2022年10月04日
気になったよMリーグ#1
昨夜のMリーグで非常に気になった局について一局だけ掘り下げていきます。
まずは動画からご覧ください。
https://youtu.be/PDl0C8JMHHg
2022年10月3日 第2試合
南2局
東家 本田 朋広 11100
南家 近藤 誠一 9200
西家 伊達 朱里紗 35800
北家 瑞原 明奈 43900
(敬称略)
トップ争いを瑞原さんと伊達さんがしている最中で、三着争いを本田さんと近藤さんがしている最中です。
南2局を入れて最短あと3局で終わるので本田さんも近藤さんも伊達さんもこの辺りで1アガリしておきたいとも言えます。
伊達さんはトップ目と8100点差で約満貫差で伊達さんは満貫以上目標、三着目とラス目の点差は1900点で近藤さんは最低2000点以上の手にしたい所。
最初に親・本田さんの手は
ドラ本田手牌
赤もドラも無いポンか役なしリーチかの二択です。
愚形受け入れも複数であまり1500点の仕掛けはしたくないですが、本田さんは一鳴きするのかに注目です。
ツモ打
次に南家・近藤さんの手は
ドラ近藤手牌
、、の3対子+1暗刻で七対子か対々和の対子手を意識させます。
七対子の2シャンテンと見るかをポンまたは暗刻にしての対々和狙いのどちらにするかをツモや場を見ながら決断していきます。
ツモ打
続いて西家・伊達さんの手は
ドラ伊達手牌
最初に見えるのはタンヤオ、や一盃口、七対子、対々和くらいでしょうか。
ピンズ連続形があるのでメンツを見るか対子、刻子を見るのか判断が分かれそうです。
ツモ打
最後に北家・瑞原さんの手は
ドラ瑞原手牌
この手をメンツ手と見るなら5シャンテンと非常にテンパイスピードの遅い手です。
まだ役なしで役牌を重ねるか愚形受け入れを複数引いてやっと平和・赤2000点です。
メンゼンで手組するなら役なしリーチ・赤2600の愚形待ちになりそうなのであまり無理はせず、近藤さんが鳴き仕掛けした時はアシストを考えてもいいでしょう。(親と二着目には手助けしない)
ツモ打
このを本田さんがポンして打。
ポンドラ本田手牌
次巡の近藤さんは
ドラ近藤手牌
既に七対子1シャンテンです。
同巡、伊達さんは
ドラ伊達手牌
更に同巡、瑞原さんは
ドラ瑞原手牌
やっと4シャンテンと一歩前進。
次巡、本田さんは
ポンドラ本田手牌
ペンとカンが入ればテンパイになる1シャンテン。
この同巡、伊達さんは
ドラ伊達手牌
ここから打するとタンヤオ・一盃口カンテンパイです。
リーチで5200、ツモって満貫なら即リーチする方も多いんじゃないでしょうか。
は近藤さんに2枚、瑞原さんに1枚の山に1枚しかありませんが、それを知っているわけではないのに打テンパイ外し。
伊達さんは打点に不満があったのか、好形待ちにしたかったのかそのどちらかだと思われます。
ドラテンパイ例1
テンパイ例2
伊達さんは形的にタンヤオ・対々和・三暗刻、リーチで跳満、あわよくばツモり四暗刻にしたかったのかもしれません。
テンパイ例1なら待ち、テンパイ例2ではで四暗刻もありますが、場には1枚切れでが山に1枚で、暗刻になるのはかなり薄い確率です。
以前、伊達さんを紹介した時に「着順への意識が強め」と表現しましたが、たとえオーラスになっても着順アップを考えている様子で、今局もトップ目になれるアガリを見ていたのだと推察されます。
また同巡、瑞原さんは
ドラ瑞原手牌
3シャンテンとまた一歩前進。
次巡、本田さんはを加カンしてカンドラ、リンシャン牌を引き打。
加カンドラ槓ドラ本田手牌
この同巡、近藤さんは
ドラ近藤手牌
切りなら七対子テンパイ。
なぜか近藤さんは打のテンパイ取らず。
ここでテンパイ取りしないのなら・対々和、メンゼンで・対々和・三暗刻にする選択もありますが、ここでテンパイ取りしておく方がドラツモ時にドラタンキ待ちにしてリーチ・ツモ・七対子・ドラ2の跳満も狙えてその上カンが入っているので裏ドラも約2倍乗りやすくなっています。
百歩譲って混一色・対々和狙いするにしても満貫〜跳満で、それならリーチで跳満、裏が乗れば倍満の七対子にした方が良いと感じます。
また同巡、伊達さんは
ツモツモ切りドラ伊達手牌
ここもタンヤオが崩れたテンパイ、一盃口やツモり三暗刻になる待ちにも取れますが、ツモ切り。
次巡、本田さんはツモ打。
もし近藤さんが対々和を見ているなら、これをポンしないとテンパイに間に合いません。
七対子テンパイに取らなかったり、ここでスルーしたりと今局の近藤さんは変に感じます。
同巡、近藤さんは引きアンカンし新ドラ。
アンカンドラ槓ドラ近藤手牌
次巡、近藤さんはツモで七対子仮テンだったとしてもここでツモアガリ800-1600かリーチなら1600−3200で本来ならここで終了していてもおかしくない状況です。
ツモドラ槓ドラアガリ例1
更に同巡、伊達さんは
ドラ槓ドラ伊達手牌
ラス牌引きで待ち、でツモり四暗刻テンパイをダマテンにとります。
待ちは山に2枚、は場に3枚切れで山に1枚、は山に2枚で合わせて2+1+2=5枚。
アガリ牌の5分の4で四暗刻のチャンス。
次巡、本田さんは打、これを近藤さんがポンして打。
ポンアンカンドラ槓ドラ近藤手牌
同巡、伊達さんは小考してツモ切りリーチ!
このリーチに対して瑞原さん、本田さんともに現物切りオリ。
近藤さんは3枚切れワンチャンスを頼って打。
2巡後、伊達さんがツモ切ったを近藤さんがポンしてテンパイ。
ポンポンアンカンドラ槓ドラ近藤手牌
ポンしなかったがために伊達さんに遅れてテンパイ。
この同巡、伊達さんがツモアガリ。
リーチツモドラ槓ドラ裏ドラ槓裏ドラ伊達手牌
四暗刻の役満、8000-16000です。
放送では裏ドラが映らず、PVにカメラが切り替わってしまいましたが、役満でも裏ドラが乗っても点数自体に影響は無いですが、裏ドラが乗るかどうかを気にしている人もいるのでちゃんと裏ドラまで映して欲しかったですね。(ABEMAさんたのんます!!)
このアガリで
本田 −4900
近藤 1200
伊達 67800
瑞原 35900
伊達さんはトップを決定的にするアガリとなりました。
もし近藤さんが七対子テンパイ待ちに取っていれば、伊達さんの四暗刻は出なかったわけで、幻の役満に終わっていた未来もありました。
仮に近藤さんが七対子に取らなかった場合、対々和狙いであればポンが入りツモ筋がずれ、ラス牌は伊達さんに入らずツモり四暗刻テンパイにはならなかった可能性大です。
今回のまとめ
・一人のテンパイ取らずが役満を生むこともある
近藤さんが七対子テンパイに取っていれば四暗刻アガリは出ず、近藤さん三着浮上で次局に進んでいた
ツモドラ槓ドラアガリ例
もし七対子テンパイに取らず、対々和狙いだとしても、上家ポンしていればツモ筋がずれて伊達さんはラス牌を引けず、四暗刻テンパイにはなっていない
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ちょっとだけMリーグ#51
今回もMリーグの一局だけを掘り下げていきます。
今日の主役は佐々木 寿人プロです。
まずは動画からご覧ください。
https://youtu.be/eRfenu-3r5U
2022年3月22日 第1試合 セミファイナル1試合目
南1局
東家 佐々木 寿人 16300
南家 朝倉 康心 32900
西家 魚谷 侑未 34300
北家 内川 幸太郎 15900
(敬称略)
南入したばかりでまだ対局の動向はわかりません。
寿人さんは三着目でトップ目と18000点差で6000オールツモならトップ目、4000オールツモでも二着目と600点差まで迫れるのでここは大きめのアガリが欲しい場面です。
点棒上は朝倉さんと魚谷さんのマッチレース状態ですが、ここで寿人さんが割って入るかどうかの局面。
最初に親・寿人さんの手は
ドラ寿人手牌
この手はマンズ8枚+字牌3種でマンズ混一色、ドラが重なって鳴いても混一色・ドラ2の満貫、対子が増えれば混一色・七対子でリーチかドラ使用で跳満〜倍満も見えてきます。
後は引き一盃口、マンズに染まらなければ平和もあります。
ツモ打
ここでマンズ混一色にならなくても今後、一色手が入りやすいように三色→二色に色を減らしていきます。
次に南家・朝倉さんの手は
ドラ朝倉手牌
第一ツモでができ、役ありになったのでメンゼンでも鳴きでもアガリに向かえます。
ソーズ7枚でソーズや字牌が増えるようならソーズ混一色、対子や暗刻が増えるようなら対々和や三暗刻になるように手を進めます。
役牌暗刻+赤があるのでリーチ・ツモ・・赤でも満貫です。
ツモ打
続いて西家・魚谷さんの手は
ドラ魚谷手牌
この手からはタンヤオや平和が考えられます。
後は伸びによっては234三色同順、345三色同順が考えられますが、浮いているドラをどうするかでこの手の行方が変わってきそうです。
ドラが重なってもこの手は雀頭でも使えるのでリーチ・ツモ・ドラ2の満貫の選択もあるでしょう。
ただこの手はリャンメンターツ2つだけで、と愚形受け入れも複数残っているのでこの部分の入り方を見ながら押し引きを考えます。
ツモ打
最後に北家・内川さんの手は
ドラ内川手牌
最初に見えるのはマンズ7枚+字牌2種で混一色、マンズ一気通貫の2つです。
この手もメンツ手であれば愚形受け入れが多い手での西ヨーロッパ形(2468)があります。
以前も言いましたが西ヨーロッパ形は伸びにくい悪形なのを意識しつつ、混一色や一気通貫が近くなれば狙う程度でテンパイスピードはあまり早くなく、受身になりそうな手です。
ここは先制リーチが入る可能性が高いのでいつでもオリられる手組をしたい場面です。
ツモ打
2巡後、寿人さんは
ドラ寿人手牌
ソーズターツを払ってマンズ混一色、混一色・七対子なら2シャンテン。
同巡、朝倉さんは
ドラ朝倉手牌
ピンズを全部払い、次に引きならソーズ混一色も現実的になってきます。
次巡、朝倉さんは
ドラ朝倉手牌
マンズリャンメンターツができた朝倉さんはソーズ混一色とマンズリャンメン待ちになると待ちとしてもある程度強いので先切り。
このを寿人さんがポンして打。
ポンドラ寿人手牌
ここからのどれかが重なれば混一色・対々和・赤で満貫、ドラが重なれば倍満もあります。
ポンポンポン例1
ポンポンポン例2
次巡、魚谷さんは
ドラ魚谷手牌
3対子になり七対子3シャンテンです。
更に次巡、寿人さんは
ポンドラ寿人手牌
引きならテンパイになる混一色1シャンテン。
4巡後、寿人さんは
ポンドラ寿人手牌
待ち高目満貫テンパイ。
同巡、朝倉さんは
ドラ朝倉手牌
引きでテンパイになる1シャンテン。
次巡、朝倉さんは
ドラ朝倉手牌
待ちテンパイ即リーチ!
リーチを受けて魚谷さんは
ドラ魚谷手牌
対々和・三暗刻2シャンテンで現物切り。
内川さんは暗刻の切りでオリ気味。
次巡、寿人さんはポンしている引きで加カン、新ドラでリンシャンツモをツモ切り。
また次巡、寿人さんは
ポンドラ寿人手牌
朝倉さんの当たり牌引き、ここから打。
寿人さん自身が加カンしているがあり、待ちは盲点と見たのか、あるいは待ちを警戒してこれを使い切るようにしたのかもしれません。
はリャンメン待ち、シャンポン待ち、タンキ待ちに当たります。(が4枚見えている為カンチャン待ちはなし)
はカンチャン待ち、ペンチャン待ち、シャンポン待ち、タンキ待ちの4つに当たります。(4枚が見えている為リャンメン待ちはなし)
朝倉捨牌
※5巡目切りでこれを寿人さんポン
早い切りでを固定させたと見ることはできます。
早い切りは主に、、、待ちのパターンが多くなります。(勿論、、のようなまたぎスジもあるがレア)
5という数牌は1〜9の中のちょうど真ん中で、メンツを構成する際には必要不可欠な牌です。
例えばを使うメンツは、、と3種類のメンツに使えます。
マンズメンツ、、、、、、の7種類のうち3種類、約42%で使えるくらい、使い勝手の良い牌です。
そして次巡、寿人さんは
加カンドラ槓ドラ寿人手牌
また引き打。
これで朝倉さんのはが寿人さんに2枚、内川さんに1枚の山に1枚、は魚谷さんが1枚切り手に1枚、内川さんに1枚で山に1枚の合わせて1+1=2枚。
寿人さんの当たり牌は純カラ、もドラ表示牌と内川さんに1枚でこれも純カラでアガリ目は0です。
この同巡、内川さん引きで朝倉さんの当たり牌はあと1枚。
2巡後、寿人さんは引き打。
加カンドラ槓ドラ寿人手牌
更に次巡、寿人さんは引き再々テンパイ。
加カンドラ槓ドラ寿人手牌
ハイテイでもアガリは出ることなく、2人テンパイで流局。
朝倉さんの当たり牌を使い切ってテンパイを取った寿人さんに脱帽の一局でした。
この次局、南1局1本場で寿人さんのツモり四暗刻、16100オールが飛び出します。(このシーズン初役満)
リーチツモドラ裏ドラ寿人手牌
このアガリでほぼトップを決めた寿人さんのデカトップで終了しました。
寿人 +89.9
内川 −3.2
魚谷 −33.3
朝倉 −53.4
寿人さんはどんな悪い待ちでも即リーチしたり、親リーチが相手でも躊躇なく追いかけリーチするような鋼の心臓をお持ちです。
それと共にリーチ時以外の不用意な放銃が少ないのが多井さんと寿人さんです。
トップを取ろうと思う時、今までちょっとした放銃でどれだけの点棒を失っているかに気づくはずです。
皆さんも思い当たる節がお有りになるんじゃないでしょうか?
頭が真っ白になっていつもより押し過ぎた、放銃が続いてちょっとアツくなって押してしまった等。
そんな無駄な放銃を減らすことで、ある程度良い着順を残せるようになります。
ざっくり言うと、自分が放銃する分を他家に押し付けてしまうイメージです。
摸打(モウター:ツモって切る動作)の速さやリーチ回数の多さばかりに目が行きがちな寿人さんですが、リーチしない時の守備力の高さにも注目してみるとより一層、Mリーグで寿人さんを見る目が変わってくるかと思います。
今回のまとめ
・寿人さんは速い摸打やリーチ回数に注目が集まりがちだが、リーチしない時の守備にも目が離せない
・寿人さんのように不用意な放銃を減らしていくと、平均着順は上がる
・切りはからの切り、からの切り、からの切り、からの切りが多くなる(からの切り、からの切りも勿論あるが、は1〜9の真ん中で、これが不要になるのは上(789)下(123)どちらかに分断されている可能性が高い)
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