さてさて本日水曜日からは先週予告しました通り、2000年にフジテレビ系列で放送されていたアニメ、「学校の怪談」の二次創作を掲載していきます。
昔見てて「お、懐かしいな」と思った方とか、初めて知って興味を持った方なんか楽しんでいただければ幸いこの上ないです。
それではどうぞ…って、あ、その前にコメントの返事!!
パックを開けて、初めて霊使いを見たときの記憶……どうだろう、あまり覚えていない。けど、あきらかに他のカードとオーラが違ってたように思う。
ですよね〜(*>∀<*)もうホント、当時同時に収録されてた他のカード達の事が記憶にない…。
「モンスター」ですか。
あえて言わせてもらうなら、遊戯王のフィールドで戦っている時の彼女達もまた魅力的なので、その呼び方に抵抗は無いですね〜。
あ〜なるほど。そういう視点もありますよね。うん、確かに魅力的だ。…そういえば小生も、ブラックマジシャンやBMGをモンスターと呼ぶ事に違和感なかった…。何だこれ、単純に贔屓目で見てただけなのか…?
(*`д´)σ=ブラックマジック!! (*`д´)σ=ブラックバーニング!!( ;゚Д゚)))ギャー
「つ…使えねぇ」
うん、まあ……そう思ったよ、当時は
あ…良かった。小生だけじゃなかった…。しかし、小生は諦めなかった!!待て、次週!!
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「虫歯奇譚」
プロローグ・(いらっしゃいませ。初診ですね?)
月の明るい静かな夜。天の川小学校旧校舎の一画である保健室も、柔らかい闇の中、静寂に包まれていた。
ゴ・・ゴゴゴゴゴ・・・
と、その静寂を破るかの様に、低い地鳴りが響き始める。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!
地鳴りが大きくなると共に、地面が激しく揺れ始める。保健室の机や戸棚もそれと共に踊りだし、その上の備品が床の上に振り落とされる。
ゴゴ・・・
揺れは三十秒ほどで収まり、保健室に静寂が戻ってくる。床に散らばった数々の備品。その中に虫歯予防の指導の際に使われる、入れ歯を大きくした様な形の歯列標本があった。長い年月の間にだいぶ劣化していたそれには、床に落ちたショックで大きなひびが入ってしまっている。
シュル・・・
と、そのひびの隙間から白い糸の様な物が、まるで巣穴から這い出るミミズの様に出てきた。
シュルシュルシュルシュルシュル・・・
それは後から後から、途切れる間もなく割れ目から伸びてくる。そして空中に伸び上がったそれは、今度は自ら複雑に絡まり始める。
やがてそれは、白い繊維状のもので編み上げられた人型を構成していく。
そして――
『歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯・・・♪』
暗い保健室に、奇妙な笑い声が響いた。
その1・(保険証をお出しください。)
「敬一郎!!早く用意しなさい。遅れるわよ!!」朝の宮ノ下家、今日も一日の始まりを告げるさつきの威勢のいい声が響き渡る。
「ちゃんと歯磨いた?忘れ物ない?よし!!なら行くわよ。」
「パパ、行ってきまーす。」
「行ってきまーす。」
玄関の戸が開き、さつきと敬一郎が出てくる。
「あ、ハジメ兄ちゃん!」
歩道に出ると、二人の目にすぐ先を歩くハジメの姿が飛び込んできた。
「おはよ♪ハジメ。」
さつきがそう言いながら、ハジメの背をポンとたたく。
「・・・ん・・・。」
「!!ちょっと、何よ?その顔!?」
振り向いたハジメの顔を見て、さつきは思わず目を丸くする。
ハジメの目はどんよりと濁り、その下には隈までよっている。明らかに寝不足である。
「ったく、朝っぱらから情けない顔して・・。どーせまた、遅くまでゲームでもやってたんでしょう?」
「馬鹿・・・。よく見ろよ・・・。」
さつきの茶化しに憮然としながら、ハジメは自分の右頬を指さす。
「あれ?それって・・・」
ハジメの右頬が腫れ、熱を持った様にうっすらと赤く染まっている。
「歯痛だよ、歯痛・・・。昨夜、夜中に突然痛み出してよ・・・。おかげで眠れはし
ねーわ、朝飯はろくに食えねーわ・・・。散々だぜ・・・。」
ハジメは極めて不機嫌である。しかし、そんなハジメに、さつきはなおも茶々を入
れる。
「何言ってんのよ。どうせあんた、普段から歯磨きとか適当にしかやってないんでし
ょう?そういうのを、自業自得って言うのよ。」
「・・・うるせー・・・。」
正論を言われ、ハジメはますます不機嫌になる。
「ちぇっ・・・歯なんざ磨かなくたって、死にゃしねーよ・・・。」
仏頂面でブツブツ言うハジメを見て、さつきがいたずらっぽい笑みを浮かべる。
そそっとハジメの横に付くと、その耳に口を寄せる。そして一言、
「歯磨きくらいちゃんとしてないと、いざって時キスしてあげないわよ・・・。」
ドガシャアッ!!
次の瞬間、ハジメは目の前の電柱にまともにぶつかり、ひっくり返っていた。
その顔が真っ赤なのは電柱に強く打ちつけたせいか、それとも・・・。
「っ、あはははは。」
それを見たさつきはたまらず吹き出す。
「何?ひょっとして本気にしたわけ?そんな事、するわけないじゃん。」
「あ・・・あのなぁっ!!っ、イテッ!?」
怒りに身を震わせながら立ち上がり、怒鳴りつけようとするハジメだったが、そのとた
ん右奥歯に痛みが走り、頬を押さえてしゃがみこむ。
「!?、そんなにひどいの?学校よりも歯医者に行ったほうがいいんじゃない?」
さすがに気の毒になったのか、さつきはハジメの顔を覗き込みながらそう言う。
それに対し、ハジメはじと目で返す。
「・・・歯医者は嫌いなんだよ・・・。」
「そりゃ、好きな人もいないでしょうけど・・・。」
そんなやり取りをしながら、学校の校門前まで来た時、敬一郎が妙な事に気が付
いた。
「ねぇ、なんか、ハジメ兄ちゃんみたいな人、多くない?」
「え・・・?」
敬一郎の言葉に、さつきは周りを見回す。
「?・・本当だ・・。」
確かに、登校してくる生徒達の中にハジメと同じ様に目に隈を寄せ、どちらかの頬
を痛そうに押さえている生徒がかなりいるのである。
「どうなってんだ・・?一体・・。」
ハジメが不思議そうにつぶやいた。
そしてそれは、さつき達のクラスでも同じ事だった。
クラスにいる生徒達の三分の一近くが歯痛を訴え、さらに、
「江藤、清原、高橋、柿ノ木は歯医者で遅れるそうだ。」
朝のホームルームで担任の坂田先生がそう言うのを聞き、さつきとハジメは思わず
顔を見合わせた。
その2・(本日はどうしました?)
「まったく、こんな理不尽な事があっていいものでしょうか!?って、い・・痛い・・。」
その日の放課後、帰り道でさつきを初めとするいつものメンバーは、結局昼過ぎに
なってやっと登校してきたレオの愚痴を聞かされていた。
「だいたい、僕は毎日朝昼晩の三回、かかさずキチンと歯磨きをしてるんです!!
それなのに、ハジメはともかくとして、僕までこんな苦しみを味あわなければならないなんて、何かの間違いです!!いたた・・・。」
「愚痴言うか痛がるか、どっちかにしろよ・・・。」
余計な所で引き合いに出され、憮然としながらハジメがつぶやく。
「でもほんとに、平日だってのにすごい混み具合だったんですよ。待合室から診察室まで満杯で・・・おかげで看て貰うのに三時間も待たなきゃなりませんでした。」
「そういえば・・・」
それまで黙って話を聞いていた桃子が、思い出した様に口をはさむ。
「私の家の近くにも歯医者が一軒あるんですけど、そこも今朝方から妙に賑やかでしたわ。もしかして、虫歯が流行ってるんでしょうか?」
「流行ってるってそんな・・・インフルエンザじゃあるまいし・・・。」
桃子の言葉に、さつきが苦笑いを浮かべる。
「いえ、どんなに待たされたって、痛みが取れるんだったらそれでいいんですよ。で
も・・・」
「悪い所が見つからなかったってのか?」
「ええ・・・。」
ハジメの言葉に、レオはげんなりしながらうなずく。
「レントゲンまで撮って、歯根の中まで調べたんですけど、結局こんなひどい痛みを出す様な患部は見つからなかったんです・・・。」
そう言ってレオは溜息をつく。
「とりあえず、痛み止めは貰ってきたんですけどね・・。はっきり言って、痛みが凄過ぎて物の役にたたないんですよね・・・。」
そう言って溜息をもう一つ。
「ふーん・・・。」
さつきはこの時はまだ、この事を他人事位にしか考えていなかった。
(続く)
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