2011年12月21日
虫歯奇譚・歯痛殿下2(アニメ学校の怪談・二次創作作品)
さて本日は水曜日。2000年フジテレビ系列放送アニメ、「学校の怪談」の二次創作の日です。
それではどうぞ…の前にコメントの返事。
www(涙)
その気持ちはよくわかります。
私はよく、黒蠍デッキで弟に挑んでました。(弟はデーモンとか悪魔とかよく使ってた)かなり好きだったんで、結構使い続けてたんですが、時を経るごとに力不足感が否めなくなってきましたねwww。
しばらくして『プライドの咆哮』を手にした時は、魂が熱くなるのを感じましたっけ。あと、『フォース』の再録とか。
もともと、そんなに勝ってたイメージのないデッキでしたが、弟の話によると、最初の頃、『黒蠍団召集』で展開し攻撃したあと、『マスドライバー』でトドメを刺されたのが印象に残ってるとのこと。
そんな華麗にキメたこと、あったけかなぁ・・・・・・
…そうですよねぇ…。やっぱりファンデッキでガチデッキに対抗するのはなかなか大変ですよねぇ…。でも、やっぱりロマンがあるんですよね…ファンデッキには。今霊使いデッキ作ったらどんな感じでしょうね?ダルクとライナがいるからそう酷い事にはならなそうな気もしますが…。
…ところで「黒蠍」ですか。うちの弟も使ってたんですよ。もっとも、「黒蠍」の名を借りた「ミーネウィルス」でしたが…。
…う、うわぁあああああ!!ウィルスが!ウィルスがぁあああっ!!!(トラウマ)
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その3・(歯痛ですね?そちらでしばらくお待ちください。)
その夜、さつき達は自分達の部屋で静かに寝息を立てていた。
と、窓枠の隙間で何か蠢くものがある。
シュル・・・
窓枠の小さな隙間を潜って部屋の中に入って来たもの・・・。それは白く細く、そし
て長い、一筋の糸の様なものだった。
シュルシュルシュル・・・
と、それは突然複雑に絡まり始め、見る見るうちに一つの形を形成していく。
やがて、暗い部屋の中に赤い光が二つ、ポッと灯る。それは部屋の中を見渡す様
にグリグリと動くと、スーッとベットに近づき、寝ているさつきの顔を見下ろした。
『歯歯歯歯歯・・・♪』
奇妙な笑い声が、静かに響く。
ズキン!!
「・・・!!、い、痛!?イタタ・・・。な、何よ!?これぇ!!?」
突然の激痛に、たまらずさつきは飛び起きる。
右の頬がうっすらと熱を持っていた。歯痛だ。それも尋常な痛みではない。
心臓の鼓動に合わせてズキズキと頭蓋骨に突き上げる様な、どぎつい痛みである。
「な・・何で・・!?イタタタ・・・」
「お姉ちゃん・・・。」
痛みに顔をしかめるさつきに、頭上から声がかけられる。
「?、敬一郎、どうしたの?」
見ると、二段ベッドの上段から敬一郎が情けない顔をして、こちらを覗きこんでいる。
「ぼく・・・歯が痛い・・・。」
「ええ!?あんたも!?」
さつきは思わず驚きの声を上げた。
「ちょっと待ってて。たしか、下の薬箱に痛み止めが・・・」
そう言って一階に下りてきたさつきは、リビングに明りが点いているのに気付いた。ゴ
ソゴソと何やらまさぐる音も聞こえる。
(まさか・・・泥棒!?)
警戒しながら、そっと戸の隙間から中をのぞく。するとー
「!?、パパ?何してるの、こんな夜中に!?」
「あ・・ああ、さつき、起こしちゃったか?」
リビングにいたのは、さつきの父、礼一郎だった。
ばつの悪そうな顔をしながら、礼一郎はさつきに言う。
「なぁ、さつき、痛み止めってどこにあったかな・・・?急に歯が痛み出してしまって・・
・。」
「はぁ・・・?」
もはやさつきは呆然とするしかなかった・・・。
その4・(〇〇 〇〇〇さん、お入りください。)
次の日の朝早く、さつきは全く生気の失せた顔でフラフラと学校に向っていた。
突然宮ノ下家全員を襲った歯痛は凄まじく、市販の痛み止めなど気休めにもなら
なかった。結局、さつきも敬一郎も昨夜はろくに寝られず、一向に収まらない痛みの
せいで朝食もろくに取れなかったのである。
「これじゃ、昨日のハジメと同じじゃない・・・。」
ぶつぶつ言いながら通学路を急ぐ。
本当なら学校を休みたいくらい、体調は最悪だったのだが今日は飼育係の仕事
が入っているので、そういうわけにもいかなかったのである。
さつきが飼育小屋に行くと、もう一人の飼育係、今井澪がすでに来ていた。
「おはよ・・。澪ちゃん。ごめんね、遅れちゃって・・・。」
「あ・・おはよう。さつきちゃん・・・。気にしないで、私も今来た所だから・・・。」
そう言って振り返った澪の顔にも生気がない。見ると左の頬がうっすらと赤い。
「・・・!?、ひょっとして澪ちゃんも歯痛!?」
「え・・・私もって・・・さつきちゃんもなの?」
「う・・うん。昨夜から急に・・・」
そう言った時、さつきの目が飼育小屋の中に止まる。
「あれ・・?この子達、全然餌食べてないんじゃない?」
さつきの言葉に、澪が顔を曇らせる。
「うん・・・。いつもなら餌を見るとすぐに飛んでくるのに、今日は全然・・・。どうした
んだろう・・・。」
さつきも心配になり、小屋の中のうさぎ達を注意深く観察してみる。
すると、さつきはある事に気が付いた。
「・・・ねぇ、澪ちゃん・・・この子達、何かやたらと口を気にしてるみたいだけど・・・。」
「え?」
さつきの言葉に、澪も改めてうさぎ達を見る。
すると確かに、全てのうさぎがしきりと口元に前足をやり、痛そうなそぶりをしている。
それを見た二人の頭に、同じ答えが閃いた。
「もしかして・・・」
「これって・・・」
二人は顔を見合わせ、声をそろえて言った。
「歯痛・・・?」
その5・(歯痛だって?どれどれ、はい、口開けてー)
「おかしい・・・絶対におかしいわ・・・。」
「ですわね・・・。」
「だよな・・・。」
「ですよね・・・。」
「うん・・・。」
その日の放課後、さつきを初めとするいつものメンバーは五年三組の教室で、今
の異常な状況について話し合っていた。
もっとも、放課後といってもまだ日は高い。何しろ、今日は昨日よりも事態が悪化
しており、全校の生徒や先生の約半分が歯痛のために休み。かろうじて学校に来た生徒達もそのほとんどが、痛みのために授業どころではなく、昨日から痛みを訴えていた生
徒達に至っては、二日続きの激痛のために食事も睡眠もとれず、そろって死相を浮
かべている始末である。
これではとても学校どころではないという事で、午後の授業が歯痛のために休講に
なるという前代未聞の事態に陥っていたのである。
「人間だけならともかく、まさかうさぎ達まで歯痛を起こすなんて・・・。」
依然として収まらない歯の痛みに、いいかげんゲッソリとしながらさつきがつぶやく。
「人間の方だって、尋常じゃないぜ・・・。もうこの町の人間の八割方は歯痛を起こ
してんじゃねぇか・・・?」
「一体どういう事なんでしょう・・・。歯痛の大流行なんて、後にも先にも聞いたことがありません・・・。」
顔に死相を浮かべながら、ハジメとレオが言う。
「おまけに、歯医者に行っても原因が解らなくて、治療のしようがないそうですね・・・。」
今の所、一人だけ災難を免れている桃子が心配そうに皆を見渡す。
「ねぇ・・ひょっとしてお化けのせいなんて事、ないかな・・・?」
敬一郎がか細い声で、ボソっとつぶやく。
「何言ってんの・・・。いくらなんだってそんなわけ・・・」
「あるかもしれないぜ。」
否定しようとしたさつきの声を、飄々とした声がさえぎる。
驚いて皆が振り返ると、いつの間にか窓の所に一匹の黒猫がちょこんと座っていた。
「天邪鬼!!それってどういう事!?」
「俺に心当たりがある・・・。名前はたしか「歯痛殿下(はいたでんか)」・・とか言ったかな?いいから、お化け日記を見てみな。」
「歯痛殿下・・・?」
天邪鬼に言われ、さつきは鞄からお化け日記を出すとページをめくっていく。
するとー
「あった!!」
皆の目が一斉にそのページに注がれる。
〔六月四日、学校の生徒の半分以上が、原因不明の歯痛に襲われるという事
件が起こった。被害にあった子の一人が夢の中でおかしなものを見たと聞き、その子
から話を聞いてみて調べたところ、どうやら「歯痛殿下」というお化けの仕業らしい事
が分かった。資料によると、このお化けは夢魔と呼ばれるお化けの一種で、眠っている人間に忍び寄り、歯にいたずらを加えて歯痛を引き起こしては、その人が痛みに苦しむ様を見て喜ぶ妖怪なのだという・・〕
「な・・なんてはた迷惑な・・・。」
そろってあきれ返るさつき達に、さらに天邪鬼が声をかける。
「今はそんな事どうでもいいだろ。さっさと霊眠方法を調べな」
「あ・・そ、そっか・・・。なになに・・・〔塩で作った五亡星の結界の中に閉じ込め、歯列標本の口をお化けに向けて開き、呪文を唱える〕・・か。」
「歯列標本ってのは保健室にあるし、塩なら調理室にあるだろうけど・・・。」
「問題は、どうやって歯痛殿下を誘き出すかよね・・・。」
皆が考え込んだその時、天邪鬼がさらりと言う。
「簡単だよ。奴のもともとの住処は旧校舎の保健室だ。そこのベッドにまだ奴の手
にかかってない奴が横になって寝たふりでもしてりゃ、新しい獲物だと思ってノコノコ出てくるさ。・・・って、な・・何だぁ!?」
じーーーーーーっ・・・
敬一郎以外の全員が、疑わしそうな目つきで天邪鬼に注目していた。
「お・・おい・・。何だってんだ?お前ら・・その目は・・・」
「あんた・・・何だって今回はそんなに協力的なわけ・・・?」
さつきが不信感いっぱいといった口調でそう言う。
「そうだよな・・・いつもなら、おれ達がこんな目にあってりゃ、かえってからかうなりなんなりして楽しんでる所なのに・・・。」
「まさか・・・何かたくらんでるんじゃあ・・・。」
疑惑の眼差しに一斉に貫かれ、天邪鬼は思わずたじたじとなる。
「ば・・・馬鹿言え!!お・・俺はあくまで親切心でな・・・、イテッ!!」
と、突然悲鳴を上げると、天邪鬼は尻尾の毛をぶわわっと膨らませて右頬を押さえ
ながらうずくまる。
「・・え?」
「クァー!!イテテテ・・こりゃたまらん・・ってし、しまった・・・。」
天邪鬼が慌てて視線を戻すと、さつき達が目を点にしてこちらを見つめている。
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
溜息の出る様な沈黙。
「イテテテって・・・天邪鬼、あんたまさか・・・?」
唖然とした顔で問いかけるさつき達を、じろりと睨み付けると、天邪鬼は黒い顔を
赤くしながら不機嫌そうに口を開く。
「ああ!!そうだよ!!俺もあいつにやられたんだ!!あいつは夢魔だからな、妖
気を消してこっそり近づくのがうまいんだよ!!ったく、俺様とした事が・・・胸糞悪いったらありゃしねぇっ!!!イテテッ・・・。」
「は・・はぁ・・・。」
「おらっ!!何ぼさっとしてやがる!?さっさと行くぞ!!このままじゃ腹の虫がおさまらねぇっ!!!」
そう言うと、床に飛び降りさっさと歩み去ってしまう。
「う・・うん・・・。」
天邪鬼の剣幕に押され、さつき達も気を取り直すとその後を追う。
教室を出る時、さつきはレオがボソッと呟くのを聞いた。
「歯痛殿下・・・恐るべし・・・。」
続く
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posted by 土斑猫(まだらねこ) at 14:09| 虫歯奇譚・歯痛殿下(学校の怪談・完結)