2020年12月31日
企業経営理論 〜グローバル化〜
リバースイノベーション
リバースイノベーションとは先進国で開発された製品を、途上国の開発拠点で現地向けにシンプルな機能で低価格に開発し直し、現地の生産販売を図りつつ、その製品を途上国だけでなく先進国モデルへと進化、展開するイノベーション戦略である。リバース・イノベーションを展開し、現地のニーズに適合した製品を開発するには、現地組織に研究開発機能や生産機能を持たせる必要がある。
海外展開企業の国際統合と現地対応のトレードオフ
企業の国際戦略において、国境をまたぐ複数の事業を統合して規模の経済を目指す国際統合と個々の国外市場の顧客ニーズにきめ細かく対応する現地適応はトレードオフの関係にある。
規模の経済が作用し、現地市場への適応の必要性が低い製品を提供する企業では、通常、全社方針のもと複数の国に共通する製品需要を吸い上げて集中的に生産拠点と販売拠点を整備し製品を供給する戦略をとる。一方でグローバルな統合の必要性は低く、現地市場への適応(習慣や文化への配慮)の必要性は高い製品を提供する企業では、本国親会社のリーダーシップで、各国の子会社の能力を最大限に発揮させ現地向けの製品を開発して全体の効率性を高めたり、海外子会社が独自に製品開発やマーケティングに取り組み、現地の需要の変化に即座に対応する戦略がとられる。
製品開発の固定費が大きく、各国の認可と文化的理解の必要性が高い製品を取り扱う企業では、国ごとに対応した製品開発、マーケティング、生産の戦略をとることで、現地のニーズにきめ細かく対応する。
製品開発の固定費が大きく、現地の習慣や文化への配慮の必要性が低い製品を取り扱う企業では、全社方針のもと集中的に生産拠点と販売拠点を整備し製品を供給することで全体の生産性を高める。
Jカーブ曲線
累積的キャッシュフローのJカーブ曲線とは縦軸に累積キャッシュフロー、横軸に時間と主なマイルストーンを記したものである。スタートアップコスト、新製品や新サービスの市場投入までの時間、量産までの時間、市場投入後の投資を記すことで、イノベーションを予想通り行えるかどうかのリスクを確認するものである。なお、市場投入までの時間をスピード、量産までの時間をスケールと言い、これら両方の影響を受けることになる。
海外進出の各段階とマーケティング
第1段階:国内マーケティング(Domestic marketing)
第1段階では、対象とする市場は国内となる。これら企業の競争相手には国内の企業だけでなく海外企業も含まれるが、この段階では多くの企業は国際的な事業環境への注視を行わない。
第2段階:輸出マーケティング(Export marketing)
第2段階では、中間業者を利用する形での輸出が着手され、次第に直接輸出に移行していく場合がある。こうした国際化の展開は、組織内部の問題の観点からとらえると、経営者のマインドや組織資源・能力、あるいは事業規模によって左右されることがある。
第3段階:国際マーケティング(International marketing)
企業は進出先の市場ごとに適応化を進めている状況であり、製品中心のプロモーションの段階である。この段階では進出先の市場ごとに異なる文化、社会経済的背景を考慮に入れた上で、標準製品の使用方法や使用場面を工夫する提案を行うことで適応化が進展する。
第4段階:多国籍マーケティング(Multinational marketing)
第4段階では、製品開発、生産、マーケティング活動などを主要地域の中で統合的に実施することがもたらす規模の経済の重要性が高まる。共通性の高い地域内での統一コミュニケーション・キャンペーンを実施したり、物流費用の共同負担や生産 拠点の共同化を採用したりすることが具体的な内容である。
第5段階:グローバルマーケティング(Global marketing)
第5段階では、従来の段階でみられた高コスト化傾向を防ぐために、マーケティング・ミックス標準化によるグローバル顧客の創出や、事業活動全体の国境を越えた統合性の強化などを実施している。
アジア進出
中小企業がアジアに進出する場合、様々なリスクへの対応策を準備しながら、早い時期に収益をあげることが必 要となる。リスク対応策として、現地からの撤退を加えておくことが重要となる。現地からの撤退を容易にするために、現地人の採用は生産現場の雇用期限付きの賃労働者に限定することや、現地人の幹部や現場指導者の登用は能力と適性から判断すること。親会社の要請で海外進出する場合も、現地からの撤退を容易するためには、段階的に慎重に進出を図るべきである。親会社の指導や支援を前提にすること、外国企業向け工業団地に工場を設置すること、償却済み設備を持ち込むこと、単純な工程から生産できる少数の品目から開始することなど、いずれも容易な撤退を実現する上で有効な対応となる。現地の低所得層の市場では、商品配送に支障をもたらす道路事情や商品知識に乏しい顧客が散在しているなどのため、濃密でコストのかかる人的接触重視によるアプローチも求められることに注意しなければならない。
1990年代日本経済の失われた10年
「失われた10年」を通じて国内工場の海外移転が相次ぎ、これにともなって国内の熟練技能労働者の失業が大量に発生した。こうして急増した余剰労働者の中には韓国や中国企業に職を求める例もあり、国内製造業の空洞化、技術・ノウハウの海外流出による生産技術の国際格差の縮小、競争優位低下などの問題が発生した。
中小企業の海外展開
中小企業の海外展開の課題
@現地のマネージメント層不足
A現地労働者の賃金上昇
B品質管理の難しさ
C現地市場における更なる販路拡大
D現地の税制、法制度の変化とその対応
中小企業の海外展開における経営改革
@国内では関係が持てなかった新たな関係先との取引を開拓
A国際企業としてのブランド価値の向上
B付加価値の低い製品の製造は海外へ移転し、国内は高付加価値製品に集中する
C海外で得た収益を国内事業へ再投資する
D従業員の国際化やキャリア形成に寄与し、後継者や幹部人材の育成に有効
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