人は愛され、大切にされることで変わります。
人を愛し、
人を大切にしましょう。
NPO法人アジアチャイルドサポート代表理事の池間哲郎さんは、著書
『アジアの子どもたちに学ぶ30のお話』( リサージュ出版)
の中で、
誰からも見捨てられ、
生きる力をなくしていた女性が、
愛され、大切にされることで、
変わっていく姿を
次のように記しています。
(99頁〜102頁)
「ミャンマーでハンセン病の人たちをとじこめていたマヤンチャウンの森の中に、
ボロボロの小屋がありました。
はきけがするほどの、
すさまじいにおいの中にいたのが当時38歳のドゥーティンラーさんでした。
右足は曲がってしまい、左足はひざから下がありません。
両手の指は、一本も残っていませんでした。
髪をふりみだし、
おそろしい顔で私をにらみつけました。
ドゥーティンラーさんは、とつぜん泣きだして、いいました。
『こんなみにくい体になってしまって、私はもう人間ではありません』
『どうか殺してください』。
私は
『どうか生きてください。
あなたが人間としてちゃんと暮らせるように、
家を作り、
薬も食べ物もとどけます』
といいました。
ドゥーティンラーさんは
『信じません』
といい、
『殺してくれ』
とさけびました。
私は、
なんとしてでもドゥーティンラーさんとの約束をはたしたいと思いました。
ハンセン病にたいするまちがった理解のために、
マヤンチャウンの森に来てくれる大工さんはいませんでした。
しかたなく、
ふつうの10倍のお金を出すことにすると、
やっと2人の大工さんが来てくれることになりました。
2人だけでは工事はできませんから、
マヤンチャウンの森のハンセン病患者さんに協力してもらいました。
足が残っている人は荷物をはこび、
手が残っている人はペンキをぬったりくぎをうったり――。
こうして工事がはじまってから3か月後、
すばらしい家ができあがりました。
ドゥーティンラーさんは、みちがえるように変わりました。
ドゥーティンラーさんはいいます。
『私は、こんなみにくい体になってしまい、
もう人間ではないと思っていました。
だれも私のことを愛してくれる人などいないと。
でも遠くの日本の人たちが約束を守って、
家をつくってくれました。
誰かが、私のことを愛してくれるとわかったそのときから、
私は “生きたい” と願うようになりました』
と。
今、ドゥーティンラーさんは、
自分のまわりにいる体がうごかないお年寄りのお世話をしています。
両足も、手の指もないドゥーティンラーさんが、
車いすにのって、
ひじでタイヤをまわしながら、
指のない手にタオルをしばりつけて、
お年寄りの体をやさしく洗ってあげています。
ドゥーティンラーさんは、
一生懸命に生きています。
2006年4月。
マヤンチャウンの森から
『どうしても来てくれ』
と連絡が入りました。
そこでは、
なんとドゥーティンラーさんの結婚式がおこなわれていたのです。
ドゥーティンラーさんの、
幸せいっぱいの笑顔をみて、
私はうれしさに涙があふれてきました。
私は、
ドゥーティンラーさんに心の底から感謝しています。
ドゥーティンラーさんは私に、
人間として、
いちばん大切なことを教えてくれたからです。
それは、
愛され、
大切にされることで、
人は変われるということです。
そして、
命が生きるということです。
ドゥーティンラーさんのお話は、
人をいじめたり差別したりすることのひどさ、
そして、
『人を愛することの大切さ』
を教えてくれます。」
人は、
愛され、
大切にされることで、
変わります。
人を愛し、
人を大切にしましょう
『人生には、
たった一つだけ
長続きする幸福がある。
それは、他者を愛して
生きることである。』
(トルストイ)
『究めれば 愛こそすべて』
『アジアの子どもたちに学ぶ30のお話』
(著者 池間哲郎 リサージュ出版)
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