2017年09月05日
"KAMIKAZE- Womanizer" #1
『嫁さん、金髪でもいいぞ。』
出発直前、親父からの最後の一言がそれだった。
まったく、真面目なのか不真面目なのか理解に苦しむ。
このシチュエーションとタイミングで俺のブロンド好きのルーツが
親父だということがわかったのだ。
複雑極まりない心持ちだ。
やがて、俺もああなっていくのだろうか?
3月29日の今日、
予定通り大学を4年で卒業しアメリカへと旅立つ。
内定をもらっていた会社には丁重にお詫びをしたが
学生課で少々絞られた。
とりあえずの目的はカリフォルニア大学デイビス校で
英語コースを修了すること。
『とりあえず』というのは
そこが本来の目的ではないからだ。
首尾よくトップのクラスを上位の成績で終了し
TOEFLスコア”550”をクリアすること。
それを条件に
カリフォルニア大学サンディエゴ校の
マネージメント・サイエンス専攻へと
入学の運びとなる。
考えがあって、日本の大学では経済学、
アメリカの大学で経営学という
ダブル・メジャーを目論んでいるのだ。
親戚や友人で構成される
年寄り連中とむくつけき野郎共ばかりの見送り集団との別れ、、、
惜別の涙で見送ってもらうべき
彼女がいないのが少々悔しい気がするが仕方ない。
それにしても、なんで見送る側のやつらが彼女連れなんだ?
まあ、忙しい中にもかかわらず、
成田くんだりまで脚を運んでくれたところだけ漉くって
感謝しておこう。
出国手続きを終えていよいよ
サンフランシスコ行きの飛行機に乗り込んだ。
CAは数名の日本人を除きアメリカ人女性のようだ。
神経の太いはずの自分だが、さすがに緊張している。
手荷物をまとめて入れるための大き目のバックパックから
小型のショルダーバックを取り出した。
中には財布や搭乗券、パスポートなどの貴重品と
『地球の歩き方』の北米版と学校関係の書類、筆記用具が入っている。
中身が減って形の定まらなくなったバックパックを
頭上の荷物入れ放り込んだ。
とりあえず、CA相手に英語の腕慣らしだ。
どうせなら、一番可愛いCAを捕まえて話をしてみよう。
ブロンドの髪をCAらしく夜会巻風のアップにしている。
身長は160cmくらい。白人女性としては平均的スタイルだが、
笑顔が可愛い。彼女に決めた。
『サンフランシスコ空港周辺の地図があったら
嬉しいんですが?』
”地球の歩き方”は持っているが、ここはやはり
CAの提供してくれる情報の新しさと正確さに
頼ってみる・・・そんな素振りを決め込むことにした。
できるだけ自然に。
いかにも不案内な留学生が不安そうにしている
呈を装うのだ。
『空港からグレイハウンドのターミナルは
歩くとどれくらいかかるのでしょう?』
”地球の歩き方”についている地図を見せながら
手始めにそんな話をしてみる展開を考えた。
一昨年の夏休みに1ヶ月のホームステイをしたのだ。
その間にアメリカ人の気質を探っておいたつもりだ。
アメリカ人女性は、頼られると案外親切なのがわかった。
特に、学生に対しては無防備といっていいほど優しいのだ。
運の良い事に、目を付けた彼女が頭上の荷物入れの確認にやって来た。
すかさず、しかし下心は読まれないように
地図を見せながら話をしてみる。
案の上、彼女は愛想よく『ちょっと待っていてね』
と言って前方のCAの控え室のようなブースへと入っていった。
しばらくして彼女はスマイルとともに地図を手に戻ってきた。
***************
新機軸を打ち出してみようと考えました。
新たなコンテンツとして
『男もすなる日記といふものを、
女もしてみむとてするなり。』
の更級日記よろしく
『人がすなる小説的なものを、
我もしてみむとてするなり。』
ということで、
POPSやロックとともに
どうジャンル付けしたらよいのかさえわからないまま
とりあえず、マイペースで不定期に書き始めてみようと
思います。
ノンフィクション的フィクション。
『カミカゼ・ウーマナイザー』です。
ノンフィクション的フィクションとは
自分の実体験に基づく事実であるとはいえ
搭乗する他人様にご迷惑があってはいけないので
部分的に名前や事実の程度や内容の一部を
フィクションで差し替えているという
ことです。
1980年代の一人の留学生の日常生活を通して
当時のアメリカ文化を懐かしんでみようというのと
一時よく耳にした
日本人の男は世界一モテないなどという
風評被害を一掃すべく
重くはないが軽くもない腰を
持ち上げてみようかという
そんな感じです。
とりあえず、もてる・もてないは
あくまでも個人の問題であり
国籍でくくることに全く意味はないというのが
私の主張です。
どこ人であろうと
もてないやつはどこへ行っても
もてません。
そういう問題だと思います。
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