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2021年09月14日

中小企業経営・政策 〜2021年版中小企業白書1-3〜

第1部第3章 中小企業・小規模事業者政策の方向性

中小企業の多様性を踏まえ、中小企業の役割・機能によって、四つの類型「地域資源型」「地域コミュニティ型(=生活インフラ関連型)」「グローバル型」、「サプライチェーン型」に分類し、それぞれの特徴に合わせた支援策が重要である。また、いずれの類型の企業においても必要な、企業の活動を共に支えるための共通基盤として、大企業と中小企業の共存共栄関係の構築に向けた取組や、災害などに備える事業継続力強化に向けた取組も重要である。今後、それぞれの中小企業が目指す姿を実現するために必要な支援策の検討を進めていくことが 必要であり、その際のウィズ・コロナ、そしてポスト・コロナを見据え、中小企業のIT化・デジタル化を進めていくことが不可欠である。また、いずれの姿を目指すにも、中小企業自身が経営戦略を明確にすることは重要であり、それを促す支援機関ネットワークの構築も課題である。
第1節 中小企業の類型

業種別の中小企業・小規模事業者が目指す類型

「情報通信業」や「製造業」において「グローバル型」を目指す企業の割合が高い一方、「小売業」や「生活関連サービス業,娯楽業」では「生活インフラ関連型」を目指す企業の割合が高い。このように、業種によって異なるとともに、同じ業種内においても目指す類型が異なり、業種だけでは捉えきれない多様性が存在する。
業種別・規模別の労働生産性

情報通信業や輸送用機械器具製造業は従業員規模が大きいほど労働生産性が高くなる一方、小売業や飲食サービス業は従業員規模が大きくなっても、労働生産性の上昇は小さい。中小企業庁「中小企業政策審議会制度設計ワーキンググループ」(以下、「制度設計ワーキンググループ」という。)において、類型ごとの目指す方向性と支援の在り方について検討が行われた。四つの類型の特徴を踏まえ、「地域資源型」や「地域コミュニティ型」の企業については、規模拡大による労働生産性向上ではなく、持続的成長・発展を通じた地域経済や雇用の維持、「グローバル型」、「サプライチェーン型」の企業については、中堅企業への成長を通じて海外で競争できる企業を増やすというそれぞれの観点から、それぞれ支援を進めていくことが必要であることが示された。
第2節 地域資源型・地域コミュニティ型企業の目指す方向性と支援の在り方

人口密度の低い地方ほど、商店街の衰退、働き手・働く場所の不足、地場産業の衰退などの課題に直面しており、こうした課題の解決は、地域の持続性確保の観点からも必要な取組である。小規模事業者には、こうした地域課題の解決に当たって中心的な役割を担うことが期待されている。一方、人口減少が加速し、域内需要の減少が進み、地域の中小企業・小規模事業者の事業の存立基盤が大きく揺らいでいる。今後、事業者が利益を獲得していくためには、域外への販路開拓やマークアップ率の向上につながる、「質の高い商品・サービスを相応の価格で提供すること」を目指す取組も重要である。事業者による生産性向上の取組に加え、地域の需給バランスを踏まえた持続可能な経済圏の形成や、地域資源を最大限活用した域外需要の取り込みも必要である。その際、地域の担い手を特定の上、基礎自治体などが連携して、持続可能な地域経済モデルを確立することが重要である。
第3節 グローバル型・サプライチェーン型企業の目指す方向性と支援の在り方

中小企業の事業・規模拡大促進策においては、一般的に中堅企業への規模拡大の可能性が高い企業群を重点的に支援することが効果的であると考えられる。中小企業の成長・規模拡大の手法として、M&Aも効果的であり、吸収合併を実施した企業と、実施していない企業の労働生産性の推移を比較すると、吸収合併を実施した企業の労働生産性が比較的高い水準となっている。制度設計ワーキンググループでは、中小企業のM&Aを促進するとともに、デューデリジェンスの実施を促すような支援の必要性や、所在不明株主の株式の買取り手続に必要な期間を短縮する措置を検討している。(株)日本政策金融公庫は、2021年1月から中小企業の海外子会社に直接融資を行う仕組みを構築し、中小企業の海外展開支援を強化した。今後、中小企業の進出ニーズの高いASEAN諸国を中心に、対象国の拡大を検討していく。また、(独)中小企業基盤整備機構は、ファンドへの出資を通じて、出資先の販路開拓や組織管理体制の整備を支援し、中小企業の海外展開を支援している。
第4節 共通基盤の整備

事業継続力強化の一環として自然災害や感染症などの危機に対応するために、各企業が保険加入などの事前対策を講じてリスクに備えておくことが必要である。経済産業省では、2019年7月から事業継続力強化の認定制度を開始した。 面(地域)で被災する自然災害への対応策として、サプライチェーン上の垂直的な連携や、組合などによる水平的な連携により、中堅・大企業を含めた複数事業者が連携した計画の策定も有効である。しかし、中小企業以外が連携事業継続力強化計画に参画しても、実質的な支援が受けられないことなどから、策定が進んでいない。そのため連携事業継続力強化計画を策定した中堅企業が、自然災害などにより影響を受けた場合には、一定の金融支援を受けられるような制度が検討されている。また、地方自治体などが中小企業に対して所在地域の災害リスクを周知することを促進し、中小企業が、ハザードマップを踏まえて計画を策定し、想定される災害をカバーする保険へ加入するなど、事前の備えを行うような促進策が検討されている。
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