新製品開発のプロセス
アイデアの創造
アイデアの創造段階では、顧客ニーズや価格設定、市場調査などのデータ結果分析により、製品コンセプトについて検討する。SWOT分析やSCAMPER法(製品コンセプトを代用する=Substitute、組み合わせる=Combine、適応させる=Adapt、修正する=Modify、別の用途に使う=Put to other uses、省略する=Eliminate、再調整する=Rearrange)を活用しアイデアを次の段階に発展させやすくなる。
アイデアのスクリーニング
前段階で創造した製品アイデアを取捨選択する段階で実施する。新製品のプロトタイプを実際に開発するには多額のコストを要するため、スクリーニングと次段階である事業性の分析は、自社にとって不適切なアイデアを取り除き、コストを節約するためにある。
事業性の分析
市場調査による顧客のニーズの把握やさまざまな状況下で予想される売上高、原価、利益を推定しデータをもとに事業として成り立つのか判断する事業経済性分析を行う。
新製品の開発
事業経済性分析で製品化できそうなものを判断してまずは試作品を開発する。
テストマーケティング
市場テストは実験用仮設店舗などで消費者の受容性を取得し、価格戦略やプロモーション戦略の改善などを行っていくことが優先される。実際の市場で消費者の受容性を試験的に測定することもあるが、市場投入によるリスクをできる限り回避することが目的であるため実験用仮設店舗を用いて消費者の反応を確認する。
市場導入
売上状況、認知度、市場ニーズの判断基準をもとに、KPI(Key Performance Indicator)を設定
マーケティングリサーチ
知覚マップ
消費者の知覚空間上の位置付けを表現した図のこと。これにより対象間の知覚上の類似性を把握することができ る。一般的には2軸のマトリックスを通じ4象限に分類するケースが多く、例えば、デジタルカメラは機能性と携帯性の2軸で分類できる。デジタル一眼レフのように携帯性は低くとも機能性が高い製品があれば、コンパクトカメラのように機能性が低くとも携帯性が高い製品もある。開発中の製品および当該製品と競合する既存製品を対象に、消費者の「知覚マップ」を作成した場合、開発中の製品が空白領域に位置づけられたとしても、その製品に消費者ニーズや市場性があるとは限らない。(携帯性が低く、機能性も低いなど)。
市場規模の推定
市場規模の推定は「プロトタイピング」前の「事業性の分析」段階で行われ、製品アイデアの定性的な評価と定量的な分析が行われる。定量的な分析で、生産ラインへの投資、予想販売額、販売コストの分析をはじめ、損益分岐点、競争、投資収益率などの分析が行われる。
プロトタイピング
プロトタイピングで最も困難なのは、顧客の選好や嗜好をどのように製品属性へと翻訳するかであり、また、パーソナリティや時間感覚の異なる技術部門とマーケティング部門などが直接交渉する段階なので、メンバー間の調整や協力が求められる。
観察法
観察法には、交通量調査や動線調査など実験的条件下の調査対象者の行動を観察する方法や、エスノグラフィーなど調査者自身が調査対象の世界に身を置いたり生活空間を実際に体験したりしその体験自体を自己観察する方法が含まれる。
グループインタビュー
グループインタビューの利点は、特定のテーマについて意見や感想をそれぞれ自由に述べ合う形式のため、1対1では引き出しにくい被験者の意見や行動を表面化させることができる点である。グループインタビューの司会者が複数の参加者に対して共感を示したり、友好的関係を築くなど被験者が話しやすい雰囲気を醸成できるかどうか、インタビュアーの能力に影響を受けやすい調査手法である。
デプスインタビュー
デプスインタビューは、インタビュアーと被験者が1対1で対面する調査手法で、一人の被験者に多くの時間をかけることにより考え方や価値観、行動スタイル、嗜好などのより深い情報を聞くことが可能である。また、グループインタビューと比較すると、他の参加者の影響を受けにくく、一人当たりの調査コスト(金銭および時間)は高い。
リード・ユーザー法
リード・ユーザー法とは市場における先駆者となっているようなユーザーを製品開発過程に取り込むことにより、市場の規模や競合に対する競争力を確認するなど、高い製品開発成果の実現を目指すアプローチである。検証的調査ではなく仮説あるいは開発段階の調査で用いられる。
相関係数
相関係数は2つの要素間の関連の強さを表す
クラスター分析
クラスター分析とは、集団をいくつかに分割し、類似度の近いもの同士にグルーピングするための統計手法である。異なる性質を持つ対象が混在しているとき、クラスター分析を用いて、似ている対象から構成される相互に排他的なグループに分類することがある。
順序尺度
順序尺度とは、1位、2位、3位といったように、優劣の順序を表す尺度である。例えば、「選択肢の中から好きな順に1位から5位まで記してください」という調査をした場合、被験者が2位より1位のブランドが好きなことはわかるが、その差はわからない。よって、中央値と最頻値を用いることが一般的である。
t検定
t検定は平均値の差に意味があるか否かを判断する場合に用いられる。例えば、特定店舗での消費金額に男女で差があるのかを確認したいときには、男女それぞれが消費する金額の平均値を求め、それらの平均値の間に統計的有意差があるといえるのかをt検定で調べる。
カイ二乗検定
カイ二乗検定はクロス表の表頭と表側の項目間に統計的に意味のある関係があるか否かを客観的に判断する分析手法である。
2次元マトリックス
新製品を開発する際には、製品系列のラインの幅と奥行きの全体的な構成のバランスを保つ必要がある。製品の「幅」「奥行き」「整合性」「長さ」といった製品ミックスは、製品ラインと製品アイテムを2軸とした2次元マトリックスで整理することができる。
マ ーケティング・マネジメント
P.コトラーの著書『マ ーケティング・マネジメント』において、成熟期のマーケティング戦略は、市場の修正、製品の修正、マーケティング・ミックスの修正の3つとされている。市場の修正では、ブランドのユーザー数の拡大によって成熟ブランドの市場拡大を試みる。 製品の修正では、品質改良、特徴改良、スタイル改良によって製品特性を修正し、売上を促進する。また、価格、流通、広告、販売促進、人的販売、サービスなど他のマーケティング・プログラム要素を修正して売上を伸ばそうとする場合もある。「製品アイデア」とは企業が市場に提供する可能性のある製品を指すが、「製品コンセプト」といった場合には、これを顧客の立場から捉え、その製品が誰にとって、どのような時に、どのような問題解決をするものであるかを表現したものである。
顧客の囲い込みを図る戦略的アプローチ
ホワイトスペース戦略
有体の製品とそれらの使用価値を高めるための無体財を組み合わせて提供することで顧客の囲い込みを図る戦略的アプローチのこと。このアプローチは、従来の製品と市場で捉えられていた戦略的アプローチとは異なり、ビジネスモデルに着目したアプローチである。例えば、Apple社のiPhoneの成功は、有体としての価値が高かっただけでなく、それに付随するアプリなどの無体財を充実させ、顧客の囲い込みを図ることができたことが、一つの成功要因である。
レッドオーシャン戦略
競争環境下の中で企業が生き残るために、既存商品やサービスの改良によって、血みどろの争いを繰り広げる戦略。
ブルーオーシャン戦略
競争とは無縁の未開拓市場を創造していく戦略的アプローチである。
PEST分析
PEST分析とはマクロ環境分析に用いられるフレームワークであり、組織の外部環境を捉えるための方法である。政治的環境 (Political)、経済的環境(Economic)、社会的環境(Social)、技術的環境 (Technological)の頭文字を取り、4つの側面から外部環境を把握することを支援する。
SWOT分析
SWOT分析は、組織の外部、内部環境の把握を目的とした分析である。自社の強みと弱み、機会と脅威のそれぞれを構成する要素を整理するために有用である。
相対的市場シェア
相対的市場シェアとは、最大の競争相手の市場シェアで自社の市場シェアを割る(除する)ことで算出される数値である。この値が100%を超えていれば、自社はその市場のリーダー企業である。
有効市場
有効市場とは、ある製品・サービスに対する十分な関心をもち、購買に必要な水準の収入を有しており、かつ関心、収入、特定の製品またはサービスへのアクセスを備えた消費者の集合のことである。例えば、酒類においては20歳未満の消費者への販売は禁止されていることから、20歳以上の成人で酒への関心と購買できる水準の収入を有している消費者によって有効市場が構成される。
製品分類
製品分類には、物理的特性による分類(耐久財、非耐久財、サービス)と使用目的による分類(消費財、生産財)がある。消費財には、消費者の購買習慣に基づく4つの分類(最寄品、買回品、専門品、非探索品)がある。
最寄品
購買頻度が高い消費財であり、即座に商品が引き渡されることが要求され、 顧客が購買するにあたって意思決定を短時間しか使わず、比較や購買に際しては最小限の努力しか払おうとしない商品という特徴を持つ。対象商品は食料品や日用雑貨などの幅広い商品が対象で、利便性が良い店舗、具体的にはスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで取り扱われることが多い。低価格の商品が多いため、顧客は他の類似商品との比較・検討することが少なく、購買にあたっては最小限の努力しか払わない。つまり顧客にとっては低関与対象商品であり、入店する前に購入の予定立てを行わない非計画購買となる。具体例として、新聞、タバコ、ビニール傘などが挙げられる。
買回品
買回品とは、顧客が購入する際に、他商品と品質の比較や価格を比較したり、適合性、品質、価格、スタイルなどをもとに特性を比較する商品のことである。家具、家電などが該当する。顧客が選択し購入する過程で、選好を基準に具体的に説明すると、必要性が生じる前にある程度選好マップを形成しているものを「非買回品(最寄品・専門品)」、必要性が生じるまで選好マップを持たず、購入前に情報を探索するものを「買回品」と呼ぶ。ここで言う選好マップ とは、複数のブランドがある場合に、消費者が各々のブランドを相対的にどう評価しているかという、ブランド間の位置関係を示すものである。買回品は消費者が複数の店舗を見て回り、 比較して購入するためブランドが事前に決定されることは少ない。
専門品
専門品とは、独自の特性やブランド・アイデンティティを備えた商品で、消費者が購買するための努力を惜しま ないものである。高級自動車、高級スーツなどが該当する。
非探索品
非探索品は、消費者が存在を知らない、あるいは知っていても興味を示さない商品のことで、具体例として百科事典生命保険、墓石などが挙げられる。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image