ブランド定義
ブランドの定義
他の売り物やサービスと異なるものと識別するため
・名前
・用語
・デザイン
・シンボル
ブランドエクイティ
@製品やサービスに与えられた付加価値
A企業にとって心理的価値と財務的価値をもつ重要な無形資産
ブランドエクイティの構成要素
@ブランド・ロイヤリティ
Aブランド認知
B知覚品質
Cブランド連想
Dその他所有資産(特許、商標、チャネル関係)
ブランドの持つ効果
ロイヤリティ効果
・当該ブランドを付与した商品を消費者が反復的に購買する効果
具体例:工場見学(オープンハウスなど)
価格プレミアム効果
・ブランドを付与していない同等機能の商品と比較し、高い価格を消費者が支払う効果
具体例:限定販売
ブランド戦略
同じブランド名を用いて、同じカテゴリーに形、色、サイズ、フレーバーなどを変えた製品を導入するライン拡張や異なるカテゴリーの新製品を導入するブランド拡張がとられる。同一ブランドでのさらなる市場浸透策が難しいと判断される場合には、同じカテゴリーに新ブランドを展開するマルチブランドや、他社との共同開発という形をとり、自社のブランド名と他社の人気ブランド名の 2 つを同一製品で用いるコ・ブランディングが検討される。
ブランド戦略の枠組み
ブランドの機能
ブランドの機能には、識別機能、差別化機能、品質保証機能などがある。ブランドが製品に価値を生み出す力は、消費者の知覚を変える差別化機能によるものであり、イメージの知覚だけにはとどまらず、味の知覚や価格の感じ方にも影響を及ぼす。 同等の製品でも、強いブランドを付した製品は高値で取引されたり売上数量が増加したりするなど、ブランドには顧客の知覚を変化させる機能があり、他のブランドとの違いを生み出す原動力となっている。ブランドの機能に従った分類を行うと、企業ブランドと製品ブランド(個別ブランド)に分けることができる。これらのブランドには、品質保証の役割(エンドーサーとしての役割)や購買駆動機能(ドライバーとしての役割)がある。
知覚の選択的歪曲(わいきょく)
ブランドによって、製品に対する消費者の知覚が変化することがあること。例えば、飲料を商品名を言われてから飲み比べる場合と、商品名を言われずに飲み比べた場合、どちらの方が美味しいかという質問に対する回答の結果には、違いが生じることがある。
ブランド・エクイティ(ブランド資産)
ブランド・エクイティとは、ブランドが持つ無形の資産価値のことである。ブランドは、信頼感や知名度など無形の価値を持っており、それを企業資産として評価したもののこと。ブランド名やシンボルなどと結び付いて形成・蓄積された無形の正味資産を指す。ブランド・エクイティは、消費者の反応の違いから生まれるが、この反応の違いは、消費者のブランド知識の結果である。
ブランド知識
ブランド知識は、ブランドから連想される全ての考え、フィーリング、イメージ、経験、信念などからなる。
ブランド・エクステンション(ブランド拡張)
ブランド拡張とは同じブランド名を異なる製品カテゴリーに対して活用することを言う。例えば、同じブランド名でボディーソープの次にシャンプーを発売する場合などが該当する。
ブランド連想
ブランド連想には、数よりも「強さ」「好ましさ」「ユニークさ」が必要である。「強さ」とはブランド名を聞いてすぐに思い浮かぶ連想(例:ユニクロ→機能性)のことである。「好ましさ」とはネガティブな連想ではなくポジティブな連想でなくてはならない(例:機能性→使いやすい)ということである。そして、競合ブランドと共有されている連想だけであれば、消費者があえて当該ブランドを選択する理由がなくなるため、「ユニークさ」が求められる。
成分ブランディング
成分ブランディングとは、複数のブランドを組み合わせるコブランディングの一種であり、ブランド化された原材料や部品の連想を借用する方法である。成分ブランドへの選好と信頼を製品に備えることにより、自社ブランドに品質保証といった価値を付加することができる。成分ブランディングは自社ブランドの品質評価を高める有効な方法である。一方、コブランディングの欠点に、別のブランドと1つになってしまうリスクと、コントロールの欠如がある。例えば、パフォーマンスが不十分であると関わったブランドがマイナスの影響を被ることになりかねないことや、片方のブランドが多数のコブランディングを行っている場合、過剰な露出によって連想の効果が希薄化してしまう危険性がある。
パリティ(parity)
パリティとは同程度という意味であり、競争関係にある企業の技術水準が高い位置で平準化している状況では、企業間では価格以外での競争優位性を見出すことが難しくなるため、結果的に低価格での販売をせざるを得ない状況となり、商品がコモディティ化していく。同じ価格帯の商品であれば機能的・品質的な違いを認めることが難しくなりこのような状態をパリティ(parity)と呼ぶ。
マルチ・ブランド戦略
ブランド間の知覚差異は大きいが製品自体やその購買への関与度は低い、という状況でのブランド展開においては、頻繁なブランドスイッチが起こるバラエティ・シーキング型の購買が行われやすいため、同一カテゴリー内で複数のブランドを持つマルチ・ブランド戦略が採用されやすい。
ファミリー・ネーム
ファミリー・ネームとは、いくつかのカテゴ リーにまたがった製品に包括的なブランドをつけて展開することである。複数ファミリー・ネームとは、包括的なブランドを複数活用することである。例えば、自動車やパソコン、ファミリー・ レストラン等で、ターゲットとする市場セグメントに応じて複数のファミリー・ネームが使用されている。統一ファミリー・ネームを使用した場合、 ブランドを認知させるためのプロモーション・コストは節約できるが、仕様を訴求するためのプロモーション・コストは節約できない。
ブランド価値の基盤
ブランド価値の基盤となる商品価値の構造は4つの階層によって示される。最もベースとなる基本価値とは製品の基本的な品質のことであり、食料品であれば安全であることなどが該当する。続いて便宜価値とは、入手のしやすさや値頃感など便利に手近に使える価値が該当する。続いて感覚価値とは消費者が五感で感じる価値のことであり、パッケージデザインやネーミングの良さなどが該当する。最後に観念価値とは消費者それぞれがその製品に抱く物語や自分のライフスタイルへの意味づけを持つ価値が該当する。4つの価値は、基本価値を最下部として便宜価値、感覚価値、観念価値 の順にピラミッド状に構造されており、基本価値が十分に備わっていない商品では、上位の価値を強化できない。基本価値や便宜価値を高めるだけでは、差別化が図りにくくコモディティに陥りやすい。よって、顧客の満足を得るためには機能や効用を高め続けるだけでなく、感覚価値や観念価値を高めることが重要となる。感覚価値は、顧客の主観的な価値観により評価されるため、客観的な優劣判断を困難にする。しかし、感覚価値を高めることで他製品や他サービスとの差別化が図れるため、一般的に感覚価値を高めることで価格競争に巻き込まれにくくなる。入手の難しい高価なブランドにおいては、そのブランドを利用することによるステータスやライフスタイルといった観念価値の作用する割合が大きく、ハイブランドであることを象徴するブランドの歴史や物語などの訴求を通じて、ブランドの高い価値を支えている。
ブランドカテゴライゼーション
初めてブランドカテゴライゼーションを試みたハワードの概念では、保持するブランド情報を知名集合といい、さらに、消費者から見て購買を検討されるブランドであるかどうかによって、想起集合と非想起集合(「拒否集合」と「保留集合」)に分類される。なお、想起集合に含まれる代替案の数は、消費者、製品カテゴリーによって異なるが、おおむね1〜5ブランドになるといわれている。
想起集合
想起集合とは、ある製品カテゴリーに含まれるブランドの全体のうち、消費者が購入を考えるブランドの集まりのことである。「考慮集合」と呼ばれることもある。カテゴリーによってばらつきはあるものの、購入を考えた時に想起集合に入るブランド数は平均3ブランドであるといわれており、想起集合をめぐる企業間の競争は熾烈なものとなっている。 消費者は想起集合に含まれる案の中から購買する代替案を選択するため、想起集合に含まれない代替案が購買されることはない。
保留集合
品質の割に価格が高かったり、自己の属する準拠集団の誰もが買わない、あるいは十分な情報を入手していないなどの理由で、仮に認識していたとしても購買代替案からは外されているブランドのことである。つまり、中立的な評価が持たれ、想起集合にも拒否集合にも該当しない集合である。
PB(プライベート・ブランド)
従来のPB商品は「安かろう悪かろう」というイメージが普及していたが、最近は小売業各社がオリジナルブランド(「セブンプレミアム」など)により、独自の高付加価値商品という位置づけでPB商品を開発・販売している。ヨーロッパでは、オウン・ブランドとも呼ばれる。 品揃えにおけるPB商品の構成比が高まると、メーカーが主導で製造したNB商品の構成比は低くなる。PB商品は小売業独自の商品であるため、NB商品を好む消費者は、NB商品の品揃えが少ないことに不満を招くことがある。 PB商品は自店舗のオリジナル商品であるため、競合店舗に対して差別化を図る手段となる。消費者がその商品を気に入った場合、消費者は自店舗に好んで足を運ぶことになるため、商圏内の競争関係にある店舗との間で、自らの店舗が独占的状況を作り出しやすくなる。
メリット(販売面)
@流通業者の持つ消費者情報を商品開発に活かすことができる
A広告宣伝費や営業にかかる費用を節約でき、商品を比較的安価に提供できる
B消費者ニーズを捉え、商品の付加価値を高めることで企業のブランドイメージが向上する
メリット(生産面)
@ある程度安定した受注が見込める
A事業拡大が可能
デメリット(販売面)
@商品は全て買い取ることを求められることが多く、売れ残りリスクが存在する
A販売予測の誤りによる過少生産により長期の欠品につながる
デメリット(生産面)
@製品や設備は発注側の意向に大きく影響を受けるため、自社でやりたいようにできない
A失注した瞬間、設備や人員の余剰が発生する
ダブルチョップ方式
ダブルチョップ方式とは、製品に「小売業」と「メーカー」の両社のブランドを併記する表記方式である。大量販売は難しい場合でも、有名メーカーのパーツを用いたPB商品や、ダブルチョップ方式で実現可能であり、同方式によって有名メーカーの名前を付けることで、一定の売上が期待できる。
ブランドの要素
ブランドの要素は五感による記憶可能性と、言語的意味による信頼度や連想のし易さの観点がある。
ブランドネーム
ブランドネームは視覚と聴覚への訴求と言語的な意味性がある。
スローガン
スローガンは聴覚のみへの訴求だが、言語的な意味性も高い。
パッケージ
パッケージは視覚と触覚に訴求できる。
ジングル
ジングルとは、ラジオ番組などでコマーシャルの開始や終了、楽曲の切り替わりなど、番組の節目に挿入される短い音楽などの総称なので、聴覚のみへの訴求となる。
地域ブランド
地域ブランドは、地域自体を意味する地域空間ブランドと、地域が生み出すモノやサービスを意味する地域産品ブランドとに区別される。地域ブランディングの具体的な構築プロセスを示すためには、地域ブランドが有する価値構造を分析し、長期的視点で価値創造のためのプランを描く必要がある。
地域空間ブランドにおける価値の具体例
基本価値、便宜価値、感覚価値、観念価値の4つの価値によって構成される製品のブランド価値構造に対して居住に関する地域空間ブランドを当てはめた場合は以下の通り。
基本価値:地域の居住性に関わるライフラインの充実度
便宜価値:地域の立地条件や交通アクセスの良さ
感覚価値:非日常性や癒やしなど地域にまつわるイメージ
観念価値:地域が有するストーリーへの共感や自己啓発の場としての愛着
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