2022年08月21日
介護初心は知っておきたい認知症3疾患!特徴や症状など
こんにちは!
今回は、認知症について解説していきます。認知症をしることによって、早期発見や介護をするにあたってどのようなことに気をつければよいかが分かります
認知用の特徴
認知症とは、後天的な脳の障害によって、正常に発達した知能が持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態になることをいいます。ここでいう「知能」とは、環境に適応して新しい問題に対処していくために必要な記憶、思考、判断などの脳の機能の事をいいます。
意識障害、うつ病(状態)、加齢による「物忘れ」、服用している薬による影響でも似た症状が見られるといわれています。
加齢による物忘れやせん妄状態などと認知症とを正しく区別することが、適切なケアを提供するためにはとても大切だといわれています。
※せん妄状態とは、急に発症した軽度の意識障害で、幻視や妄想などによって落ち着きがなくなる状態
◆加齢による物忘れと認知症による物忘れのちがい
●加齢による物忘れ
・忘れたことを自覚している
・体験の一部を忘れる
・日常生活に支障をきたすほどではない
●認知症による物忘れ
・自分が忘れていることに気づかない
・体験自体を忘れる
・日常生活に支障がある
◆せん妄状態と認知症のちがい
●せん妄状態
発症…発症時期が明確
経過…一過性(数時間〜数日)
症状の変動…一日のうちで変動があり、夜間や夕刻に悪化
●認知症
発症…発症時期が特定できない
経過…持続性
症状の変動…少ない
認知症の症状
認知症の症状には、中核症状と周辺症状(行動・心理症状:BPSD)があります。「記憶障害」「見当識障害」「理解・判断力の障害」「実行機能障害」のように、認知症に必ず見られる症状を「中核症状」といいます。そして、中核症状から二次的に生じる行動の障害や心理症状を「周辺症状」と呼びます。かつては「問題行動」と呼ばれていましたが、現在は、行動・心理症状(BPSD)と呼ばれています。行動・心理症状(BPSD)は、人ごとに異なり、その症状
が現れる背景もさまざまです。認知用のケアでは、個別性がとても大切です。
⊞ 中核症状の特徴
❶見当識状態
時間・季節・場所等の感覚や道順などが分からなくなる状態です。
❷失語
発語に必要な機能の障害によるものではなく、意味のある言葉が言えない、言葉が出ない、聞いた言葉が理解できないという状態です。
❸失行
手足の運動障害はないが、物の使い方がわからないために目的にかなった行為ができないという状態です。
❹失認
視力は問題なくよく見えているが、見えている対象が何であるのかがわからないため、家族の顔を見てもわからない、近所で道に迷うという状態です。
➎実行機能障害
状況を的確に判断して目的にかなった行為をすることができない状態です。「食材の買い物→調理→食事のあと片付け」までの一連の行為を「食事」といいますが、この一連の行為は、実行機能によるものです。
認知症は早期に発見し、早期に治療を開始することで症状の進行を遅らせることができるといわれています。日頃の様子を知っている介護職だからこそ発見できると思います。日常生活で下記のような様子が見られたら、医療職に相談しましょう。
- 物忘れがひどくなった
- 同じことを何度もいう
- 今話していた電話の相手の名前を忘れる
- しまい忘れや置忘れが増え、いつも探し物をしている
- 判断力、理解力が衰える
- 料理、片付けがうまくできなくなった
- 計算ミスが多くなった
- 話しのつじつまが合わない
- 場所、時間が分からない
- 慣れた道でも迷うことがある
- 正確、人柄が変わる・何をするにも億劫がり、いやがる
- 身だしなみにかまわなくなった
⊞ 認知症の症状に影響を与える要因
認知症の症状に影響を与える要因は、認知症の原因となっている脳の病変だけではありません。それ以外に、「身体的要因」「心理的要因」「環境要因」があります。
便秘や下痢で腹部に不快感があった場合、介護職に自分の思いを言葉で上手く伝えられないため、おむつの中に手を入れるなどの不潔行為につながります。また、新しい施設に入所したとき、環境の変化に適応できずに混乱し、多弁や睡眠障害、介護職への抵抗などが見られます。
認知症は知能の障害によるものですが、感情は残っており、介護職の表情や言葉にとても敏感に反応します。介護職は、認知症の利用者の行動や症状にばかり目を向けて対応するのではなく、そのような行動・症状が出ている背景を理解することが大切です。
認知症の種類と特徴
認知症を引き起こす病気はたくさんありますが、最も多いのはアルツハイマー型認知症といわれています。そのほか、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などが主な疾患として挙げられます。
<アルツハイマー型認知症>
脳にアミロイドβというたんぱく質が蓄積して、脳全体が委縮するのが原因で発症すると考えられています。
症状
- 物忘れが徐々に悪化してきます。人や物の名前を忘れたり、最近の出来事を忘れてしまいます。
- 場所や時間あんどがわからなくなり、徘徊、夜間せん妄、介護への抵抗などが見られます。
- 進行すると、コミュニケーションを取れなくなります。日常生活全般に介助が必要となり、やがて寝たきり状態になります。
<レビー小体型認知症>
レビー小体というたんぱく質が大脳皮質に現れ、神経細胞の変性が起こることが発症の原因だといわれています。
症状
- 歩きにくい、動きが緩慢、手がふるえるなど、パーキンソン病に似た運動障害が見られます。
- とてもリアルな幻視が現れることが大きな特徴です。等身大の人間が部屋に入ってきた映像が現実のように生々しく見えたり幻聴が見られます。
<前頭側頭型認知症>
脳の「前頭葉」と「側頭葉」に委縮が起こるために引き起こされる認知症が、前頭側頭型認知症です。「ピック病」は、前頭側頭型認知症の一つです。
前頭葉は、理性的で正常な生活が送れるように人の感情を制御しています。側頭葉は、味覚や聴覚、記憶力、判断力をつかさどっています。これらの部位が障害されることで、だまざまな行動障害が現れます。
症状
- 抑制や感情のコントロールができなくなり、自己中心的な人格に変わり、周りとのトラブルが多くなります。また、社会的規範への関心や自制心が低下していき、万引きなどの違法行為が見られることもあります。
- 毎日同じ時間に起き、同じ時間に家を出て、同じ道を通って決まったところに行くなど、決まった時間に同じ行動を繰り返すようになります(常道的行為)
<脳血管性認知症>
脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患によって起こる認知症です。
- 障害を受けた脳の部位によって出る症状が異なるのが特徴です。正常な部分も残っている為、「記憶は低下している」が「判断力は保たれている」というように、症状がまだら状に現れます。
- 意欲の低下や自発性の低下、物事への無関心、記憶力の低下、感情失禁が見られれます。
※感情失禁:感情のコントロールがうまくいかず、些細なことで、喜びや怒りなどの感情が正常の人々よりも簡単に多く出てしまうこと
認知症のケアの基本と予防
◆認知症の人と接するポイント
認知症の人は、記憶障害や認知障害により、さまざまな不安や混乱の中で生活しています。介護職は、認知症の人の不安や混乱を軽減させ、心地よさを感じてもらえるように関わりましょう
POINT
- 利用者の視野に入って話す
- 声をかけるときは、名前を呼ぶ
- 介護職は、余裕をもって落ち着いて利用者に対応する
- 介護職は、穏やかな優しい表情で利用者に接する
- 介護職は、優しい口調で利用者に話しかける
- 五感を刺激する(マッサージ、入浴剤やアロマオイルを使った足浴、好きな音楽を流す、季節を感じさせるものを飾るなど)
- 簡潔に一つずつ伝える
- ケアをするときは、利用者の思いや希望を聞く、質問する、確かめる
NG!
介護職は、認知症の利用者に対して「急がせる」「自尊心を傷つける」「無理強いをする」ような表情、態度、言葉は禁物です。
例:「〇〇はダメ」「〇〇しないで」というような否定、禁止の言葉「〇〇して」「〇〇しなさい」というような指示的な言葉
「急いで」「早く〇〇して」というような急かす言葉
◆認知症の予防
<生活習慣病を予防する>
認知症の確実な予防法は見つかっていませんが、高血圧、糖尿病、高脂血症などの「生活習慣病」は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害の原因となり、脳血管性認知症の原因にもなります。
また、最近ではアルツハイマー型認知症の発症にも、食事や運動などの生活習慣が関係しているといわれています。規則正しい生活、バランスのとれた食事、適度な運動、禁煙などによって認知症の予防にもつながります。
<脳を活性化させる>
人との交流や趣味を持つなどの知的な活動は、脳を活性化させるため認知症の予防につながるといわれています。また、散歩やウォーキングなどの有酸素運動を続けることで、脳の血流がよくなり脳を活性化させるため、認知症予防につながるといわれています。
厚労省の「認知症予防・支援マニュアル」によると、認知症になる前の段階で低下するといわれる脳の機能(エピソード記憶、注意分割機能、計画力)を日頃から鍛えることで、認知症の予防につながるといわれています。
※エピソード記憶:体験したことを記憶して思い出す力
※注意分割機能:複数のことを同時に行うとき、適切に注意を配る力
※計画力:物事の段取りを考えて実行する力
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