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早退イコール?

以前前勤めていた会社での話だ。

その日は特に何もなく、ホント普通の一日だった。しいて言えば珍しく昼休み後のお通じが午前中にフライングしたことぐらいか。“日常”とはこういうことを言うのだろうと思わせる一日だった。あいつが動き出すまでは。

あいつとは前回登場した窓際係長のことである。

午後の仕事が一番だるくなる3時。僕は睡魔という案件と向き合っていた。僕の敗北がほぼ確定しそうなその時、ある同僚が僕の近くの席にいる部長のところにやって来た。こそこそ話をした後、部長と同僚は同僚の席に移動して話を続けた。

しばらくすると同僚は荷物をまとめ、

「お先です」

と早退したのだ。僕も含め、なんだ、なんだ。という感じの社員がちらほらと見受けられる。僕は

「どうしたんですかね?」

と思わず窓際に話かけてしまった。

「早退だろ」

知ってる、っつーの。

「具合でも悪いんですかね?」

かぶせてくんな!僕と窓際の近くにいた同僚が話に入ってきた。

「そうだろ。だって顔赤かったもん」

そうなのか、窓際?僕には人の顔色を見分ける能力がてんでないらしい。何でも知っているかのように得意気な窓際がむかつく。

そうこうしている間に部長が戻ってきた。

「風邪ですか?」

「ああ」

窓際の正解がさらにむかつく。

「息子さんがね」

は?

早退した同僚の早退理由は、息子が保育園で発熱し、迎えに行くため早退したらしい。窓際よ、お前はどれだけへっぽこなのだ。何が顔が赤いだ。節穴もいいところだ。早退イコール風邪。という固定概念だけでよく得意気になれるものだ。この実力が窓際を窓際にさせる所以なのだろう。
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