メディア・リッチネス理論
企業組織において、なぜ、どのように特定のコミュニケーション・メディアを活用することが求められるのかを説明する理論。リッチな情報とは、今までにないような多様な解釈(意味・教訓)を導き出せる程度が高い、すなわち潜在的多義性が高い情報(経験)のことをいう。情報処理の「不確実性が高い」のは外部環境の変化による課題が明確にされたうえで、解答を導き出すための情報が不足している状態である。「多義性」とは、外部環境の変化により、新たな情報に対する解釈が必要となり、各部門において、立ち向かうべき課題について異なる解釈が生まれることを指す。コンテキスト(前提となる価値、目標など、ここまでの文脈)の共有によって意味解釈の対立を削減することが重要となる。環境の質的な変化は、組織部門間での多義性の除去の必要性を増加させるので、部門間でのフェイス・ツー・フェイスコミュニケーションなどのリッチなコミュニケーションメディアを利用した調整メカニズムが必要になる。新たなアイデアを生み出すためには、多様な立場からさまざまな情報を収集している他部門間の連携が必要になる。部門間の意見の相違や解釈の違いは、メディア・リッチネスの高いメディアの活用が不可欠である。不確実性に対応するためには、多様な情報の収集に適しているリッチなメディアより、メディア・リッチネスの低いメディアを選択することが好ましい。
組織の活動プロセスの制御コントロール
クローズドループ・コントロール
クローズドループ・コントロールは、コントロール・アクション(修正行動・是正措置)を実際の結果に基づいて起こすか、予想される結果に基づいて起こすかで、フィードバック・コントロールとフィードフォワード・コントロールとにさらに区分される。それぞれの特徴は、フィードバック・コントロールが事後的、結果応答的、時点的コントロールであるのに対し、フィードフォワード・コントロールは事前的、予防的、連続的コントロールであるという違いがある。
オープンループ・コントロール
オープンループ・コントロールは、プロセスが閉じずに進行し続ける、いわば「垂れ流し」の状態になるため、なんらかの修正をしながら効果的に管理するのは困難である。職務記述書や標準業務手続きなど、一連の活動プロセスの外部にある情報処理メカニズムによって活動を制御するオープンループ・システムは、成果の望ましさを評価するメカニズムを備えていないため、管理者は組織構造のプログラム化された側面を評価する必要がある。
官僚制の逆機能
官僚制の逆機能とは、規則は本来、組織目標を達成するための手段であるが、組織メンバーにとって、規則を守ることが目標になるという、本末転倒した状況が起こり、環境の変化に対し柔軟に対応できなくなる状況をいう。
形式主義
規則や手続きそのものを絶対視するような態度が、杓子定規な画一的対応を生み出すこと。
セクショナリズム
組織全体の利益よりも、自分が所属する部局の利益を優先すること。
繁文縟礼(はんぶんじょくれい)
膨大な手続きと書類作成に煩わされること。
目的置換
本来は手段にすぎない規則や手続きが目的に転じてしまうこと。
最低許容行動
規則化されている最低限の行動しかとらなくなること。
革新の阻害
古い規則に固執するあまり、革新的な行動を許容しないこと。
組織スラック
スラック資源とは、現在の業務間で直接活用されていない余裕資源のこと。イノベーションを遂行するための資源となりうる。
組織の安定に寄与
緊急事態には通常業務を抱えている部署では対応出来ない場合が多い。その際余裕資源である組織スラックが、緊急事態に対応するための余裕資源として、組織の安定に寄与する。
革新への対応
組織に十分なスラック資源がない場合、組織は日常業務に関する意思決定を、革新(イノベーション)よりも優先的に処理してしまう現象「プランニングにおけるグレシャムの法則」が作用する。イノベーションを起こすためには、そのために利用可能な資源(スラック)を持っていることが求められる。スラックがあることにより革新への対応が可能になる。
リスク選好的になる傾向
組織スラックがあることにより革新への対応が可能となる、そのため組織スラックを保有していると認識していると、新規行動案の探索においてリスク選好的になる傾向にある。
複数利害関係者の要求を調整
複数の利害関係者の組織に対する要求を調整する機能を持つ。複数の利害関係者がその対立関係により自己の利益を追求した目標を設定すると、関係者同士での目標の不一致がもたらされる。例えば、ある会社の株主は高い配当を要求する一方で、その会社の従業員は高い賃金を求めるといったケースの場合、資源の不足による両者対立を緩和させるために組織スラックが資源供給を行ったり、まったく別のプロジェクトに乗り出すことによって対立から注目をそらすこと(利益が出そうな新規事業に乗り出すなど)により、その対立を解消・緩和させる役割を果たす。
組織への要求が満足水準になることで発生
組織は満足水準が達成できないときにのみ情報を探求する。情報の探求が行なわれて解決策が発見され、満足水準が達成されればそれ以上の探求は行なわれない。それため、組織の探索は満足水準の達成を限度とし、それ以上の改善の機会は見逃される。よって、満足水準が容易に達成できるときには企業には非効率が広がる。この非効率な状態により組織スラック(ゆるみ、余裕)が発生する。つまり組織スラックは利害関係者が組織に対して求める要求が、満足水準になることに基づき発生すると言える。
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