2014年01月05日
「日本の地下経済−脱税・賄賂・売春・麻薬」
書店に並ぶ本の中で、地下世界について現実社会と同じ目線で立ち会っている本というものは少ない。地下世界の特異性・反社会性に対してある種尊敬のバイアスがかかっているような「ヤクザ・黒幕・フィクサー」ジャンル。対して差別意識・特権問題に対する著者の立ち位置が絡むため、純粋な議論とは言い難い「同和・貧困・左翼思想」ジャンル。蔑みと好奇の目の塊である「性風俗」ジャンル。
本書はこれまで正確な統計資料もなく、議題にも上がらなかった「地下経済」について「表世界の経済」と同様の手法を用いて推測しようとした本である。覚せい剤の売却益や形式別の風俗業界の売上などの総計で地下経済を捉えようというのである。
地下経済が「表世界の経済」と連動し、税率や法規制、景気などの要因により互いに密接に連動し合っていることや、「表世界の経済」からみても無視できないレベルの大きさであることなど、はたと驚かされる記述も多い。
経済の素人にわかりやすいよう本論は一般的な語句や解説に留意し、専門的な数式・手法の解説はコラムに回している作りも分かりやすくてよい。
日本の地下経済の分析の後、世界各国の地下世界についての分析が語られるがシンガポールのようなガチガチの法治国家においても地下経済が広がっているという事実に驚く人は多いだろう。
本書では地下経済の存在を無視したまま経済を語るとかじ取りを誤るという箇所があったが、「表世界」と同じ尺度・手法で「地下世界」を語る書籍がもう少しあってもいいかもしれない。
地下世界
本書はこれまで正確な統計資料もなく、議題にも上がらなかった「地下経済」について「表世界の経済」と同様の手法を用いて推測しようとした本である。覚せい剤の売却益や形式別の風俗業界の売上などの総計で地下経済を捉えようというのである。
地下経済が「表世界の経済」と連動し、税率や法規制、景気などの要因により互いに密接に連動し合っていることや、「表世界の経済」からみても無視できないレベルの大きさであることなど、はたと驚かされる記述も多い。
経済の素人にわかりやすいよう本論は一般的な語句や解説に留意し、専門的な数式・手法の解説はコラムに回している作りも分かりやすくてよい。
日本の地下経済の分析の後、世界各国の地下世界についての分析が語られるがシンガポールのようなガチガチの法治国家においても地下経済が広がっているという事実に驚く人は多いだろう。
本書では地下経済の存在を無視したまま経済を語るとかじ取りを誤るという箇所があったが、「表世界」と同じ尺度・手法で「地下世界」を語る書籍がもう少しあってもいいかもしれない。
地下世界