な状態にある老人のみに特化して、精神疾患、特に高い自殺の恐れがある疾患への適切なフォローアップを含む、対策をおこなっている。」、と県保健局の精神保健コーディネーターであるレダナイ・アキーノ・ペレスは話した。

このような衰弱について、海外移住により単身世帯の数が徐々に増加傾向にある状況を検討したオルランド・リオスは警鐘をならす。特に子どもたちの海外移住によって、キューバに残る少なからずの人たちがうつ状態になっているという現実がある。

専門家たちは自殺行動におけるうつ病性障害の影響を肯定しており、それは心理的機能や人格(低い自尊心、絶望)といった要因や、精神疾患の症状や、家族環境(両親の離婚、子どもたちへのプレッシャー)に関係している。

それらのなかには、社会人口学的理由や、生物学的理由(末期の病気、身体の変形や切断)、社会的理由..人びとの受け入れや支援の欠如、学校に関わる問題、対人関係の損失、アルコール依存症...などが含まれている。

さまざまな国内の研究は、他の原因との相互作用による不利な経済状況の発生に言及している。キューバの特別期間というもっとも劇的な数年間において自殺率が示した上昇に裏づけされた判断である。

それより前、1989年にキューバ政府は、世界の指標である「自殺行動予防の国家プログラム」を実行したが、聞き取り調査に基づく他の健康分野と同レベルではおこなわれなかった。

このプログラムは、自殺の恐れのある個人の特定において、「プライマリ・ケア」に主導権を与えている。この仕事について筆者は、カバイグアンの第二ポリクリニックのファミリードクター診療所第20番で確認したが、同地区のこの種類の他の施設においても完璧だった。

プログラムを机上から具現化するために、全国レベルから各市レベルに至るまで諮問技術委員会が存在し、「死に至る可能性のあるすべての障害に反対しないことは罪である」という確言を忘れることなく、自殺行動のあらわれ、検出された症例のフォローアップ、精神保健チームの活動、および訓練の体系的な評価を担当している。

WHOは、予防は保健システムの境界を越えて行われ、そのアプローチは多角的でなければならず、死と対決するためには、その原因をしっかり見据えることを主張している。あわせて、自殺がもたらす被害である、人間の損失、家族のトラウマ、経済的費用について警鐘を鳴らしている。

これらの費用から、エレーナが2ヶ月間の入院の間にカミーロ・シエンフエゴス県総合病院で受けた3つの手術の一部が賄われた。あの夜、暗闇に身を投げた彼女は奇跡的に助かった。専門家の技術だけがわが友人の新たな表情に新鮮さを与えてくれた。

サンクティ・スピリトゥスでの自殺者数
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提供:統計年鑑(ONEI)と県保健局

En duelo con la muerte
http://www.escambray.cu/2018/sancti-spiritus-en-duelo-con-la-muerte-grafico/
posted by vivacuba at 06:34| Comment(0) | TrackBack(0) | cuba
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