2021年04月16日
企業経営理論 〜コアコンピタンス(独自能力)〜
コア・コンピタンス
「他社には提供できないような利益を顧客にもたらすことのできる、企業内部に秘められた独自のスキルや技術の集合体」と定義される。その上で、真のコア・コンピタンスになるには、以下の3つの条件があるとした。
@顧客から認知される価値でなくてはならない
A競合他社との違いがなくてはならない
B企業力を広げていく力を持っていなければならない
VRIO分析
Value(経済価値)に関する問い「価値があるか?」、Rarity(希少性)に関する問い「希少か?」、Imitability(模倣困難性)に関する問い「模倣は困難か?」、Organization(組織)に関する問い「組織的に活用されているか?」に答えることにより、ある企業の経営資源やケイパビリティが強みなのか、弱みなのかを分析するフレームワークである。VRIOフレームワークにおいて、一時的な競争優位の源泉となるのは、価値があり、希少であることである。模倣困難性を伴わなくとも一時的な競争優位の源泉となり得る。また、模倣困難性を伴う場合は、持続的な競争優位の源泉となり得る。 数多くの企業が保有する希少性がない経営資源は、一時的な競争優位の源泉とはいえない。経営陣のチームワークや従業員同士の人間関係などの組織属性が経済価値を生み、希少性があり、かつ他の企業による模倣が困難な場合、この組織属性は企業の持続的な競争優位の源泉となる。
模倣困難性
競合企業にとって模倣がコスト上不利となる場合、持続的な競争優位となる。模倣するコスト上の不利をもたらす要因として、独自の歴史的条件、因果関係不明性、社会的複雑性、特許等をあげることができる。企業の内部者にとって競争優位の源泉と経営資源やケイパビリティとの関係が理解できない場合、「因果関係不明性」により模倣が困難であると考えられる。模倣は、直接的複製と代替による複製の2つのうちいずれかで行われる。例えば、今まで人の手によらないとできないような技術を有していた他企業に対して、機械を活用して同じレベルの技術を生み出すことができれば、代替による複製となる。
情報的経営資源
ノウハウ・技術・熟練・顧客情報・信用・イメージ・ブランド等が挙げられる。情報的経営資源は、
@金銭で購入することが難しい
Aつくるのに時間がかかる
B複数の製品や分野で同時多重利用ができる
という性質を持つ。情報的経営資源は企業の具体的な日常の仕事が蓄積されたものであるため、企業の特異性が高く競争上の優位性の原点になりやすい。
ネットワーク戦略
ネットワークとは、参加企業が互いの活動を補完し合うために、独立を維持しながら密接に協調する組織のことである。ネットワークに参加することで、コア・コンピタンス以外の機能をネットワーク内の専門企業にアウトソーシングすることができるので、自社のコア・コンピタンスに経営資源を徹底的に集中することができる。機能を絞り込み、身軽で機敏になった企業のことを、「バーチャル組織」という。情報通信ネットワークを活用して、取引の効率化のためのインフラを提供するビジネスを「プラットホーム・ビジネス」という。他社の資源や情報を活用するということは、貴重な経験を蓄積する機会を失う可能性がある。その結果、重要な経営資源やコア・コンピタンスが育たなかったり、既存の経営資源やコア・コンピタンスが空洞化したりするおそれがある。特に、バーチャル組織ではそのリスクが大きく、気がつかないうちにそれらを失ってしまうこともある。
垂直統合
垂直統合とは、製品やサービスを提供するために必要な活動や業務工程の段階を社内に取り込み、企業活動の範囲を拡張することである。垂直統合によらない統治メカニズムでは、契約による関係構築が必要になる。この場合の契約には完備契約、スポット市場契約、逐次契約がある。完備契約とは、提携相手の機会主義を回避するための契約であり、スポット市場契約とは、提携相手との関係で不利な条件を発生した場合に他の提携相手に切り替えができるようにするための契約であり、逐次契約とは期間を限定することでリスクを軽減するための契約である。垂直統合のメリットには、範囲の経済が活用できること、情報漏洩が防ぎやすいこと、取引費用がかからないことがある。一方、デメリットには、規模の経済が活用しにくいこと、需要低下の影響を受けやすいこと、人件費など内部費用が増加しやすいことがある。
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