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2021年09月12日

中小企業経営・政策 〜2021年版 中小企業白書1-1〜

第1部第1章 中小企業・小規模事業者の動向

新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」という。)の影響により、中小企業・小規模事業者を取り巻く環境は大きく変化し、企業経営にも甚大な影響が生じている。中小企業・小規模事業者の業況や業績、設備投資の状況は悪化した一方で、感染症の流行を契機としてソフトウェア投資の重要性が高まりつつある状況が見られる。また、業績の悪化が広く見られる中で、資金繰り支援策の効果などにより倒産は低水準にとどまっている。雇用環境は、非正規雇用を中心に影響が生じており、従業者規模の小さい企業の雇用者数が減少する一方で、中小企業・小規模事業者の一部では依然として人手不足の状況が続いている。今後も感染症の影響による厳しい状況が続くと見込まれる中、中小企業・小規模事業者は多様な経営課題に対応することが求められている。

第1節 我が国経済の現状

2020年は感染症の世界的流行に伴い、我が国の実質GDP成長率は2019 年を大きく下回る。2020 年は第1四半期及び第2四半期(前期比8.3%減)はマイナス成長が続いたものの、国内外における社会経済活動の段階的な引上げに伴い、第3四半期(前期比5.3%増)、第4四半期(前期比2.8%増)は2四半期連続のプラス成長となった。
サービス産業の売上高

サービス産業を見ると、「宿泊業, 飲食サービス業」、「生活関連サービス業, 娯楽業」で売上高が前年同月比で大幅に減少している一方で、「情報通信業」の売上高は2020年2月以降は前年同月より減少して推移していたものの、10月からは前年同月とほとんど変わらない水準で推移しており、産業ごとに感染症流行による影響の度合いが異なる状況が見て取れる。
第3次産業活動指数

第3次産業全体としては2020年5月まで大幅な低下となった。その後、緊急事態宣言の解除等もあり、6月以降上昇が続いたが、「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けて確認すると、「広義対個人サービス」が相対的に大きな影響を受けていることが分かる。一方で、「広義対事業所サービス」は均して見れば上昇傾向が続いており、サービスの提供先によって動きが異なる状況が見て取れる。
鉱工業

直接物財の生産に当たる業種のうち、農林水産業を除く鉱業、建設業および製造業(工業)のを一括して鉱工業と呼ぶ。業種別では製造業がその大部分を占める。鉱工業生産指数など重要な経済指標が作成される。
第3次産業

産業は「第1次産業」「第2次産業」「第3次産業」の3種類に分けることができる。第1次産業は、食料や木材などを生産する「農業」「林業」「漁業」が該当。第2次産業は、第1次産業で獲得した材料を使用し製品を製造する産業で製造業・建設業・鉱業が第2次産業となる。一方、第3次産業は、第1次産業・第2次産業に当てはまらない業界で非常に幅広く、商業から金融・保険業、運輸・郵便業まで、様々な種類の業種が対象。
広義対個人サービス/広義対事業所サービス

第3次産業のサービス業中,一般消費者の需要に応じた直接サービスを提供するホテル,クリーニング,理容・美容,カルチャースクール,会員制テニスクラブなど多くの分野が含まれるものを広義対個人サービスと呼ぶ。ビルメンテナンス,警備保障,人材派遣などを対事業所サービスと呼ぶ。
第2節 中小企業・小規模事業者の現状

2020年第2四半期に最も大きく低下したサービス業

業種別の動きを確認すると、宿泊業、飲食業で特に大きく低下したことが見て取れる。
中小企業のソフトウェア投資比率

設備投資が減少傾向となった一方で、ソフトウェア投資は横ばいを維持したため、足元で上昇傾向に転じている。
今後3年間で各分野に資金を投じるために必要な利益や余剰金の確保状況

いずれの業種において「確保できていない」と回答する企業の割合は、従業員規模が小さいほど高い傾向にある。
今後3年間で最も資金を投じたい分野

「十分に確保できている」、「ある程度確保できている」と回答した企業では、「国内の設備・施設等への投資の増加」、「国内の研究開発投資の増加」、「新規雇用の拡大」といった、成長に向けた投資を実施したいと考えている企業の割合が相対的に高い。これに対して、「確保できていない」と回答した企業では、「現預金の増加」、「有利子負債の削減」といった回答の割合が高く、成長に向けた投資が難しい状況にあることが見て取れる。
業種別2020年の倒産状況

感染症の流行によるインバウンド需要の消失や外出自粛などで大きな影響を受けた「サービス業他」を除く業種では、2020年の倒産件数が前年を下回ったことが分かる。また、前年を上回った「サービス業他」の内訳を見ると、「宿泊業」や「飲食業」において倒産が前年比で増加となっている。
業況判断DI

業況判断指数とは、「日銀短観(日本銀行の全国企業短期経済観測調査)」で発表される景気の判断指数のこと。「景気が良い」と感じている企業の割合から、「景気が悪い」と感じている企業の割合を引いたもので、DI(Diffusion Index:ディフュージョン・インデックス)とも表される。DIの数値は50が横ばいを表し、これを上回ると「景気が良い」、下回ると「景気が悪い」と感じる企業が多いことを示す。
コラム「商店街に期待される新たな役割」

「地域の持続可能な発展に向けた政策の在り方研究会」では商店街について「@(商業機能)単独型」、「A(地域コミュニティ支援機能との) 複合型」、「B転換型」に類型化を行い、それぞれの特徴と、課題と対応の方向性について示し、地方公共団体や国の支援について提言した。
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第3節 雇用の動向

雇用者数の動き

男女別に正規の職員・従業員数と非正規の職員・従業員数について、前年同月差の推移を見ると、2020年は正規の職員・従業員数がおおむね前年を上回って推移する一方で、非正規の職員・従業員数は前年を大幅に下回る状況が続いている。「宿泊業,飲食サービス業」では正規の職員・従業員数、非正規の職員・従業員数が共に、前年より減少している。また、全体を通して非正規の職員・従業員数の減少が相対的に目立っている。「宿泊業,飲食サービス業」や「生活関連サービス業,娯楽業」は、非正規の職員・従業員の占める割合が相対的に高い業種であり、非正規の職員・従業員が感染症の影響を高く受けていると言える。
従業者規模別に雇用者数

2020年4月以降、従業者規模が「1〜29人」、「30〜99人」の企業において、雇用者数が前年より大きく減少している状況である。従業者規模がが「1〜29人」、「30〜99人」の区分の中で業種別に見ると、「宿泊業, 飲食サービス業」、「生活関連サービス業, 娯楽業」において、前年同月比で大きく減少していることが分かる。一方で、「情報通信業」では6月以降は前年を上回っている。従業者規模が「30〜99 人」の区分では、「宿泊業, 飲食サービス業」において、前年同月比で大きく減少している状況が見て取れる。
企業の人材確保の状況

従業者数300人以上の企業では、就職希望者数が減少したものの、求人数も減少したため、2021年卒においても求人倍率は1倍を下回る状態が続いた。従業者数299人以下の企業では、求人数が減少した一方で、就職希望者数が大幅に増加したことによって、求人倍率は2020年卒の8.6倍から2021年卒の3.4倍に大きく低下した。依然として、求人数が就職希望者数を上回る状態は続いているものの、人手不足の課題を抱える中小企業にとっては、大卒の人材を確保しやすい状況に移りつつあると考えられる。
人員の過不足状況

「サービス業」において人員が「不足」と回答した企業が約5割と、相対的に多くなっている。「製造業」では人員が「不足」している企業が3割程度存在する一方で、「過剰」となっている企業も1割程度存在している。従業員規模別に見ると、従業員規模が大きい企業ほど、人員が「不足」している企業の割合及び「過剰」となっている企業の割合が共に高くなる傾向があり、人員を適正な水準に維持することが難しい状況が見て取れる。業種別に人員が不足している職種の状況を見ると、「製造業」では「現場職」と回答した企業の割合が7割程度となっており、工場や店舗などでの働き手が特に不足していることが分かる。また、「サービス業」では「技術職(設計、システムエンジニア、デザイナー、運転手などの専門職)」が不足しているとする企業が7割程度と最も高くなっている。業種別に人員過剰となっている職種の状況を見ると、「製造業」では「現場職」が過剰であると回答する企業の割合が8割以上となっている。また、「サービス業」では「技術職」が過剰と回答する企業の割合が相対的に高い。業種別に人員過剰への対応方法を見ると、いずれの業種においても「雇用関係の助成金の活用」と回答する企業の割合が最も高くなっている。また、「新規採用の抑制」、「休業日を設定」、「残業時間の削減」と回答する企業の割合が相対的に高い一方で、「人員の削減」と回答した企業は1割程度にとどまっており、人員過剰の中でも雇用を維持しようとする企業が多いことが分かる。
第4節 取引環境と企業間取引の状況

最も多く取引をしている販売先との取引

感染症流行前後の受注量の変化を業種別に見ると、「製造業」で7割以上、「サービス業」、「その他」で5割以上の企業が、受注量が減少したと回答している。また、受注量が50%超の減少となった企業はいずれの業種でも、1割程度存在している。
企業間取引におけるデジタル化

業種別にリモート商談への対応状況を見ると、感染症流行以前からリモート商談に対応していた企業は、「製造業」、「その他」で5%程度、「サービス業」で1割程度と多くはなかったが、感染症流行後にそれぞれの業種で2割から3割程度の企業が対応するようになったことが分かる。従業員規模別にリモート商談への対応状況を見ると、従業員規模が大きくなるにつれてリモート商談に対応している企業の割合が高くなる傾向がある。また、感染症流行以前は従業員規模による対応状況に差はなかったが、感染症流行後に従業員規模が大きい企業において、リモート商談への対応の必要性が相対的に高まったことがうかがえる。
第5節 中小企業・小規模事業者を取り巻くリスクへの対応

自然災害に対する企業の対応状況

企業規模別に見た、自然災害への対応状況を見ると、「十分に対応を進めている」、「ある程度対応を進めている」と回答した割合は、大企業が約5割であるのに対して、中小企業は約3割にとどまっており、大企業と比べて中小企業の自然災害へのリスク対応が進んでいない状況が分かる。中小企業に対して最も警戒する自然災害を聞くと、近年大きな被害をもたらしている「地震」や「水害(洪水、豪雨など)」への警戒が強いことが見て取れる。企業防災としての取組内容を見ると、「社内連絡網の整備」、「非常時向けの備品の購入」、「飲料水、非常食などの備蓄」といった自然災害発生後、即時に必要となる項目への取組割合は高い。一方で「非常時の社内対応体制の整備・ルール化」、「事業継続資金の確保」などの割合はそれほど高くはないため、被災後に事業を継続するための備えは十分でない可能性が考えられる。
企業規模別BCPの策定状況

「策定している」、「現在、策定中」と回答した企業の割合は、大企業が約4割に対して、中小企業は約2割となっており、大企業に比べて中小企業のBCP策定が進んでいない状況が分かる。BCP を「策定していない」と回答した企業に対して、その理由を聞いたものである。これを見ると、BCPの策定が大きく進展していない主な背景として、BCP策定に関する人材やスキル・ノウハウの不足があると考えられる。また、そもそもBCPの策定に「必要性を感じない」と回答した企業が2割程度存在している。
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