2016年05月01日
敬愛なるベートーヴェン(2006アメリカ・ハンバガリー)
監督/アニエスカ・ホランド
出演者/エド・ハリス、ダイアン・クルーガー
about the movie
本作の10年前に製作された『不滅の恋/ベートーヴェン』では政治や恋愛に翻弄された半生を描いていたが、本作はベートーヴェンが難聴という極限の状態で開花した真の作曲の才能と芸術思想を深く掘り下げて描いている。アンナはベートーヴェンの才能の中で揺れる狂言回しのような役割である。(wikipediaより引用)
映像が奇麗だったので写真多めです。
ネタバレreview
ベートーヴェンは好きだけど、主に聴くのはやっぱりピアノ。
ピアノソナタ、たまにピアノ協奏曲。
自分で弾くのは月光の第一楽章のみ。第三がすごく好きだけど、あんな早いの弾けないもん。
あとソナタは悲愴、ワルトシュタインなんかをよく聴く。
悲愴の第3楽章はまさに私の好みで、たまらんです。
(たぶん世間的に聴かれる頻度が多いのは第2楽章のほうだと思うけども。)
ピアノ協奏曲で好きなのは第3番。うーん、いろいろ聞きたくなってきたな。月光の第一楽章、習ったわけではなく自分で弾いてみたんだけど、これ練習してる時楽しかったなあ。和音を弾く度に感動するなんて、もうわくわくしたもん。全く一音の無駄の無い、完成された美学のようなものを、聴くだけではなくて自分で楽器を通して感じることが出来ること。これは、音楽を聴くのと音楽を感じることは全然違う感動なんだということを初めて知った、とても思い入れのある曲かもしれない。でも私はリズムをとるのが下手なので、この第一楽章を弾きこなす事が全く出来まへん。
話は映画に戻るけど、ストーリーは、写譜をする女性とベートーヴェンの話。この女性が才能があり、ベートーヴェンに認められ、彼と一緒に曲を作り上げて行くという…ことらしい。ストーリーに「?」という部分が多すぎて、音楽に助けられてるんだけど、助けきってないような気がしてならなかった…。題材は好きだけど、脚本は好きではなかったかも。このテの映画にはかなり甘い私なんだけど。クラシックの作曲家が主人公って時点で、かなりポイントが上がってるはずが。
曲はもちろん素晴らしい。すごく贅沢に、第九の演奏がまるまる流れます。その時のベートーヴェンとアンナの恍惚とした表情。音楽を感じて気持ちよくなると、こういう顔になるよね…。
あと、ちらっと第七も流れる。第七は好きな交響曲なんだけど、人に言ったら「のだめカンタービレ」ってマンガのおかげでこれが流行ってるらしい。第九はあんまり聴く機会が無かった。でも今回通してその和音や構成をじっくり聴いて、やはり名曲だと思った。なんというか長い曲って私みたいな音楽センスの無い人には、一曲として捉えるのが難しい時もあるんだけど、(難解なやつ。マーラーとか)ベートーヴェンって主題を繰り返しているので、ある意味捉えやすい。しかも第九は曲のコントラストがすごくついているので、まったく飽きさせない。第七は、ひじょーにずっしりとしてるんだけど、あの重く迫ってくる感じがなんともゾクゾクとして好き。そういえばこないだ初めて第四番をオーケストラのコンサートで聴きに行ったけど、あんまり私の好みではなかった…かな。変ロ長調。
で、また映画の話に戻るけど、制作側の視点から見てしまうと、第九のシーンがあまりにも長いので、見てると飽きる可能性がある。だってあまりにも有名な曲だし、それを全部まるまる流すってかなりの挑戦。そこで出ました、視覚的に飽きさせないカメラワークのバリエーション。ともかくいろんなとこから撮る。確かにアンナが舞台からひょっこり顔を出してベートーヴェンとアイコンタクトをとってるのは構図的に面白いから、いろんなとこから撮れる。どこもかしこも撮ってみましたってくらいのアングル違いも楽しめます。(しかも、しつこく変える割りにほんとに飽きさせてないと思う。)ひとつだけ、なんかえらいひとのバックから背中を入れて、アンナとベートーヴェンを同時に撮ってるのはちょっと面白くなかったけど…普通すぎて。
しかしその名曲を初めて聴けた、その時代のあの瞬間に立ち会った人々に、激しいジェラスを感じてしまいましたね。現代の音楽で、もうそんなことは起こらないもの。
そういえばカメラワーク、というかライティングでひとつ印象的なシーンが。アンナが仕事机に向かってるとき、横に椅子をおいてベートーヴェンが「音楽は空気の振動だ、しかし神の息吹でもある」みたいなことを語るシーン。画面のほとんどがエド・ハリスの顔のアップなんだけど、彼の前にある窓から光が差し込んでいるという設定。ふつうはここで、顔全部にライト当ててしまうとこなんだと思うけど、これが、主に光がきてるのが彼の額から上。眉毛すれすれから下が、影になってるの。で、喋って顔が動くとたまーに明るいところに目の位置が来る。
このライティング、「おお…!」と思った。エドと言ったらやはり魅力は眼。というか視線。その視線を魅力的に魅せてる手法だなあと感心した。効果的。ふつう、画面ほとんど暗くなっちゃうんだもん、やらんよね。ドキドキしちゃったもん、このライティング。視線のチラリズム。
つーことで、あんま映画自体の感想は無いんだけど、やっぱりベートーヴェンの曲は素晴らしいってことで…。正直、期待しすぎてて拍子抜けしたので、なんと言っていいのやら…。
あ、エド・ハリスは相変わらずセクシー。その眼で見つめられたら、間違いなくやられるでしょう。髪の毛なくてもあんなにセクシーって、世の中のハゲの立場無しなんじゃなかろーか。やっぱり髪の毛無い、いつものエドのほうが好きだけど。スターリングラードでも見るか。
あれ見るとカッチーニのアヴェマリア聴きたくなって、スラヴァのCDひっぱり出しちゃう。これも名曲、心に響く宗教曲。
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