自分のいる病院では、昨年から尿失禁専門外来を併設し女性尿失禁に対する試みを始めた。女性尿失禁のニーズは近年増えつつあるが、公的病院勤務医としては癌治療を優先せざるおえない現状もあり、なかなか取り組めなかった分野であった。幸い、排泄の認定看護師（WOC)の方が非常に協力的で、専門外来では問診や検査説明、骨盤底筋体操を含むほとんどの診療を看護師サイドで行ってくれるため、他疾患のチェックや画像診断（チェーンCG・MRIなど)を行い、必要に応じ処方するだけでよく、以前よりも女性尿失禁の診療はスムーズになった。TOT手術も導入しており、大手術ではないので他の手術枠でとかちあうことも少なく、おおむね順調である。

尿失禁外来が軌道に乗り始めたころ、看護師さんから膣圧モニター購入を検討するよう言われた。バイオフィードバックと効果判定のために必要との事。バイオフィードバックとは、効果を視覚や音などで確認する事で、医療機器で数十万のものが販売されている。確かに必要であろうが、尿失禁専門病院ではないのでそこまで出費できない。他に買いたくても我慢しているものが沢山ある。相談の上、膣圧計を泌尿器科研究費から購入することで勘弁してもらった。

バイオフィードバックとして、骨盤底筋体操指導時に検者（看護師さん）が膣に指を入れて膣の収縮と同時に声かけする方法を行っていた。膣圧計購入後は、膣には膣圧計を挿入し、肛門から看護師さんが指を入れ、声掛けをしながら膣圧計のメーターを見せる形になった。また、定期的に膣圧測定を行い、骨盤底筋体操の治療効果判定にも応用している。



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バイオフィードバック装置とは、視覚や聴覚で骨盤底筋収縮を確認する医療機器であり、上で述べた「検者による声掛け」の延長である。骨盤底筋体操の補助として用いる。チョンウ・メディカルという韓国の医療器具メーカーのバイオフィードバック装置も検討していた。韓国では医療器具であり、日本製品より格安。ただし、医療器具メーカー自体のホームページを見ると、あたかも低周波（治療用の干渉低周波と全く別物）で運動効果があるような記載もある点で科学的ではないので、購入しないことにしました。EMGを「フィードバック用の信号元」として使う分には良いと思いますし、低周波（2から83Hzでは、ピリッとするのではないかと思う）を声掛け代わりに使うのも有効とは思います。モニターがあるため視覚にてのフィード・バックも可能であり、音による聴覚フィードバックも当然可能。


チョンウ・メディカル公式ページ
↑公式ページをご確認ください。下は入手先リンクですが、そのページを見ても何の道具かほとんどわかりません。


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前回、慢性前立腺炎概論（私見含む）および生薬について解説したが、ブログに登録できる文字数をオーバーしてしまったため、漢方についてを追記として記載したいと思う。

医療用漢方

医療用漢方と一般薬の漢方とがあるが、同名のものでも医療用漢方の方が薬効成分が多く、漢方を使うのであれば医療用漢方をおすすめする。主に猪苓湯または八味丸系統（六味丸・八味地黄丸・牛車腎気丸）を使うことが多い。
特に推奨しているのは牛車腎気丸である。オピオイド受容体刺激及び痛覚感知部位における一酸化窒素（NO）産生促進の二つの機序により抗侵害受容（鎮痛）作用をもたらすとされている。
この作用は八味地黄丸では見られず、ゴシツまたはシャゼンシに有効成分があるのではないかとされるが、実際は六味丸や八味地黄丸でも効く患者がいるので、これら以外の作用が存在するのではないかとされる。

六味丸は、ジオウ・サンヤク・ブクリョウ・タクシャ・サンシュユ・ボタンピ。八味地黄丸は六味丸にケイヒ・ブシを加えたもの。牛車腎気丸は八味地黄丸にゴシツ・シャゼンシを加えたものである。成分の種類は牛車腎気丸が多いが、一剤あたり含有量は薄くなる。一方、六味丸は成分の種類が少ないが濃くなる。漢方を使うようになって初めて知ったことだが、漢方薬とはそういうものらしい。使用の使い分けとしては、広く浅く使うものが牛車腎気丸で、狭くとも濃厚に使うものが六味丸であるのだが、まがいなりにも実証らしきデータのある牛車腎気丸をまずは使いたい。

猪苓湯はチョレイ・ブクリョウ・タクシャ・アキョウ・カッセキから成る。チョレイ・ブクリョウ・タクシャは共通であるが、八味丸系統とは別と考えた方がよい。



ツムラ猪苓湯エキス顆粒（40）：42包（14日分）







ツムラ八味地黄丸エキス顆粒（7）：42包（14日分）






ツムラ牛車腎気丸エキス顆粒（107）：42包（14日分）







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