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2021年01月22日

企業経営理論 〜労働基準法〜




労働契約

最低基準(労働基準法1条)

使用者が、労働者との間で、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約を結んだ場合、労働基準法で定める基準より当該労働契約は無効となる。労働基準法が定める基準より有利な部分についての契約は有効となり、労働基準法に達しない部分のみを無効とし、法の定める基準に置き換えられる。このことを「部分無効」という。労働基準法に定める基準は「人たるに値する生活を営むための必要を充たすべき」最低基準であり、この基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その達しない部分については無効とし、法の定める基準に置き換えられる。
解雇(労働基準法20条1項)

判例により確立した「整理解雇の四要件」(@人員整理の必要性、A解雇回避努力義務の履行、B被解雇者選定の合理性、C解雇手続の妥当性)を満たす場合、整理解雇が可能。法律上は、原則として使用者は労働者を解雇する場合においては、少なくても30日前に予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならないとしている。

傷病による休職の場合,その休職期間満了時に,傷病が回復していなければ退職になるが、解雇事由として,休職期間の満了を就業規則に明記しておいた際には、解雇とすることができる。また,解雇を行う場合には,解雇予告など解雇を行う場合と同様の手続きが必要になる。(労働基準法第20条)さらに休職期間満了により自動退職とすることもできる。自動退職とすることができるどうかについては,通達において,期間満了の翌日等一定の日に雇用契約が自動終了することを明白に就業規則に定めて明示していること,かつその取扱いについて規則どおりに実施し例外的な運用や裁量などがなされていないことを満たしている場合には期間満了により自動退職とすることが認められる。(昭27.7.25基収1628号)。

労働者の責に帰すべき事由により、使用者が労働者を即時解雇する意思表示をし、当日所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をして翌日以降その認定を受けたときでも、その即時解雇の効力は、使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生する。
契約期間(労働基準法14条1項)

期間の定めのない労働契約を除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年を超える期間については締結してはならないとしている。つまり3年を超える労働契約は締結できない。
期間の定めのない労働契約を除き、専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって、高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約は最長5年である。専門的知識等を有する労働者とは例えば薬剤師の資格を有し、調剤業務を行う者などをさす。期間の定めのない労働契約を除き、満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約の期間は最長5年である。
労働条件の明示義務(労働基準法15条)

使用者は合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知すれば明示義務を果たしたことになる。労働契約法7条は、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする(以下、略)」と定めている。
労働契約の更新

労働基準法15条及び有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準1条1.2項により、使用者は、有期労働契約の締結に際し、労働者に対して、労働契約の期間満了後におけるその契約の有無を明示しなければならない。また、使用者がこの契約を更新する場合がある旨明示したときは、使用者は、労働者に対してこの契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を書面の交付によって明示しなければならない。
労働契約書への明示義務

労働基準法施行規則5条2号では始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項について、労働契約書に明示する義務がある。なお「所定労働時間を超えて労働される程度」については必要とはされていない。
賠償予定の禁止(労働基準法16条)

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。この立法趣旨は、労働者の退職の自由が制約されるのを防ぐことであり、かつてこのような違約金を定めることにより、労働者を身分的に拘束するという弊害が見られたこと等から設けられた規定である。
前借金相殺の禁止(労働基準法17条)

使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。労働者を拘束するものでなければ、会社と社員間での金銭貸借や貸金債権と賃金との相殺を「一律に」禁止するものとはいえず、会社と社員間で金銭の貸借も可能である。
表彰(労働基準法89条)

表彰は、会社がそれに関する定めをした場合には、就業規則に明示しなければならない(相対的明示事項)。相対的明示事項は他に、退職手当等、賞与等、労働者が負担する食費・作業用品等、安全衛生、職業訓練、災害補償、表彰・制裁、休職、がある。
割増賃金

深夜労働(労働基準法41条2項)

管理監督者(事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者 又は機密の事務を取り扱う者)は、法に定める労働時間、休憩及び休日に関する規定については適用しないとされている。ただし、深夜については、この条文に書かれていないので、管理監督者を午前0時から午前5時までの深夜に労働させた場合は適用除外とはならず、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
固定残業代制度

固定残業代制度とは、1カ月に想定される残業時間を算出し、その分の残業代を基本給にプラスして毎月支払うという制度である。固定残業代制度を導入するにあたっては以下の条件を満たし、この規定が就業規則などに記載されていることが必要であることが判例等で示されている。
@基本給の部分と固定残業代の部分が明確に区分されおり、経営者と従業員の間で合意がとれている。
A固定残業代部分には、何時間分の残業代が含まれているのかが、明確に定められている。
B時間外労働(残業)時間が、上記Aで定めた時間を超えた場合は、別途割増賃金を支払う。
C固定残業代は12分割して支払わなくてはならない(月々の残業代として支給するので14分割、16分割等は認められない)

いわゆる年俸制における固定残業代制度を取った場合でも定められた時間を超えた場合には残業代は必要となる
法定休日(労働基準法37条)

法定休日は週に1 日、または4週4休を与えなければならないとしている。法定休日の労働については3割5分以上の割増が必要である。なお週休2日制はもう一日の休みは法定外休日に当たるため、3割5分の割増はしなくてもよい(週40時間を超えた場合には時間外労働の割増は必要)。ただし、就業規則等で法定外休日についても法定休日と同じ割増をすると規定することは構わない。
割増賃金の算定基礎から除外される賃金(労働基準法37条5項)

以下の7つに該当する手当は割増賃金の基礎算定から除外される。
@家族手当
A通勤手当
B別居手当
C子女教育手当
D住宅手当
E臨時に支払われた賃金
F1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金

なお、名称は違っていても実質的にこの7つに該当すれば控除される
平均賃金

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければならない。平均賃金は通常、算定すべき事由が発生した日以前の3ヶ月間に支払われた賃金総額を、その期間の総日数で割った金額となる。
就業規則

作成・変更(労働基準法施行規則49条)

常時10人以上の労働者を使用する事業場の使用者は、就業規則を作成した場合、もしくはすでにある就業規則を変更した場合、遅延なく所轄の労働基準監督署長に届け出てその承認を得なければならない。
「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう(労働基準法9条)と規定されており、正規、非正規の区別はなく、パートタイマーもこの10人の規定に含まれる。
したがって常時10人以上の労働者のうち大半がパートタイマーであっても、就業規則を定めて所轄の労働基準監督署長に届け出る必要がある。
周知(労働基準法106条)

「使用者は、 就業規則を常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない」とある。全労働者に配布する方法による周知までは必要とされない。
労働組合(労働基準法90条)

「使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。」としている。意見を聴くことまでであり、同意を得ることまでは求められない。
育児休業

育児休業は育児・介護休業法に基づく休暇である。しかしながら、育児休業も労働基準法に定められた就業規則の絶対的必要記載事項である「休暇」に該当することから、@付与要件(対象となる労働者の範囲等) 、A取得に必要な手続 、B期間について記載する必要がある。
法定記載事項

絶対的必要記載事項として、解雇の事由を含む退職に関する事項、始業・終業時刻や休憩時間および休日・休暇など労働時間に関する事項、賃金の決定や昇給、賃金締切日・計算方法・支払日および支払方法など賃金に関する事項、がある。
相対的必要記載事項には、賞与・期末手当および退職手当に関する事項がある。
懲戒

懲戒が、同じ事案(一つの企業秩序違反行為)に対して、二度も三度も 適用されることは許されないことが判例で示されている(中央タクシー事件徳島地裁平10.10.16))。これは法律上、一事不再理の原則と呼ばれる。

自己都合によって退職した直後に、解雇に相当する懲戒事由が発覚した元従業員に対し、懲戒解雇基準を準用して退職金を減額や不支給とすることができる。退職金は賃金の一種だが、その発生要件が「功労報酬」的なものといえるので、懲戒解雇などの場合、「功労」そのものが否定されると解されているからである。ただし、退職金は「賃金の後払い」的な性格も持っていることから、退職金の不支給には、@就業規則に規定があり、A労働者のそれまでの勤続の功を抹消(全部不支給の場合)ないし減殺(一部不支給の場合)してしまうほど著しく信義に反する行為があった場合、という要件が判例上求められている(日本コンベンションサービス事件大阪地裁平成8.12.25、日本電信電話事件大阪地裁平成9.4.25)
減給の制裁(労働基準法91 条)

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。
賃金の支払い

賃金支払いの5原則(労働基準法24条)により賃金は@通貨払、A直接払、B全額払、C毎月1回以上払、D一定期日払の各原則に従って払わなければならない。
@通貨払

通貨払の原則により、本来賃金は通貨で支払う。ただし、この原則の例外として、一般的な賃金については、当該労働者の同意(口頭でも可)があれば、口座振込も可能である。
A直接払

直接払の原則により、賃金は、直接労働者に支払わなければならない。労働者の親権者や代理人(法定代理人・任意代理人)に支払うことはできない。 ただし、例外として、使者に賃金を支払う(例:労働者本人が病気欠勤中に妻子に手渡す)ことは認められている。
B全額払

賃金は全額払いの原則(労働基準法24条1項本文)であるが、賃金からの控除が法令で定められているものとして、源泉所得税(所得税法第6条)や社会保険料(健康保険法168条、厚生年金保険法84条)などがある。
C毎月1回以上払

毎月1回以上払の原則は、年俸制でも適用されるが、支払い額は必ずしも12 分の1ずつ均等に支払う必要はない。例えば、年俸を16分の1した額を毎月支払うことで毎月払の原則をクリアし、年2回のボーナス月に16分の2した額を加算して払うということも可能。また、毎月1回以上支払えばよいので、月2回として24 分の1ずつ支払うこともできる。
D一定期日払

一定期日払の原則で認められるのは、毎月同一日(例:毎月25日払) や月末払等であり、毎月特定週の同一曜日に支払うことは認められていない。「一定の期日」とは、期日が特定されるともに、その期日が周期的に到来するものでなければならない。「毎月15日から20日までの間」等のように日が特定されない定めをすること、あるいは、「毎月第4金曜日」のように月7日の範囲で変動するよ うな期日の定めをすることは認められていない。
変形労働時間制および裁量労働制

変形労働時間制(労働基準法32条の2)

1か月単位の変形労働時間制では、変形期間において、 1日当たり8時間を超える労働時間を定めた日については、その定めを超えた時間、それ以外の日は8時間を超えた時間、1週間については、労使協定や就業規則等により40時間を超える時間を定めた週はその時間、それ以外の週は40時間を超えて労働した時間を時間外労働とすると定められている。労使協定で定める日以外に労働すると、1日8時間、週40時間を超えると時間外労働になる。また、定めた日においても、協定の時間を超えれば時間外労働となる。
裁量労働制(労働基準法38条)

専門業務型裁量労働制は、(1)業務の性質上その遂行方法を労働者の大幅な裁量に委ねる必要性があるため、(2)業務遂行の手段および時間配分につき具体的指示をすることが困難な一定の専門的業務に適用されるものである。協定を締結するにあたっては、みなし制の対象となる労働者の意見を聞くことが望ましいとされている(昭63.1.1 基発1号)が、個別の同意は要件とされていない。企画業務型裁量労働制は、企業の中枢部門で企画立案などの業務を自律的に行っているホワイトカラー労働者について、みなし制による労働時間の計算を認めるものである。この企画業務型裁量労働制は濫用防止のため、 厳しい認定要件が定められていて、使用者は当該労働者の同意を得なければならないこと、および当該同意をしなかった当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないことと規定されている。
フレックスタイム制(労働基準法32条)

フレックスタイム制は、始業及び就業の時刻の両方を労働者の決定に委ねている。始業および就業の時刻いずれか一方を委ねるものはこの制度に含まれない。
労働時間、休憩・休日

休憩(労働基準法34条)

使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。労働基準法において労働時間が12時間を超えた場合の休憩時間についての規定は存在しない。
休日(労働基準法35条)

「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。」としている。ただし、同35 条2項では「前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。」とある。 つまり4週間の起算日が明らかで、その期間内に4日休みがあれば、毎週1日の休みでなくとも構わない。
労働時間(労働基準法32条)

労働時間に該当するか否かについては、客観的にみて、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かにより決まる。判例では、労基法上の労働時間(同法第32条)について、次のような判断基準を示している。 第一に、労基法上の労働時間は、就業規則等でどのように規定されているかにかかわらず、客観的に決定される(「客観説」)。これは、実作業の準備や後始末などの周辺的な活動については、当事者の合意により労働時間性を判断するとの立場(「二分説」)を否定するものである。第二に、ある行為に要した時間が労基法上の労働時間か否かは、その行為が使用者の指揮命令下に置かれたと評価できるか否かにより判断される(「指揮命令下説」)
年次有給休暇(労働基準法39条)

使用者は、年次有給休暇を10労働日以上付与される労働者に、付与した基準日から1年以内に5日について、時季指定して年次有給休暇を取得させなければならないが、既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、時季指定をする必要はない。使用者は、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した週所定労働日数が5日である労働者に10労働日の年次有給休暇を付与しなければならないが、8割未満である者に対しては有給休暇を付与しなくてもよい。年次有給休暇の対象労働者には管理監督者(事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者:法第41条第2号)や有期雇用労働者も含まれる。請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができると規定されている(法第39条第5項)。
退職

退職により消化できない有給休暇は例外的に買い上げを行うこともできる。労働基準法では、従業員の権利としての年次有給休暇の付与を定め(第39条) ていて、その権利を金銭で買い上げて、年次有給休暇の日数を減じないし請求された日数を与えないことは、違反である(昭和30年11月30日基収第4718号)としている。ただし、退職後には、年休の権利を行使することができなくなることから、 退職する人について、退職時に未消化である年休を買い上げることは認められる。 ただし、この買取については会社の義務ではなく、あくまで会社の判断として実施することも可能であるし、しなくても問題にはならない。
有給消化

退職日までにまったく出勤せず有給消化したいということを理由として退職願を受理しないことは認められない。退職願は申し出て2週間を経過すると効力が生じる。(民法627条)また、労働基準法では有給休暇について、労働者の請求した時季に与えなければならないとしている。(労働基準法第39条第5項)ただ、会社には有給休暇の「時季変更権」があるが、退職までに限られるため変更する日がないので、この場合に「時季変更権」を行使することはできない。

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