2014年01月06日
「お前なんかもう死んでいる−プロ一発屋に学ぶ『生き残りの法則50』」 有吉弘行
毒舌芸人・有吉が自身の生き残りの方法について書いた本である。なんというかもう全てがねずみ男みたいないやらしさで覆われてる本だが、実利的な良書。猿岩石ブーム終了からのどん底生活で発見した法則とそこから這い上がった経験則が綴られる。
始めの方には猿岩石ブームで舞い上がっていた時のエピソードが多々出てくるが、有吉という人の金銭感覚は堅実で、派手な金遣いのせいで転落したわけではないというのがすぐ分かる。落ちぶれてから翌日の仕事の有無を事務所に聞く午後四時の電話が怖くて震えていたエピソードや1日250円生活では夢など見られるわけがないなど、今の彼の境遇から見ると衝撃的な記述が続く。
とりあえず全章・全ページが衝撃的でかつスリリングなのだが、貧乏生活・一発屋芸人の枠を超えて役に立つ思考法が多い。
急な冠婚葬祭に怯え7千万貯めていた、身の丈より一個下の生活をする、風俗代を惜しんで風俗嬢と付き合う、といった貧乏時代のエピソードからは彼の徹底した現実性が見て取れる。自分へのご褒美はいらない、寂しいから酒を飲むのは金の無駄、などの記述も。税金対策で散財するのは、未来の自身の出費が増えるだけという考えは面白い。
また、生き残るための法則として、宿主を常に変える寄生虫として生きろ、自分磨きに意味はない、金が無くても幸せはブスでも満足と一緒、仕事のヤリガイなんて金物屋のババアの手芸品と同じだ、結婚するなら金持ちの出身なのをコンプレックスにもつ女と結婚しろ、などこれも勢いが止まらない。
経済的充足と精神的充足についての昨今の風潮−国民総幸福量(GNH)などを論点のすり替えを行っているにすぎないと喝破するところが痛快である。実際、俗世的なもの(金銭や利得など)と非物質的なもの(価値観や思想など)が絡み合う幸福度、戦後賠償、環境問題に関する論議では論点のすり替えが頻発する。
この人自身の価値観は、文字面としては「金」を全面に押し出しているが、本書の内容全てを通してみてみると「身の丈に合った生活の保障」さらには「明日も食っていけること」にあることが分かる。FXや株には到底手を出さないであろう点で、「人に強くなる極意」の佐藤優の金銭観と比較してみるのも面白い。
現代日本の「厚黒学」とでも言うべきか。
始めの方には猿岩石ブームで舞い上がっていた時のエピソードが多々出てくるが、有吉という人の金銭感覚は堅実で、派手な金遣いのせいで転落したわけではないというのがすぐ分かる。落ちぶれてから翌日の仕事の有無を事務所に聞く午後四時の電話が怖くて震えていたエピソードや1日250円生活では夢など見られるわけがないなど、今の彼の境遇から見ると衝撃的な記述が続く。
とりあえず全章・全ページが衝撃的でかつスリリングなのだが、貧乏生活・一発屋芸人の枠を超えて役に立つ思考法が多い。
急な冠婚葬祭に怯え7千万貯めていた、身の丈より一個下の生活をする、風俗代を惜しんで風俗嬢と付き合う、といった貧乏時代のエピソードからは彼の徹底した現実性が見て取れる。自分へのご褒美はいらない、寂しいから酒を飲むのは金の無駄、などの記述も。税金対策で散財するのは、未来の自身の出費が増えるだけという考えは面白い。
また、生き残るための法則として、宿主を常に変える寄生虫として生きろ、自分磨きに意味はない、金が無くても幸せはブスでも満足と一緒、仕事のヤリガイなんて金物屋のババアの手芸品と同じだ、結婚するなら金持ちの出身なのをコンプレックスにもつ女と結婚しろ、などこれも勢いが止まらない。
経済的充足と精神的充足についての昨今の風潮−国民総幸福量(GNH)などを論点のすり替えを行っているにすぎないと喝破するところが痛快である。実際、俗世的なもの(金銭や利得など)と非物質的なもの(価値観や思想など)が絡み合う幸福度、戦後賠償、環境問題に関する論議では論点のすり替えが頻発する。
この人自身の価値観は、文字面としては「金」を全面に押し出しているが、本書の内容全てを通してみてみると「身の丈に合った生活の保障」さらには「明日も食っていけること」にあることが分かる。FXや株には到底手を出さないであろう点で、「人に強くなる極意」の佐藤優の金銭観と比較してみるのも面白い。
現代日本の「厚黒学」とでも言うべきか。