2022年08月15日
介護職は知っておきたい高齢者の疾患(消化器系、腎・泌尿器系)
こんにちは!
介護職の皆さん、もしくはこれから介護職に携わるかたなど、色々な悩みを抱えています。これから介護職になる方は、どんな仕事なのか?どんな患者さんがいらっしゃるのか?ケアが上手くいくのかな?すでに働いている方は、日々患者さんが急変しないか?特に重症の患者さんが入院している病院などでは夜間帯に患者さんが急変する可能性があり、不安がありますよね。介護職は医療のプロフェッショナルではないので、不安は計り知れません。
ただ、医療は医師や看護師がするものですが、介護士も患者さんがどんな疾患にかかっているのか?という知識だけは持っていたいものです。知識があるだけで、急な対応にもパニックにならず落ち着いて看護師に報告することができるでしょう。
本日は、消化器系と腎・泌尿器系についてお伝えしておきます。
消化器系
消化器とは食べ物の通過、消化、吸収、排泄に関わる器官です。口から取り入れた食物を体内に吸収しやすくする働きを「消化」、消化された栄養素などを体内に取り込むことを「吸収」といいます。消化管と呼ばれるものは、口腔、咽頭、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸)、肛門です。膵臓、肝臓、胆のうは、消化・吸収を助ける消化酵素やホルモンなどを分泌する器官です。
介護職は食事や排泄のケアに関わることが多いため、加齢による消化機能の変化と食生活や排泄への影響について解説します。
◆口腔の働き
口腔には、歯、舌、唾液腺があります。食事をするときは、食べ物を歯で噛み砕き、舌でかき混ぜ、細かくします。このときに唾液腺から分泌される唾液の働きにより、食べ物が柔らかくなり、消化しやすくなるのです。また、唾液は口腔内を清潔に保つ働きもしています。
●口腔の働きによる影響
@加齢や歯周病によって歯の本数が減ったり、残っている歯もすり減り、あごの筋力も弱くなることから、食べ物を噛む力が低下します。野菜や肉類などの噛みにくいものが食べにくくなります。そのため、食事の摂取量が低下したり、栄養のバランスが崩れたりします。また、喉頭や咽頭の反射も鈍くなって、誤嚥しやすくなります
A加齢に伴って唾液の分泌量が減少する為、飲み込みにくくなります。また、唾液が少ないことで、口腔内の粘膜が傷つき、その痛みが食欲を低下させるおそれがあります。
B舌の粘膜にある味蕾(みらい)と呼ばれる器官で味(甘味、辛味、苦み、酸味)を感じます。加齢により、味を感じる味蕾の数が減ることと、味に対する感受性の変化により、味覚が低下するといわれています。
◆食道の働き
食道は、ぜん動運動により食塊を胃に送ります。食道の上下両端の括約筋(上部括約筋と下部括約筋)が、安静時には締まり、嚥下時に緩むという動きをしています。咽頭に近い上部括約部は、食塊の食道からの逆流を防いでいます。また、胃に近い下部食道括約部は、嚥下のとき以外は、胃の内容物が逆流しないように締めています。
※ぜん動運動とは、消化管の筋肉が収縮して内容物を口側から肛門側へと向かって移動させる運動のこと
●食道の働きの変化による影響
加齢により下部食道括約筋の収縮力の低下や、食道のぜん動運動の低下が起こります。そのため、胃液や胃の内容物が食道に逆流する「逆流性食道炎」を起こしやすくなります。
◆胃の働き
胃は、食道から送られてきた食塊を一時貯蔵しておく臓器です。食道とつながっている胃の入り口の部分を噴門、十二指腸とつながっている出口の部分を幽門と呼びます。胃のぜん動運動によって、食道から送られてきた食塊と胃液を混ぜ合わせ、かゆ状にして十二指腸に送ります。胃での停滞時間がもっとっも短いのは糖質で、次がたんぱく質、最も長いのは脂質です。脂っぽいものをたくさん食べると、胃が重く感じたり、胃がもたれたりするのは、脂質が胃の中で長く停滞するためです。
●胃の働きの変化による影響
加齢により、ぜん動運動が低下して胃液の分泌量が低下するため、胃の中の内容物の消化に時間がかかるようになり、胃もたれや胸やけが起こりやすくなります。
◆小腸・大腸の働き
<小腸の働き>
小腸は胃からつながる長い管で、十二指腸、空腸、回腸からなっています。小腸は、消化・吸収・の大部分を行っています。胃から送り込まれてきた食塊と小腸の粘膜から分泌された消化酵素や胆汁、膵液をぜん動運動によって混ぜ合わせながら消化・吸収を行います。
<大腸の働き>
大腸は、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸からなり、肛門につながっています。大腸は、水分の吸収と便をつくる働きをしています。小腸で栄養素を吸収され、大腸に送られてきた食べ物の残りかすは、どろどろの状態です。このどろどろの残りかすが、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸を通過する間に水分が吸収され、固形の便になります。そして、便が直腸に入ると、その刺激が大脳に伝達されて便意が生じます(排便反射)。
<小腸・大腸の働きの変化による影響>
ぜん動運動が低下することと、運動量の低下や腹筋が弱くなるため便秘になりやすくなります。
◆肝臓の働き
肝臓は、多くの細胞からなる体内で最も大きい臓器です。肝臓は、脂肪を消化するために必要な胆汁を分泌しています。そのほかに、消化・吸収した栄養素を分解・合成する働きと、体内に入った毒素や薬物などを分解し、無害な物質に変える働きがあります。
<肝臓の働きの変化による影響>
加齢により肝臓の働きは悪くなります。そのため、薬の分解がうまくできなくなります。腎臓から排出する機能も低下するため、薬が効きすぎてしまうことがあります。
腎・泌尿器系
◆腎臓にはさまざまな役割があります
腎臓は、背中側の腰の少し上あたりに左右1つずつあり、大人の握りこぶしくらいの大きさです。腎臓は、尿をつくる臓器であることはよく知られていますが、血圧を調整したり、赤血球を増やすホルモンを分泌したり、カルシウムの吸収率を高めるビタミンDを活性化したりと、健康を維持するために、とても重要な働きをしています。介護職は排泄ケアに関わることが多いため、ここでは、尿がつくられてから排泄するまでの排尿の過程を解説します。
体内の老廃物や不要な水分は、尿として排泄されます。腎臓の糸球体で老廃物の溜まった血液をろ過して尿の元がつくられ、尿細管で体内の水分や電解質のバランスの状態に応じ、必要な成分だけが再吸収されて尿となります。そして、尿管から膀胱に溜まり、尿道を通って排出されます。
尿は、尿管から膀胱に一時的に貯留されます。膀胱から尿道に続く出口には「尿道括約筋」という筋肉があり、これらが膀胱に溜まった尿を漏れ出るのを防いでいます。そして、膀胱内の尿量が約150〜300mlになると、脳の排尿中枢に伝達されて尿意として感じます。そして、膀胱の収縮と尿道括約筋の弛緩により尿を排泄します。
腎臓から膀胱までのしくみに性差はありませんが、尿道やその周辺の器官には性差があります。男性は尿道が長く、曲がっていますが、女性は尿道が短く、まっすぐです。
◆腎機能の低下による影響
腎臓の重量は40歳以降、徐々に減少するといわれています。糸球体の数が減少し、腎機能は減少します。
@尿をつくる機能が低下するため、水分や電解質のバランスが崩れやすくなります。また、細胞内液が少ないうえに、必要以上に尿として水分が出ていくため、脱水になりやすいです
A腎機能が低下すると、薬物の排泄が遅くなる為、薬物が体内に蓄積しやすく、薬の副作用が起こりやすくなります
◆加齢による排尿障害
膀胱の機能や尿道括約筋の低下などから、頻尿、残尿、尿失禁などの障害が起こりやすくなります。特徴は以下のとおりです。
@膀胱が小さくなるため、1回の尿量が少なく、回数が増えます
A女性は尿道の位置の変形や骨盤底筋の低下が起こりやすく、尿失禁が起こりやすいです
B男性の場合は、加齢にともなって前立腺が肥大化する傾向があります。前立腺が肥大化すると尿道を狭窄し、尿が出にくくなることがあります。
今回は以上になります。
次回は感覚器についてです。
本日は最後まで御覧くださり、ありがとうございました。
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