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2020年12月17日

黄泉國の辨 その4

出雲系統の諸神と紀伊
尊の御子神達は多く紀伊に鎭まり給ひ、又日本紀の一書には、其の妣神(ははがみ)とます伊弉冉尊を、紀伊の熊野の有馬村に葬り奉るともあるなり。
紀伊の熊野の名も、亦此の熊成及び熊野の大神に縁あるを否定すべからず。
更に其の御子五十猛神(いたけるのかみ)の事を、延喜式には、韓國伊太氏神(からくにのいだてのかみ)ともあり。
出雲各地に鎭まり給ふ。
而して此の神亦日本紀に、大屋津姫、抓津姫(つまつひめ)など、素戔鳴尊の他の御子神達と共に、韓國より渡りて樹種を傳へ給ひきと傳へられ、共に紀伊國に祭られ給へるなり。
今是等の諸説を合せ考ふれば、根ノ國とは、或は朝鮮地方の國なりとして信ぜられたりしものなりとも解せられざるにあらず。
而して素戔鳴尊の御子神として、八十神達を従へて、もと我が國を領し給ひし大國主神は、後に出雲の大社に鎭まり給ひしも、其の魂は大物主神として、大和の三輪山に鎭まり給ひ、其の三柱の御子神達も、亦大和各所に鎭まり給ひて、皇孫尊(すめみまのみこと)の近き護り神となり給ひきと傳へらるるなり。
蓋し出雲の神の系統に属する民族は、もと朝鮮方面と特殊の關係を有し、大和平野を中心として、紀伊其の他、廣く大八洲國に繁延せしが、後漸次大和民族に同化融合して、其の民族的獨立を失ひし後までも、出雲及び紀伊の地方には、久しく其の系統の民族が維持せられ、ここに其の祖神を祭り、祖神の陵(みささぎ)を傳へ、祖神の傳説を保存せしものなるべし。
殊に大國主神は、國を天孫に譲り奉りて後、出雲なる杵築大社に鎭まり給ふと傳へられて、此の系統の諸神の御事蹟に關しては、出雲地方に於て最も濃厚に保存せらるるものか。
posted by うさぎ at 10:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 黄泉國
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